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モンゴル旅行記 day4 大草原のゲルで乗馬をする

モンゴル国際草原マラソンからの帰路のバスではみんな爆睡かと思いきや、そんなものは断じて許さぬ、とモンゴルの凸凹道路が牙を剥く。

シェイクされすぎていろんなものが散乱する車内だが、驚くべきことにちびっこ達はとんでもない姿勢でも全然寝れていた。この才能を分けてくれ。

晩飯は海外旅行恒例の現地日本食。スフバートル広場東隣にあるNAGOMIなる店でCHANKONABEを食す。チャンコの名前が使われるあたり流石相撲の国。分かっている。

味はかなり美味い。地元料理はとりあえず肉焼きました!食え!みたいな感じなので、鍋の出汁が身に染みる。

ちゃんこ鍋
中途半端にライトアップされたスフバートルで

無事に今旅行の主目的であったマラソンを消化し、一方で予想以上に足へのダメージがないことに我ながら驚く。もしやアスファルトより草原のほうが適性高いのかしら?ともあれ自らの肉体を褒めちぎる。おい足、お前鋼か?

これなら残りのノルマも消化できそう。やっぱりゲル訪ねて馬に乗らない限りモンゴル旅行は終われないのだ。
ということで宿のオーナーに乗馬とゲル訪問したいねん、と言うと待ってましたとばかりに、目を爛々と輝かせて営業を始めるオーナー。自作のガイドブックを机に広げる様はまさしく生保レディである。

あなた使える日程は???1日だけ!?ん〜〜ほなこのルートとかどうかしら?

んーそれにしますわ。

ここで消えていく150ドル。全くもって円安が憎い限りである。

なお後で判明したことだが、この150ドルという金額は、モンゴルの同レベルのツアーと比較すると7割ほどというのは現地JICAの人の談である。

翌朝8時。宿の前に車が迎えにくる。今日の同行者は僕の倍は英語ができるであろう(TOEICスコア換算)学生ガイドのブドゥカと、ドライバーの、、、名前は5文字で濁点がありました、の2人である。

そんなドライバー(結局名前にゴがあることしか覚えられなかった)がエンジンをかけると響き渡る聞き慣れた音声。

「ETCカードが挿入されていません」 

ばりばりの日本のトヨタ中古車である。この日本語何言ってるのか分かるの?と聞くと、日本の宗教の呪文的なやつでしょ?と返される。アッラーアクバルじゃあるまいし、、、。

当然カーナビも据え置き。「交通情報」だの「現在地」などのボタンもあるがもちろん無用の長物。ドライバーはただ音量ボタンだけを一心不乱に操作していた。

まずはウランバートルを一望できるスポットに行くらしい。車中でブドゥカの説明聞く限りどう考えても一昨日訪れたザイサイトルゴイである。そんなまさかなぁ、と思っていると、到着した先は案の定ザイサイトルゴイであった。一昨日ここまで歩いてきた意味よ。

ぶっちゃけ何があるか全て分かっているが、それは声に出さないのが社会人でる。

ザイサイトルゴイからの眺め

ただしここで僕の嗜虐心が目を覚ます。展望台の上にある例のアレ、ソ連とモンゴルで日本ボコリました!レリーフを指差してあたかも今気付いたとばかりに言う。

ワォ!これ踏まれてるのうちの国のフラッグ(旭日旗)やんけ!!

僕の指の先を見て、やべっ、という顔をするブドゥカ。あわててフォローをしてくる。

昔はいろいろあったけど、今はモンゴルはロシアとも中国とも日本とも仲良くしてる!うちはフレキシブルな外交!日本好き!

なんかごめんね。反省である。

まぁ流石にこれは前座ということで一気に郊外に出陣。ウランバートルから北東のナライハ方面に通じる幹線道路はモンゴルにしてはすごくマトモで、昨日の西方面とは車のバウンドの数がまるで違うし、なんと料金所もある(通行料は1000トゥグルグ)

安心して乗っていられるので余裕も生まれ、ブドゥカといろいろ話をするが、この男とはかなり波長が合うということが判明。とはいえお互い、、、いえ、僕はかなりのカタコト英語ではあるが。

ブドゥカは言う。

俺のアメリカンフレンドが言うにはな、アメリカの講義カリキュラムはめっちゃ柔軟らしいねん。羨ましいわほんま。モンゴル頭固いから無理やわ。

あ、それ日本も同じやわ。

※僕は学生の設定である。

マジかーーー。お互い大変やなぁ。

たぶん中国も韓国も台湾も似たような感じちゃうかな??

もう東アジア終わりやね

「「HAHAHAHAHA!!!!」」

そして最高に盛り上がったのは好みの映画が一致したとき。そう、我々は互いにマーベル作品が大好きだったのだ。

アベンジャーズみた???インフィニティウォーやばくね??

