攻撃は最大の防御なり!?1点リードの終盤にFW有田選手の投入!選手交代を通して伝えた、川井監督から選手たちへのメッセージ (愛媛FC2020シーズン第3節アウェイでの山口戦)

えー、まず、ご報告がございます。ご存じの方も多いと思いますが、つい1週間前に、0-3からの4-3での逆転勝ちは、数年に一度しか見られない奇跡なんだと、力強く語った(書いた)ところ、

早速、大逆転試合がありました。

もはや、奇跡ではなく、『あー、まぁ、たまにあるっすよねーw』、ぐらいの感じなのか…。

とにかく、結果として、フェイク記事を書いてしまい、誠に申し訳ございませんでした。土下座して謝罪します。m(_ _)m 

0-2は危険なスコアと言われますが、

これからは0-3が危険なスコアになるのかもしれません。割と早いうちに0-3になると、ライブ観戦するの、やめたくなっちゃう気持ち、わかります…。ですが、今後は、最後まで見届けるようにしましょう。これが、ニューノーマル、新しいJリーグ観戦様式なのかもしれません。最後までしっかり見て、0-5で負けたら、週明けの月曜日は仕事にならないぜ…。

さて、第3節は、結果だけを見ると、3-0で愛媛FCが快勝したように見えます。でも、ゲームを最初から最後まで観た人はわかると思いますが、どう展開するかわからず、特に後半は手に汗握る、とても見ごたえのある試合でした。

何より、愛媛サポとしては、見どころがいっぱいで、ホクホクー(#^.^#)

●清川選手J初出場!
●大志選手と有田選手の2試合連続ゴール!
●長沼選手J初ゴール!
●岡本選手の神セーブ連発!
●山崎選手、イウリ選手を完封!

ざっと思い出すだけでも、こんなにあります!どれを取り上げようか、本当に悩みました。全部について、書きたいのですが、全部書くと、30,000字くらいになりますので、絞らなければいけないのです。やっぱり、もう、書いちゃおうかな…。まぁ、また今度、ちょっとずつ書いていきます。

でも、やっぱり、まずは、この事件について取り上げざるを得ません。

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DAZNさん、なんしよん。
もういっぺん、愛媛-徳島戦を頭からケツまで見直してから来なはいや。


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さ、まずは、試合前のインタビューから、DAZN中継での川井監督のコメントです。

川井監督
“徳島戦の逆転勝利をいい意味で引きずらず、課題をつぶすことに重点を置いてトレーニングできた。チームとして、どう戦うか、意識に少しズレがあった。我々の戦い方は『こうだ』という意識をすり合わせた。スタメン起用の清川選手は試合で活躍してくれると感じた。縦への推進力はチーム一番で、キッカケをつかめば、グッと伸びる選手だ”

では、実際には、どうだったのでしょうか、試合を振り返り『こうだ』が指し示す、愛媛の戦い方ををあらためて探ってみます。


愛媛のフォーメーションと選手交代

この試合もリモートマッチ、そして、インターネット即時対応スピーカー大音量サポ声援メカニックシステム(適当)のため、選手や監督の言葉はあまり聞き取れませんでした。なので、フォーメーションと選手交代、選手のプレーから川井監督の意図を紐解いていきたいと思います。

試合開始時のフォーメーション

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後半開始時のフォーメーション 山瀬選手が入ります。

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後半の選手交代 丹羽選手と川村選手が入ります。

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試合終盤の選手交代 有田選手が入ります。

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前半の狙いは、左サイドから相手の裏を狙った攻撃

この試合の前半は、これまでの試合とは、少し展開が違ってましたね。
守備能力の高い田中選手と渡邊選手を2人同時に使い、清川選手がスタメンに抜擢されたので、どういう感じになるのかな?と思って観ていたら、清川選手を左ウイングに起用して、左サイドの高い位置、相手DFの裏を狙って攻撃していました。清川選手をフル稼働させて、思わず、お!今日はそういう感じね!と独りごとを言ってました。

清川選手の仕事ぶりは、最高でした。多分2回、左サイドのBOX付近でドリブルで縦に仕掛けるチャンスがありましたが、とてもいいプレーでした。清川選手の利き足は右なので、カットインして、シュートという選択肢もあったと思います。でも、縦に仕掛けました。解説の中島さんもおっしゃっていましたが、愛媛はCKが大事な得点源なので、冷静に縦に勝負してクロスをあげるか、または、DFにブロックされてもCKを得られたら御の字にする、という目的があったのではないでしょうか。結果として清川選手が得たCKから大志選手が先制ゴールを決めたので、J初出場ながら、勝利に繋がる活躍をして、川井監督の期待にパーフェクトな内容で応えました!

