それでも封書が好き
ほとんどの人が携帯を持ち、SNSなりメール・LINEなりで連絡が取れるこのご時世に、あなたは手紙を書くことがあるか。
私はある。
主に芸人さんあての、ネタの感想を添えたファンレターではあるけれど。
最近は気軽にDMが出来るおかげで、感想も出番スケジュールのお伺いも全部DMで済むもんで、
紙の手紙を貰わないらしい。
差し入れに添えてへんか?手紙というほどのはない?そうですか。
1年目の新人さんならともかく、もうキャリア何年もやってる人に手紙を渡すと「初めてです!」と言われることが増えた。
マジか。
キミらそんなに手紙貰わんのか。
この人どんな字を書くんだろうとソワソワしたりせんのか。
返事をくださいと返信用封筒・便箋を入れずとも(自分の住所と本名バレるしね)、一方通行でも手紙書かんのか。
手書きの方が心こもってるとは思わんけど、お手紙はかなりレアケースなようだ。
あるピン芸人くんに手紙を書いた。
初めて貰いましたと喜んでくれた。
R-1グランプリの最中だったから、もし返事をくれるならそれは落ち着いてから、年を越してもいいですからねと言っておいた。
2回戦、3回戦と勝ち進んでいく彼、ひょっとしらひょっとするかもしれないぞ?と、安い刑事ドラマみたいなセリフが浮かんでいた私ではあったけれど、成績は準々決勝で一段落ついた。
しばらく経ってもうんともすんともなので、恐る恐る聞いてみた。
「えっ 嬉しすぎて即書いて出しました…」
えっ
えっ?
届いてないな〜?
よりによって欲しい返事が郵便事故とかある?
届いてないです、出したつもりで実はカバンの底に眠ってるとかない?と確認したけど、確かに出してくれた模様。
返信用便箋(質問と空白を交互にまぜてアンケート形式で埋めれば返事になるもの)に何を書いたか
覚えてるので、もう一度書いて彼に手渡した。
しばらくして、やはりポストはすっからかん。
も し か し て
「出しました……………………」
OH!
そんなことある?
さすがに3回目を書かせるのは忍びなくてやめた。
彼からの喜び勇んだ返事は、私の目に触れないままフィニッシュとなってしまった。
今からでも読みたい。どこや、どこいったんや君は
うちの家族はわたし宛の郵便が来たら一応部屋に置いといてくれる。
そうじゃない時は、リビングの机に置いてくれている。
明らかに手紙のものを捨てたりはしない。
家族に聞いても私宛の郵便はなく…。
それ以降も返信用便箋・封筒を入れた手紙は書いた。
返事を書く書かないはそもそも相手の自由だと思っているし、書いてくれるとしても書くタイミングはいつでもいいと思っている。
昔のごひいきさん達は「暇がある若手ですから」と皆1週間後くらいに届けてくれていたけれど、それが当たり前だとは思っていない。
あれはあの世代(13期でした)が律儀すぎただけだ。
今のところ返事が無事に届いてはいるけれど、ちょっと間があくと、届かなかった手紙を思い出してハラハラもしてしまう。
よほど間があかない限りはどうなりましたかとは聞かないけど、いま1人手紙渡してる人のは(書いてくれるとしたら)郵便事故らなきゃいいなあ…。
会った時に手渡しで返して、は、確実ではあるけどずっと持ち歩かせてしまうしさすがにどうかと思うのと、
郵送でくるドキドキが好きなのだ。
届くまで時間がかかっても、無事届くかバクチでも、それでも封書が好き。