わかる。ソーのハンマー持つシーン痺れたわ

あ~~~~~(オタク特有の語彙力のなさ)

そんな会話をしているうちに、遠くの草原にやたらギンギラギンに輝く物体を確認。ギンギラギンにさりげなく、とは全く真逆のこのスポットこそ次の目的地らしい。段々近付くにつれて分かる物体の正体、
それは高さ52mもある銀色のチンギス・ハーンの騎馬像であった。
高さ約50mで銀色ということは昭和版メカゴジラとほぼ同じサイズだが、たぶん戦ったらこっちのほうが強そうである。騎馬やし。

このチンギスさんは4階建てで、地下1階はモンゴル帝国に関する展示、1階は土産物屋、2階はレストラン、3階はただのフロアだが、騎馬像の馬の頭にある展望スポットへの階段に繋がっている。エントランスには世界一でかい靴も展示されてるし、鷹を腕に乗せてくれたり、ラクダに乗れるサービスもあるなど、モンゴル的には力を入れてるスポットみたいだが、そもそも辺鄙な場所にありすぎるせいか観光客はほぼいない。街おこし事業としては明らかな失敗だが、よく考えたらこの近くに街はなかった。

銀色のチンギス・ハーン像
中にも入れるよ
世界で一番でかい靴らしい


続いて幹線道路から外れ草原へGO。一転変わって昨日の道路が沖縄のドライブデートコースに思えるほどの悪路に突入する。トヨタの設計陣もまさかこんなとこで走らされるとは夢にも見ていなかったであろうが、ここを通らないとノルマ達成できないのだ。
なおモンゴルでの金持ちの証はトヨタのランドクルーザーである。

そのへんに牛がいる国


草原の中を駆け抜けて現地遊牧民のゲルに到着し、炒め焼きそばみたいな料理をご馳走になる。というかこれはもしやラグマンでは?ウズベキスタンでも食べたが、中央アジアの高原地帯の料理はやっぱり似通っている。

ゲルについてだが、観光客がイメージするようなカラフルな絨毯やレースが散りばめられたいかにもインスタバエしそうなゲルはあくまで観光用であることは肝に銘じなければならない。

本来の遊牧民の生活ゲルはとても素朴かつ質素。中にある竈から伸びる煙突が、そのままゲルのてっぺんからニョキッと突き出ている。生活用品も壁からフックでかけており、大型家具というものは殆どない。ただし時代に取り残されているのかと思えばそうでもなく、ちゃっかりサムスンのテレビが置いてあった。太陽光パネルと移動式アンテナがあるので見れるらしい。文明すげえ。

現地人のゲル
現地人のゲル
現地人のゲル
頂いたラグマン?


なおトイレの場所を聞くとゲルから100m以上離れたところにポツンとある掘っ立て小屋を指差される。てっきりモロッコの時みたく、トイレイズエブリウェアー!と言ってくれると期待していたのだが、ダメみたいですね。
ただし間違いなく大自然を感じるトイレではあった。

モンゴリアンローカルトイレ

ラグマンを食べたあとはいよいよ乗馬タイム。今回の乗馬は遊牧民インストラクター&茶色馬と、自分&灰色馬の2セット体制である。勝手にインストラクターがこちらの馬まで先導してくれるので、僕はただ馬の上に乗っかってるだけ。少しくらいチンギス・ハーンごっこしても良いよな?と思うも余計なことはしないようにね、と念を押される。こいつエスパーか?

これで遂にモンゴルで乗馬&ゲル訪問というノルマを達成するわけだが、こと乗馬に至っては開始からすぐある問題が発生する。

先導してくれるインストラクターの馬、その尻からひっきりなしに奏でられる生命の旋律。

ブッブッブッブッ

屁をするな、屁を。

そして割と臭い。

だがここはモンゴル。人間のヒエラルキーは羊以下なので、馬様にそのお臭いお屁をお辞めになっていただけませんでしょうか?などとは口が裂けても言えない。あ、次はおウンチを出された…。

馬小屋(野外)
乗馬体験をする

お馬様のお屁を全身に浴びながら乗馬を継続していると、進行方向に牛の群れがタムロしている。避けるかと思いきやそのまま突っ込んでいくインストラクター。牛VS馬、どちらがこのモンゴルアニマルヒエラルキーの上位存在かこれではっきりするのである。

そして勝者は馬側であった。すごすごと道を開ける牛達の間を相変わらずブッブッブッと煽るように屁を残していく馬様。これが王者の風格なのか。

馬>>>>>牛の瞬間
ゲル集落

たっぷり1時間かけてゲルに帰還。インストラクターが、せっかく来てくれたんだからいつもより長めに乗馬したんだぞ?とドヤってくるが、正直君の馬から何百発の屁を食らった身からすればありがた迷惑もいいところだ。しかも大事なことに僕の乗ってた馬の方は、屁を一回もしなかったのである。なんというお利口さん。 

だが馬よ、余を乗せてくれた灰色の馬よ、汝が誠の強者を目指すなら、屁は恥じらうことなくするべきだろう。その爆音をもって他者への威圧と成せ(井上靖著:蒼き狼っぽく)

15時頃にゲルを出立しウランバートルへの帰路につく。
これ程シャワーを浴びたいと思った日もない。


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