見出し画像

交響曲1 2024.08.19
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲1番(未完。リンドべルイ校訂)、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。全体に寂しく暗く、神経質でもある。一定リズムで一歩ずつ不安の階段を頂点に登っていくようなフレーズが繰り返される。不協和音が続き、中間部で一旦静まる。再び弦のフーガが始まるが密度を薄め、個々の楽器の慌ただしい動きが徐々に消えて行く。

交響曲2 2024.08.19
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲2番、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。全体に寂しく暗く、神経質なところは1番同様。演奏時間は47分と長いが、20程度のパーツの連続で構成されており、それぞれ独自の曲想を持つ。そのうち、数か所でやや落ち着いた少し安らぐ部分はあるが、他は不安や空虚、急激なcresc、緩急強弱の様相。好きではない。

交響曲3 2024.08.20
レイフ・セーゲルスタム/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲3番、レイフ・セーゲルスタム/ノールショピング響。4楽章形式。恐ろし気なTimpロールより始まる。全体的に暗く緊迫した感じが続き、何度も静けさからリスタートするような動きや急激なcrescで狂暴になる部分もあるが、比較的短いパートが接合されているような感覚は2番同様。3楽章の金管、Percはインパクトがある。

交響曲4 2024.08.20
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲4番、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。基本的な曲想は変わらず、悲観的で暗い。また、小さな部分の繰り返しや接合の感じも変わらず、方向性や終わりが見えない。ただ、3か所ほど、弦の落ち着いた安らかな部分があって少し救われた気分になるが、それも持続しない。聴くのが苦しくなる音楽。

交響曲5 2024.08.20
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲5番、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。4楽章形式。1楽章は同じ音形の繰り返しが空虚に進む。2楽章はリズムを刻みつつ何度かcrescで不安を掻き立てる。3楽章は長く、数回の狂暴なcrescに悲痛な金管の叫び。4楽章は悲しい寂しさが続き、Percの急激なcrescの後、やはり同じ音形の繰り返しで不安を与える。

交響曲6 2024.08.20
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲6番、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。60分の大作。曲想や雰囲気は変わらず、同じ音形を繰り返しつつcrescで不安や恐怖をあおる。暗い弦の最弱音で始まり、前半は寂しく空虚な弱音部と激しい怒りと悲痛、恐怖が入り乱れる。後半の20分に及ぶ悟ったかのような長く遅い哀歌は印象的。悲嘆にくれて終わる。

交響曲7 2024.08.20
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲7番、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。構成、技術が整理され、よりストレートな表現による不安と激しい絶望感を感じる。前半では底辺に流れる悲しみが強烈なcrescとともに金管の咆哮になる。一瞬の安らぎも悲しく、悲痛さが戻る。弦楽合奏に穏やかさを取り戻すが、再び緊迫し不気味な低音を経て、寂しさの中に消える。

交響曲8 2024.08.21
レイフ・セーゲルスタム/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲8番、レイフ・セーゲルスタム/ノールショピング響。1部は静かに始まり、長いフレーズのcrescはあるが、延々と悲しく空虚な雰囲気が続く。1部後半は何度かPercを伴うcrescで荒廃し、不安な音形のまま静まる。2部に入っても陰鬱な不安と、時折、激しい絶望感を繰り返す。最後の叫びの後、徐々に静かに消えていく。

交響曲9 2024.08.21
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲9番、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。70分の大作。上下動と早い刻みが不安と焦りを募り、速度を維持しながら長いcrescで金管が吠える。弦と管の不安な長い掛け合いが哀歌となり、Tubaの不気味なcresc後もリズムを刻み同じ音形を繰り返す。Percと金管が波のように何度も押し寄せ、弦の哀歌が短いFlの救済となる。

交響曲10 2024.08.21
レイフ・セーゲルスタム/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲10番、レイフ・セーゲルスタム/ノールショピング響。激しく慌ただしく重なり合い、Percも入っての狂乱から、Trb、金管にPercが入って騒然とした不安が長く続く。弦と木管の混沌とした状態より再びPercと金管が荒れ狂う。Picc、弦の高音とPercリズム、金管の叫びが徐々に高まり、弦楽合奏の悲哀から再び金管の激しい叫びとなる。

交響曲11 2024.08.21
レイフ・セーゲルスタム/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲11番、レイフ・セーゲルスタム/ノールショピング響。虚ろで悲し気に始まるが、何度か急激なcrescでPercと金管が悲痛な激しさを増す。混沌としたフレーズの繰り返しの合間に金管が叫び、徐々に不安が増大してPercと金管の叫びが頂点となる。最後の叫びは消え入ってしまう。

交響曲12「広場の死者」 2024.08.22
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲12番「広場の死者」、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。ウプサラ大学創立500年記念委嘱作品で合唱入り。チリの労働者虐殺事件がテーマらしく悲劇性の強い作品。内面的な悲嘆や激情ではなく、客観性が増し合唱が入ることによる崇高さと深みが出た。全編、インテンポで押す合唱の推進力、訴えは力強い。輝かしく終わる。

交響曲13 2024.08.22
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲13番、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。急激なcrescよりTuttiとなり、一定のリズムで強弱を繰り返し、空虚に、凶暴に何度も迫ってくる。金管が重く厚く響く。大きな3拍子での咆哮が弦と木管で一旦収まるが再び荒れ狂う。Vnの悲哀から弦楽合奏が悲痛に透明に響く。再び激しさが戻り、最後は全合奏の厚い和音で終わる。

交響曲14 2024.08.22
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲14番、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。弦の悲嘆に暮れた3拍子に金管も入り混沌とした状態が続く。枯れたFlよりTrbの悲嘆へ、寂しい静けさに金管とPicc、Percの叫び、早いテンポの狂乱が鎮まっては悲痛な叫びが繰り返される。緩急強弱が感情の山谷となり、最後は不可思議なのロングトーンで終わる。

交響曲15 2024.08.22
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲15番、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。14番同様に激しい感情の起伏が緩急強弱となる。テンポ、リズムを変えながら、ひと時の不安な静けさは都度Percと金管のcrescに破られ悲痛な弦とPiccが叫ぶ。落ち着いた弦楽合奏が広がり速度を落とし、不穏な中、木管の和音に金管が覆いかぶさり弦の未解決の叫びで終わる。

交響曲16 2024.08.22
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲16番、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。27分と比較的短く、ASaxの現代的な協奏曲。他の曲のような激しい内面感情の起伏はない。Asaxがスピード感を伴いながら、柔らかく少し異質な音色で緊張を維持する。中間部はゆったり静かで茫洋。明るさなく軽快さを取り戻し徐々に緊張が高まった後、静まり消える。

交響曲17 2024.08.22
クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響

アラン・ペッテション 交響曲17番(断片。ブルリカ、リンドべルイ補筆)、クリスティアン・リンドベルイ/ノールショピング響。未完の曲の冒頭7分を補筆した様子。複雑な重なりが続いた後、Fg、Flからリズムを刻みつつ弦の長いフレーズが続き、緊張の中、Trb、Hrn、Tubaが絡む。内面的な感情よりも、現代音楽の側面が強い。断片なのでぶっつり終わってしまう。

交響曲 2024.08.22

アラン・ペッテション 交響曲17曲を聴いた。テンポを維持しつつ同じ音形を繰り返し徐々に頂点へ向かう。前半の曲は内面的な不安や悲痛から絶望と怒りの激情表現だが、12番以降は趣きが変わり、現代音楽としての客観性が出る。7番では構成が整理され感情がストレートに伝わる。12番の合唱は印象的。交響曲の一時代を背負う作曲家だが、好きになれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?