前半は徹底的に、左サイドの裏、裏、裏。相手に裏を意識させたところで、30分と35分には、タイミングよく藤本選手の足元へ、くさびのパスを入れ、中央でダイレクトパスをつないで、シュートまで持っていくシーンもあり、とても良い攻撃になっていました。総じて、縦に早く、手数をかけずにシンプルです。清川選手以外は、省エネで攻めようとしているのかなぁと感じました。ピンチもありましたが、自分たちのミスによってカウンターを浴びるパターン。前半の山口はビルドアップから崩してこようとしますが、愛媛はボールへの寄せが早かったので、山口は攻撃の組み立てという意味では、あまりうまくいってない印象でした。

前半を観て、攻撃においても、守備においても、愛媛のほうが能動的で、山口は受動的に見えました。自分たちがやりたいことをやりつつ、相手がやりたいことは、させないって感じ。愛媛、強くなってる!!試合前の霜田監督の言葉を体現しているのは愛媛のほうかな…。

守備面で、目立ったのは、山崎選手です。前節1ゴール1アシストを決めている、185センチの長身で体の強いイウリ選手を、渡邊選手、田中選手、茂木選手らとともに、前後半を通して、ほぼ封じ込めました。特にCKの守備、山崎選手がイウリ選手のマークについているときの集中した表情に、これからK-1のタイトルマッチでもやるんでしょうか…?ぐらいの、鬼のような気迫を感じて、観ているこっちも熱くなりました。個人的には、山崎選手がこの試合のMOMです。チャンピオンです。


選手交代とフォーメーションの変更で一進一退に

後半のあたまから、清川選手にかえて山瀬選手を投入し、フォーメーションを3-4-2-1に変更します。しばらくは、愛媛がショートパス中心でビルドアップ。からの裏へのスルーパス。からのチャンスメイク。からのたまに途中で奪われ山口のカウンターを食らう。という一進一退の展開。

愛媛のビッグチャンスとなったのは、55分から57分にかけてのシーン。
山崎選手が相手のパスをカット。すると、左WBの長沼選手がダッシュで前線に上がろうとする動きを見せます。一旦は、押し戻されるのですが、愛媛がボールを保持したまま、左サイドから再びビルドアップして、藤本選手の裏抜けを引き出し、中央に折り返しのパスを入れ、山瀬選手と森谷選手を経由して、大志選手がゴール前に走り込み、シュートまで持っていったシーン。手数も人数もかけています。前半には見られなかった形でチャンスメイクしたシーンです。

前半の戦い方のままでも、良さそうな気もするのですが、1点リードの状況で、このシーンを見て、両WBの長沼選手と大志選手、2本の槍を前線に突き刺して、ゴールに迫ろうとしている、攻撃のギアを上げたと、私は受けとめました。

有田選手の投入から見えてくる、川井監督のメッセージ

流れが変わったのは73分。山口が長身の浮田選手(185㎝)を左ウイングに投入したあたりからです。ここから、山口は完全に戦術を変えて、長沼選手と大志選手が前がかりに来ている、その裏を、ロングボール中心に集中砲火で狙っています。山口は後半のアタマから、右サイドに森選手を入れたので、その時から、やや裏を狙われていた感じもありますが、浮田選手の投入で、山口の攻め手が明確になりました。裏を繰り返し狙われる展開になると長沼選手も大志選手も、下がってきて守備に回らざるを得ませんので、自陣の後方深くに張りついてしまっています。さらに、82分には、またまた長身のFW小松選手(183㎝)を最前線に投入され、ロングボールをゴール前に放り込むパワープレイによって、チカラずくで愛媛のディフェンスを捻りつぶしにきます。本当に恐怖の時間帯です。

両翼が下がってしまうと、前に残るのは、丹羽選手のみとなります。せっかくボールを奪って、愛媛の攻撃のターンになっても、攻撃のスタート位置が押しこまれて後ろからになるので、なかなか敵のゴール前まで進むことができません。小雨で芝が濡れている程度だとボールがよく走り、愛媛のパスサッカーには相性が良いのですが、雨が強まり芝に水がたまり始めると、途端にボールの転がりが悪くなり、自陣からショートパスを繋ぎビルドアップすることは、パスカットでカウンターを食らうリスクを急上昇させてしまいます。結局、FW丹羽選手めがけて、ボールを大きく蹴りだす手段が一番安全なので、このパターンがめっちゃ増えます。ボールの行き先が丹羽選手だけだと、守備も予測しやすく、対処しやすいので、やはり、すぐに奪われてしまう可能性も高くなり、また攻め込まれてしまうという、地獄の悪循環タイムになってしまうのです。1-0で勝ってはいますが、残り時間約20分、非常に苦しい展開で、めちゃくちゃ嫌な雰囲気が漂ってきます。愛媛は残り時間をどうやって戦うか、意思決定を迫られる形になってしまいました。


やっと、ここまできました。


実は、ここからが、この試合でもっとも胸熱でした。愛媛は1点リードしているので、長沼選手と大志選手は、もう前に行かせず、このまま低い位置で守備に専念させ、サンドバッグの状態を亀の甲羅作戦でしのぎきることができたら勝ちです。守備固めに大輝選手を投入するというカードもあります。しかし、この後、川井監督が切ったカードは86分の有田選手の投入です。フォーメーションを変えずに、丹羽選手を一つ下げ、ワントップの位置にそのまま有田選手が入っています。

この狙いは何でしょうか?

