競馬における暑熱対策

新潟競馬で行われた暑熱対策の4日間開催。
売り上げだけで見れば、前年比112%と増加しているのは良いことだと思う。
だが、競馬における暑熱対策はそれでいいのか?という問題には誰も触れない。
売り上げが伸びれば全てが許されるのか?と言ったらそうではない。
今回の記事では、僕が思う競馬界における暑熱対策をまとめる。


出来ることなら1から考え直したい

出来ないことなのは重々承知しているが、年間のレースプログラムをゼロベースで作っていきたい。
例えば、九州産馬の2歳戦が小倉で行われているけれど、小倉の開催に余裕がないので九州産限定レースを使おうと思えば、間隔が詰まったローテーションになるのが現状だ。
こういうのも変えていきたい。
そして、出来ることなら法案やJRAの規定等も変更したい。例えば、外厩からレースに行くのを認めるとか、トレセン入厩時の検疫馬房を増やして検疫馬房が取れないのを無くすとか、競馬場の馬房を増やして俗に言う「※トレセン回り」を無くすとか、1日12Rまでの上限を無くすとか、考えられることは山のようにある。だが、現実とどう折り合いをつけていくか?これが鍵になる。

大事なのは労働環境の改善

「人手不足」が叫ばれる世の中で、馬業界もそれは例外じゃないのは当たり前の話だ。
だからこそ、労働環境の改善には力を入れなければいけないのに、今回のように「昼休みを設けます」だと、裏方である厩務員の実質拘束時間は延長されることになる。そして、新潟だと滞在するケースは殆どないから、レース後にはトレセンに戻るケースが想定されるけれど、その場合は日付が変わってからの戻りが想定される。これが日曜のレース終わりなら、翌日の全休。すなわち、休みの日に過ごせる時間が減ることになる。これを週中の半休で対応しようとしているが、それも正直どうなの?と思う自分がいる。
暑熱対策も大事なのは分かっているが、労働環境の改善も大事だ。馬がいなければ競馬は成り立たないが、その馬を世話する人がいなければ競馬は回らないから。

「オフシーズン」を作れないか

毎週開催されているJRAの開催は素晴らしいものだと思う。だからこそ、暑い時期にオフシーズンを設けられないかというのが僕の提案だ。それも、1か月くらいの長いスパンで。
これを実現させるならば、番組を変えなければいけないし各機関との調整も必要になってくる。そして、馬主・調教師・厩務員・騎手の理解も必要だ。調教師や厩務員、騎手はレースが無ければ稼ぎは減る。それを許容して貰う必要があるから、他の時期に稼げるよう1日13Rまで行えるようにするとか、いろいろと策はあるように思っている。
競馬法もゼロベースで改正を望む。

現実的な案

ここまでは、理想案だけを述べてきた。
競馬法をゼロベースで改正させるとか、外厩制度を認めろとか、恐らくそんなことは一朝一夕に出来ることではないと分かっている。分かっているからこそ、現実的にどうすればいいか?を記す。

待避所に飲水場を設置

レースに行く馬は、装鞍所を出るとレースが終わって尿検査の前や厩舎まで戻らなければ、水を飲むことが出来ない。いわば、レースの約1時間前からは水分を取れないのだ。
人間の場合、熱中症対策にこまめな水分補給を!と言うけれど、馬の場合は水分補給が出来ない状況に追い込まれている。
すなわち、水分補給をさせてあげることが、暑熱対策にいちばん効果があるとは言わないが、小規模な投資で大きな成果を得られるはずだ。
もちろんレース前だからこそ飲む量には気を付ける必要があるけれど、飲ませないよりははるかにましだし、現実的だと僕は思う。

すぐ出来る対策には限りがある

他に出来る対策は何か?といろいろ考えてみたが、例えばナイター競馬をやるとなれば、滞在競馬ならそれもアリだとは思うが、滞在が無い競馬場となると、レース後にトレセンへ帰らなければいけない。そうなった時に、賃金の上乗せや半休付与などで一時的な対応は出来ると思うが、労働環境の改善という意味ではちょっと違う話になってくる。
そして、中央競馬がナイター開催をするならばそのぶん地方競馬は売れなくなる訳で、地方競馬のパイを奪うことになる。短期間でやるならまだしも、暑い時期は長いのだから、長く対策をやらなければならない。すなわち、それだけ影響力があるわけだ。これを無視は出来ない。
現実と理想のがんじがらめで、これをやりたい・あれをやりたいと出来そうなことは山ほど浮かぶが、現実を見たときに出来ることは少ない。というのが現実なのではないか。

対策を考えることは無意味じゃない

考えることを放棄してはいけない。
そのなかで、今の状態で出来ること・何かが変わらないと出来ないこと・大幅に変わらないと出来ないこと・出来ないこと
という問題があると僕は思っている。

暑熱対策で言えば、北海道開催を増やすだったり、函館と札幌の2場開催をするとか言われているが、札幌開催でも調教拠点として裏函と呼ばれ函館競馬場が使われているのに、その状態で函館競馬も開催するとなったら、まず馬房が足りない。だからこれは、大幅に変わらないと出来ないことだ。
北海道開催を増やすというのは、何かが変わらないと出来ないこと。それは芝管理や他競馬場の兼ね合いもあるだろう。
それを分かった上で、現実的に何が出来るか?をこれからも考えていきたい。

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Yu-Ji
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