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交響曲9「ザ・グレート」 2023.03.29
ハインツ・ホリガー/バーゼル室内管

古楽器を用いたオケの響きは鮮明で細かなニュアンスもよく分かる。1楽章は早めの冒頭から終始きびきびしている。2楽章は木管と弦のやり取りが上手い。3楽章は落ち着いた進行、4楽章は想像通りの歯切れ良さ。これが原点だと思うが個人的には響きのコントラストが強く現代オケの響きの方が馴染む

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.12

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」。交響曲を聴く旅のきっかけとなったのがシューベルト、とりわけこの9番。繰り返し色々な演奏を聴いているが、まとめてきちんと聴いてみようとずっと思っていた。今回、18通りの演奏をピックアップして聴いてみることにする。まずは基準としているワルター/コロンビア響からスタート。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.12
ブルーノ・ワルター/コロンビア響

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、ワルター/コロンビア響。この曲の基準となる演奏。1楽章は出だしより繊細、遅くならずに適度な躍動感がある。2楽章は繊細、3楽章は歯切れ良く、どちらも歌がある。4楽章は想像以上に活気とスピード感がある。全体にテンポが安定しており繊細な表情。オケは明るく歯切れ良いが、音に深みがなく少し硬く荒いのは致し方ない。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.13
クラウディオ・アバド/ヨーロッパ室内管

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、クラウディオ・アバド/ヨーロッパ室内管。全集としてもベストの一つ。流れるように滑らかで表情豊かな演奏。テンポも重々しくならず、良い意味で軽やかさがある。録音もよくすっきりした響きで、オケも分厚くならず柔軟で各パートともに上手い。一部、アバド自身による譜面と解釈の見直し、変更が入っている。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.13
カール・ベーム/ウィーン・フィル

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、カール・ベーム/ウィーン・フィル。冒頭のHrnは伸びがない。柔らかな演奏だがメリハリも歌も不満足。全体通してテンポがどうもピタリと決まらず不安定。ソリストは上手いが、ベームはオケを十分コントロールできていない印象で、きちっと整理されていない。録音は少し薄い反面、不自然な低音のふくらみがあったりする。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.13
イシュトヴァン・ケルテス/ウィーン・フィル

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、イシュトヴァン・ケルテス/ウィーン・フィル。流れるような冒頭からメリハリの利いた展開までケルテスの統制ぶりがわかる。早めのテンポで突き進む演奏で、あっさりしておりじっくりとした味わいは薄い。4楽章は溌溂としているが、やはりあっさり終わる。全体に淡々としているが少し粗さも感じる。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.14
リッカルド・ムーティ/ウィーン・フィル

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、リッカルド・ムーティ/ウィーン・フィル。落ち着きがあって堂々としており、繊細さや可憐さ、シンプルさよりも、力強さ、威厳・風格を感じる。現代のフルオーケストラの能力を発揮したスケールの大きな演奏。オケは柔らかな音色で上手くバランスも良い。要所をきちっと決めるところはムーティの統率力を感じる。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.14
ジョン・エリオット・ガーディナー/ウィーン・フィル

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、ジョン・エリオット・ガーディナー/ウィーン・フィル。早めのテンポで軽快に淡々と進む。リズムが明快でメリハリが利いており小気味良く、粗さも感じない。奏法も楽譜の原点に近いように思う。オケは機敏でとても上手い。ウィーン・フィルで4つの演奏を聴いたが、指揮者の違いが明確に出ており、オケもちゃんとフォローして面白い。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.14
ジュゼッペ・シノーポリ/ドレスデン州立歌劇場管

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、ジュゼッペ・シノーポリ/ドレスデン州立歌劇場管。柔らかな響きが特徴的。1楽章は早めのテンポでぐんぐん進み、2楽章は豊かな起伏があり、3楽章は比較的ソフトで流れるよう。4楽章は再び早めのテンポできびきびとしているが、ややテンポが不安定。全体にオケのサウンドが美しく、表現も細やか。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.14
ウォルフガング・サヴァリッシュ/ドレスデン州立歌劇場管

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、ウォルフガング・サヴァリッシュ/ドレスデン州立歌劇場管。遅めのテンポでゆったり、作為的なことはせず、オケを鳴らしている感じ。2、3楽章も同様、安定したテンポを維持。4楽章も安定したテンポで、きっちりとした演奏で盛り上がる。奇をてらうことのない真面目な演奏でサヴァリッシュらしさが出ている。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.16
ヘルベルト・フォン・ブロムシュテット/ドレスデン州立歌劇場管

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、ヘルベルト・フォン・ブロムシュテット/ドレスデン州立歌劇場管。冒頭より早いテンポで進み、あわただしく味わいはない。2楽章も比較的淡々としている。3楽章は比較的ソフトでパンチや起伏は少ない。4楽章もキレがなくあまり面白くない。この頃のDGの録音は弦がひきつったようで聴きづらい。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.17
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル。あまり弾まず非常に滑らかで爽やかな出だし、フルオーケストラの重厚さもあり豪華で、この組み合わせの特徴は変わらず。テンポは早めで2楽章などもう少しじっくり聞きたいところだが、オケは奏法も統一され破綻なく、木管ソロも上手い。DGの録音は高弦、低弦ともに今一つ。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.17
カール・ベーム/ベルリン・フィル

