NPH

 NPH。さて、何の略か。 

 検索エンジンにこれを入れてみると、ソウルの観光スポットや病気の名前が出てくる。少なくとも両者ではない。


 正解は、ニール・パトリック・ハリス。アメリカの俳優である。海外ドラマ好きの方には、もはや説明する必要すらないだろう。子役時代には『天才少年ドギー・ハウザー』で主役を務め、近年では『ママと恋に落ちるまで』に出演、おまけに『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』という舞台で、トニー賞主演男優賞を受賞した、演技派の俳優である。

 彼の演技はとても素晴らしいのだが、今回は彼の「司会」を取り上げてみたい。というのも、彼はトニー賞やエミー賞、アカデミー賞などの賞レースの司会を数多くこなしているのだ。特にトニー賞は2011年から3年連続で司会、2009年にはトニー賞とエミー賞の司会をしている。

 2011年から2013年にかけてのトニー賞での彼の司会は本当にすごかった。特に2013年のオープニングは圧巻だった。

 いきなり、ブロードウェイデビューをしたのに降板してしまったシャイア・ラブーフをいじり、そこからはその年の作品賞候補をネタに所狭しとステージを駆け巡る(この途中でまさかのマイク・タイソンが登場する)。 

 彼が得意とするマジックも披露し、この年に話題になった映画『レ・ミゼラブル』を皮肉り(笑)、ラップまで披露。そしてここから圧巻のフィナーレを迎える。

 と、書いては見たものの全く臨場感と私の興奮が伝わっていない。とにかくアメリカらしいブラックジョークのオンパレードのように思われるかもしれないがそうではない。

 私の中では近年のトニー賞、いや全ての賞レースのオープニングではナンバーワンだと思う。逆にあれを超えるオープニングは今後出てこないような気もする(それもそれでどうかとは思うけれど)。会場に通る声、絶妙な表情の使い方などの彼の技術もそうだが、何より会場の雰囲気が完璧だった。そこにいる様々な俳優の目がワクワクに満ちた目がそれを物語っていた気がする。

 これを書きながら私もとにかくワクワクしている。うん、あれは本当に素晴らしかった。

 最近はなかなかニールの司会にお目にかかれていない。ジミー・ファロンやスティーヴン・コルベア、ジェームズ・コーデンなど、司会者と呼ばれる人の司会も確かに素晴らしい(私はこの3人の司会は好きであるが)。しかし、ニールのその才能溢れる司会を見たい。


 アメリカの皆さん、ニールの司会を見たいので、よろしくお願いします。



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