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キャリアコンサルティング事例「面接官の愚問、10代車椅子の彼へ」


親と上手くいかず、色々と悩みを抱えながら、就職を決め一人暮らしで自立したいという車椅子の10代の彼に、カウンセリングの時間を設けました。

「先生、先日の面接で、面接官に下半身不随になった理由を聞かれました。
でも僕は、当時を思い出したくないし言いたく無いから、黙り込んでしまいました。面接官も黙り込んで…
結果は不採用です。

下半身不随になった理由は言わなければいけませんか?言えばよかったのでしょうか…」
そう言って、彼は涙ぐみました。

「あのね、それは、面接官個人の興味本位な質問ですね。
答えた内容が採否に関係の無い質問です。
だから、答えなくて良いのよ。

今後、そのような質問があれば、『採否に関係の無い質問には答えずに学校へ報告するようにと指導されています。申し訳ございません』と言ってくださいね。」

「それから、あなたが言いたくないことを聴き出そうとする人事は、応募者を丸裸にするのと同じ事。
たとえば、私が応募者なら、裸になってくださいと言われるのと同じことなの、だからね、嫌だって言えるのよ。
そんな面接官のいる会社、採用されてもこっちからお断りよ、だから、凹む必要もないからね。
気持ちを切り替えて、次行こう!」

彼はホッとした表情になりました。

自分の体が下半身不随になった事実を受け入れ、自立し、一人で生きて行こうとする前向きな彼です。
今回、嫌な思いはしましたが、面接官の興味本意な質問と、真の質問の違いにも気付けました。

その数ヶ月後、無事に障害者枠の正社員で就職も決まりました。

入社後のGW休日、元気な姿を見せに、遊びに来てくれました。








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