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周囲に理解されないカサンドラ症候群の苦しみ Part1

ある夫婦のケース1
では、今回はカサンドラのA(妻)さん、配偶者のBさん(夫)のケースを見ていきましょう。

Aさんは子供たちに発達障害の傾向があるのではないかと心配しています。

いろんな本や動画を見て勉強したAさんは旦那さんにも状況を理解してもらい、共通の認識のもと、協力しながら子育てをする必要があると思いました。

Aさんは発達障害の本を旦那さんに読んでもらおうとします。

子供たちの現状、それに対する悩みがどんなに深刻であるかを切々と説明し、読みやすくてわかりやすい本を選び、旦那さんに読んでもらうように頼みました。

・・・がお願いしたまま1週間過ぎ、2週間が過ぎ。。。

忙しいわけではなさそうなのですが、本は閉じられたままです。

Aさんは工夫します。

旦那さんに読んでもらいやすいようにページに付箋を貼り、線を引き、
そこだけ読めば良いようにアシストしました。
ここだけでいいから、読んでみてね!と伝えて本を渡しました。

けれども、付箋が貼った本は枕元にそのまま1週間、2週間。
「読んだ?」と声をかけるも、「少し。」とか「ちょっと」
とかはっきりしない答えが続きます。

面倒くさいのかな?と相手を思いやり、どうすればいいか考えます。

一緒に動画を見ればいいかな?
動画ならわかりやすいし、苦にならないだろう!
とリビングにいる時に一緒に見ようと声をかけます。 

そして、今、どんな事で困っていて悩んでいるのかを一生懸命説明しながら一緒に動画を見ます。

見終わるとAさんは、旦那さんに感想を求めます。
Aさんは自分の考えや旦那さんの考えを聞いて話合い、これからどうしていったらいいかを夫婦で考えていきたかったのです。

けれども旦那さんの答えは、「そうだね。」とか、「そうなんじゃない?」
のなどの一言で終わり・・・

具体的なご近所トラブルや悩みを話しみても・・・
「子供ってそういうもんじゃないの?」
の一言で終わり。

それ以上の言葉は何を言っても、どう聞いても出てきません。

近所とのトラブルが増えている現状に心を痛め、Aさんはなんとかしようともがきます。

子育てセミナーや叱り方セミナーがあると聞けば参加をし、
クリニックに相談に行ったり、カウンセリングに行ってみたり。

たまに旦那さんにも参加してもらいます。
なぜなら、旦那さんと問題を共有し、一致団結、協力して子育てをしていく必要があると思っているから。
同じ方向を向きたいから。

それなのに。。。
セミナーで学んだ事や、カウンセラーさんとのやり取りで学んだ事を
旦那さんと話し合おうとしても相変わらずの一言、二言の反応。


なんだか、分かり合えた気がしない。
問題を共有できた気もしない。


知識を得てるはずなのに。
口ではわかったと言いつつも、、行動は?言葉は?


学ぶ前と全く変わらない旦那さん。


もしかして本当は面倒くさいのか?

私、うざいことしているから怒っているのか?

と推測するも、
セミナーや勉強会には行くのを嫌がるわけでもない。
わかった?聞くと、わかったと答える。 。。。


Aさんのあたまの中は??でいっぱい。
旦那さんは宇宙人? 
旦那さんの頭の中が全く読めない。
その??は次第に・・・イライラに。
そして、大きな不満に変化していき、
気づけば慢性的にストレスを感じる日々。


夫婦なのになんだかこれじゃ、1人ぼっち。


その心には次第に孤独が広がっていく。

くるしいな。 つらいな。 寂しいな。

ある日。
Aさんは心が苦しくて、ママ友に相談してみました。

「なんか、うちの旦那おかしいの。
こっちが真剣に悩んで一緒に動画を見ても「わかった」の一言で終わり。
私が言ってもダメなら、
人から言ってもらえばなんとかなるんじゃないかと思って、
いろんなセミナーやカウンセリングに同行してもらっても、
全然わかってる様子がなくて。。。」

と切実に訴えます。 
この孤独な気持ち、苦しさをわかって欲しくて。


ところが・・・それを聞いたほとんどのママ友はこう返してくるでしょう。


「えー!そんな!一緒に動画なんて見てくれて、
セミナー、カウンセリングにも行ってくれるの? すごいじゃん!
うちなんて、全然話聞いてくれないよ。しかもセミナーなんて絶対やだって行ってくれないよ~!
そんなところに行ってくれるなんて、めちゃくちゃいい旦那で羨ましい!
どこが不満なの? 贅沢だよ~!」
 

問題点
この旦那さん、実はASD傾向があり、興味のないものに関してはとことん興味がないのです。
カウンセリングやセミナーは行けと言われれば行きますし、大切だってことはわかります。
だから、セミナーにも行くし、カウンセリングにも行くのです。
でも、「大切だ」という言葉の表面から、Aさんのように現状を深く考えていったり、学んだ事と現状を照らし合わせてどう思うとか、そこから応用させようとか、などというところまでの奥深さは持たないのです。 
一般的にASD傾向のある人の物事の理解というのは、点を点として理解し、線につなげるということは苦手です。なので、よく言われていることですが、言葉を文字通りに受け取ってしまい、行間が読めないというのもこのあたりからくることでしょう。


一見、協力的にも見える行動もしていることから、他人からは理解されず、Aさんも旦那さんが悪気があるわけじゃないことがわかっているだけに、?がいっぱいになってしまうのです。

実はこの現象は、Aさんのみならず、子供たちも同じです。

やがて、子供たちはパパに理解してもらうことをあきらめ、
次第にAさんにばかりに本音をぶつけたり、遊びを要求したりして、育児の負担は自然とAさんに集中するようになりました。

Aさんは旦那さんがいるにも関わらずワンオペ育児となり、目につくところに配偶者がいるだけにイライラや不満が溜まります。理解できない、共感できない配偶者との関係に心は傷つき、身体も疲弊したAさんはやがて鬱病を発症してしまうのである。

ママが鬱病になったこの一家の子供たちの心は・・・。

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