我が実験
中学一年で電マの快感を知ったせいもあり、その後は振動するものを見ると、股間を押しつけたくてたまらなくなった。たとえば、脱水中の洗濯機。これは親に見つかって、
「倒れそうだったから支えてたんだ」
と言い訳をし、白い目で見られたという苦い思い出がある。とは言え、もしもやり遂げていたら、一生洗濯機ファッカーの汚名を背負わねばならなかったわけだ。見つかって正解だったかもしれない。
マッサージ用の低周波治療器なるものの存在を知ったときも、これ、チンコに装着したらとてつもなく気持ちがいいのではないかと考えた。マシーンの快楽に身を委ね、手を使わずにすむ画期的なオナニーライフが満喫できるに違いないと。
しかし、自分は特に肩こりにも腰痛にも悩まされていない。高価なものであり、わざわざオナニー用に買うのもいかがなものかと、さすがに手を出すのがためらわれた。
だが、禍福は糾える縄の如し。当時私は教職にあったのだが、福利厚生か何かで、その低周波治療器が手に入ったのだ。
これぞまさにふぐり厚生。私はさっそく実験することにした。
まずは普通に肩でお試し。コードのついたパッドを右と左に装着し、スイッチを入れてダイヤルを回す。おお、肩の筋肉が勝手にビクビクと痙攣するではないか。これは効きそうだ。
そして、いよいよ我が息子へ。その前に取扱説明書を確認したところ、使用してはならない部位に「陰部」があった。だが、わざわざ断るということは、何かあるに違いない。そんなことで男のロマンは止められない。
期待にそそり立つ陰茎に、左右から包むようにしてパッドを装着。距離が近いのが気になるが、なあに、かまうものか。
そうしてためらうことなくスイッチオン。ダイヤルを回して電圧をあげる。ところが、少しも気持ちよくない。というか、何の反応もなかったのだ。パッドの位置をあれこれ変えても、結果は同じであった。
ようするに、チンチンは筋肉ではないということなのか。私は落胆した。この役立たずめと低周波治療器を呪った。
後日、その治療器は、同僚である女の先生にあげた。さすがにチンコに使用した交換用のパッドは捨てたが、今は彼女の肩で一所懸命働いているのだろうか。
【危ないので、良い子はマネをしてはいけません】
初出:サンケイスポーツ