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、カール・ベーム/ベルリン・フィル。VPOとの演奏が期待外れだったためBPOも聴く。両者の演奏時間はほぼ同じ。冒頭のHrnは同じ解釈。1楽章や3楽章など遅めのテンポでゆったり響かせる。軽やかさや繊細さはあまり感じない。メリハリや締まり、透明感はBPOの方があるが、4楽章などやはりテンポが怪しいところがある。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.18
ギュンター・ヴァント/ミュンヘン・フィル

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、ギュンター・ヴァント/ミュンヘン・フィルのライブ。非常に落ち着いた感じで、余計な力みや気負いがない穏やかな演奏。テンポは安定しており、時折、遅めにじっくり聴かせる。全体的に刺激を伴う躍動感やインパクトは少ないが、良い意味でスタンダードな演奏で好感が持てる。指揮者の特性が出ていると思う。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.18
セルジュ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィル

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、セルジュ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルのライブ。やや遅めのテンポを維持して丁寧な演奏。2楽章は優しく安定。特に3楽章は遅く少々重たい感じ。4楽章も遅めでどっしりしており、全体に歯切れ良さや躍動感はない。最後のdimは力が抜ける。録音は演奏の前後に拍手が収録されており、臨場感がある。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.18
オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管。クレンペラーの特徴である細部まで行き届いた丁寧な演奏で、各パートごとのバランスがよく、裏の弦の動きなど細部まで動きがよくわかる。テンポも安定しおり安心して聴ける。3楽章はワルツ感を感じる。4楽章は歯切れ良い。録音もよく古臭さは感じなかった。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.18
ニコラウス・アーノンクール/ロイヤル・コンセルトヘボウ管

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、ニコラウス・アーノンクール/ロイヤル・コンセルトヘボウ管。細かな表現や解釈に指揮者のこだわりが窺える。フルオーケストラでも大きすぎず、堅実で硬い。1楽章は早めのテンポで軽快に進み、2楽章も重くならずにきびきびした感じ。3楽章は柔らかく格調高い。4楽章は小気味よい。オケは柔らかな音色で爽やかな透明感がある。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.18
ネヴィル・マリナー/アカデミー室内管

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、ネヴィル・マリナー/アカデミー室内管。非常に繊細で情緒的。角がないゆったりと優しい表現より、一気に加速し躍動感が増す。2楽章は安定したテンポで繊細。アンサンブルは非常に美しい。3楽章は激しすぎず気品があり、4楽章は軽やかで一気に聴かせる。オケも爽快で上手い。ベストの一つ。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.19
フランス・ブリュッヘン/18世紀オケ

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、フランス・ブリュッヘン/18世紀オケのライブ。古楽器での演奏で、各楽器の音色は素朴で味わいがある。現代の機能的なフルオーケストラに比べ、当然、豪華さやスケール感はなく、逆に、所々に驚きと発見がある。細かな表現にも随分違いを感じる。全体的に、おっとりした感じ。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.19
小澤征爾/サイトウ・キネン・オケ

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」、小澤征爾/サイトウ・キネン・オケ。全体的に音の処理が丁寧で、尖ったところがなくソフトで軽快。細かな部分を大切に、テンポも安定感があり重くならずにクリアに仕上げられている。オケはよく統制されており、特に木管、Obなどソリストはうまい。Youtubeにはライブ映像もあるので、また見てみよう。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.19

シューベルト 交響曲9番「ザ・グレート」 18組の演奏をとても楽しく聴いた。ワルター/コロンビア響は懐かしさもありこの曲での基準だがオケが薄い。アバド/ヨーロッパ室内管は上品で繊細さ、躍動感があるが、アバド独自の譜面改変に違和感がある。ムーティ/ウィーン・フィルは、威厳があり格調高いが、この作品にしてはスケールが大きすぎかも。

交響曲9「ザ・グレート」 2023.01.19

ヴァント/ミュンヘン・フィルは落ち着いた演奏。クレンペラー/フィルハーモニア管は細部までよく表現されている。アーノンクール/ロイヤル・コンセルトヘボウ管は、硬く堅実で透明感と躍動感があり格調高い。マリナー/アカデミー室内管の演奏も繊細で軽快、曲の良さが満開で今回聞いた中では一番の再発見だった。全部で長時間の視聴だったが、好きな曲だけに楽しかった。

交響曲1-4 2019.03.05
ブロムシュテッド/ドレスデン歌劇場管

今度は、がらっと変わって、シューベルトの交響曲を1番から。今日だけで4番まで聞いたけど、最近、ヒンデミット、オネゲル、ペンデレツキをずっと聞いてきたので、シューベルトはとてもクラシック!キビキビしたところがいいね。

交響曲4,5 2019.03.06
ブロムシュテッド/ドレスデン歌劇場管

今日は、4番、5番を聞きました。7番が欠番で、8番が「未完成」、9番が「ザ・グレート」なので、あと3曲。おなじみの曲。

交響曲6-9 2019.03.07
ブロムシュテッド/ドレスデン歌劇場管

シューベルト交響曲、欠番の7番以外、9番まですべて聴きました。ブロムシュテッド/ドレスデンの演奏。シューベルトは、歌が多くて、きびきびしたところが好きかな


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