●『1点取って来い』…当たっていると思います。どんな状況でもゴールを決めることがFWの一番の仕事です。

『流れを変えて来い』当たっていると思います。でも、もう少し具体的な狙いがあるはずです。

『守備陣を助けて来い』これも当たっていると思います。やはり、具体的にどうしたら、守備陣の助けになるのでしょうか。

私は、有田選手の強みを生かして、ボールをしっかりおさめてもらって、マイボールにするためだと思いました。有田選手は、ヘディングが強く、何より、壁のように大きな背中で、相手マークを背負い、抑えつけながら、ボールおさめるのが抜群にうまいです。ディフェンスから、大きなクリアボールを有田選手へ目がけて蹴れば、ボールが空中を飛んでいる、1~2秒のあいだに、10mほど前に進むことができます。有田選手がボールをしっかりとおさめてマイボールにしてくれると、1~2秒の間に、さらに10mほど前に進むことができます。有田選手が数秒の時間を作ることで、チーム全体を高い位置へと押し上げることができます。当然、愛媛の2本の槍、長沼選手と大志選手を、30m前進させ、敵陣へ突き刺すチャンスも生まれるのです。

相手から、パワープレイを仕掛けられ、猛攻撃を受け続ける中、長沼選手と大志選手を攻め上がらせるとき、重要なのは、信頼と勇気です。有田選手がボールをおさめてくれず、ボールを奪われ、逆襲されることを恐れたら…、攻めあがりのタイミングが遅れ、チャンスを作れません。ボールが有田選手へ向かっていった、マイボールになって、自分のところへパスが送られてくる、そう信じ、前に走る。長沼選手のゴールシーンは、まさに、そんなゴールでした。もうほんとに、最高のゴールシーンでした。90歳になっても忘れないように、もうあと3回ダゾーン見とこう。

そして、気持ちが切れた、山口のディフェンスをあざ笑うかのように、高い位置でボールを奪って、冷静にGKの位置を見極め、ループ気味の鮮やかなミドルシュートを有田選手が決めて、ジ・エンド。愛媛の勝利。本当にいい試合だったっす。


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試合後の川井監督のコメントです。

Q.終盤の苦しい時間を耐え抜いて後半の得点だったが、後半の守備で良かったところは?
A.後半というより前半から守備は良かった。その流れから1点を取ったことで山口さんはパワーをかけてくると思っていた。相手両ウイングを止めたいと思っていたので、システムを変えて対応した。それでも押し込まれる場面はあったが、あの自陣ゴール前のプレーは僕らの良さ。皆さんもハラハラしたかと思うが、あの局面ではわれわれは負けないということを示せたと思う。

川井監督のコメントを見ると、相手の両ウイングを止めるために、3-4-2-1のフォーメーションに変更し、長沼選手と大志選手に守備をさせようとした、と言ってるようにも読めますね。なんだ、これまで長ったらしく書いてきた、たちばなの解説、トンチンカンで、全然的外れじゃん?と感じるかもしれません。

いえ!川井監督のコメントと矛盾してない(と思う)んです!

これは、サイド(特にWBウイングバック)のポジションの面白いところで、長沼選手と大志選手が高い位置を取って、攻め込んでいれば、相手のウイングやWB、SBは守備のために下がりがちになり、結果として、攻撃を抑え込むことができるんです。

そうなんです、この試合の後半に、山口がウイングにフレッシュな選手を投入して裏を狙い、長沼選手と大志選手の攻撃力を無力化させた戦術と同じです。サイドの攻撃と守備は、まさに表と裏の関係になっているんです。

長沼選手、大志選手は、相手のサイド攻撃を封じるために、前に進むことが求められていたんじゃないか、なんて想像するわけです。

はい、ここで、オシム師匠の名言でございます。

ババン!

86分にFW有田選手を投入することで、川井監督が選手たちに伝えたメッセージ。
それは『残り僅かな時間、1-0の状況でも、愛媛FCの戦い方は、攻撃でも守備でも、前に進むことなんだぜ』という感じではないかと、推測します。


次節は、2位長崎と3位愛媛の上位対決!(まだ4節で上位対決というには気が早いw)
楽しみですね!来週の月曜日、順位表の1番上に愛媛FCが来てくれたら嬉しいな…。

というわけで、最後までお読みいただきありがとうございました!

このイラスト、コワイwww


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