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東欧旅行記 day3 コソボ最大(唯一?)の観光都市、旧都プリズレンを歩く

コソボ人激推しのプリズレンにやって来た高橋。プリシュティナが落ち着いた雰囲気なのに対してこちらはどこか賑やかで活気に満ちている。コソボ最大の同盟国、というか構成民族的にはほぼ兄弟国であるアルバニアが近いということもあり、前者が政治都市に対してこちらは商業都市といった趣きか。※コソボ人の9割はアルバニア系である。

プリズレンのバスターミナル

バスターミナルからは徒歩15分程で人でごった返す旧市街に入る。そう、プリシュティナと違いこの街は観光客が多い。それも尋常じゃないレベルで多く、これまで訪れたバルカン半島の都市の中でも中心部の観光客の密度という意味ではあのドブロブニクを超えるかもしれない。まぁ僕がドブロ行ったのはオフシーズンの3月だったけども。

肝心の旧市街は小さな川と要塞が聳える山に挟まれたコンパクトなものだが、シンボルでもあるシナン=パシャ=モスクを中心に旧オスマン領の匂いをプンプンさせている。

プリズレン旧市街

このモスクのすぐ裏側にある宿にチェックイン。若めのスタッフ(というかたぶん住民)は昨日ビールたらふく飲んでヘロヘロらしく目が死んでおり、ひたすら「俺このホステル全部掃除するんやで、ヤバくない?」と文句を言っていた。
でもタダでカフェラテ作ってくれたので根は良い人なのは間違いないだろう。

宿から眺めるシナン=パシャ=モスク

彼曰くコソボ紛争ではセルビア警官隊がこの宿の建物を強制的に接収したらしく、そのせいで紛争が終わるまで近くの街に退避せざるを得なかったとのこと。情勢が落ち着いて戻ってきた彼の前には、殆ど燃えてしまった街が残されてしまったのだ。でもプリズレン自体の被害はまだマシな方で、十数キロ離れた他の街はかなりのダメージを受けたようである。
今の観光客でごった返す様子からは想像もできないが、実はよく見ると街中にもその名残はあり、アルバニア系に破壊されて廃墟になったセルビア正教の聖堂があったり、他にもちゃっかり国連のコソボ治安維持部隊も街中にいたりする。

廃墟と化した正教会

なおこの国連軍の部隊、小銃持って警戒でもしてるのかと思いきや、旧市街の一番眺め良いレストランで呑気にランチをしていた。まぁたしかにソマリアとかコンゴとかレバノンとかに比べたら配属地ガチャ的には大成功の部類だろうけども。

宿で一旦の休憩を終えた後は街を見下ろす要塞まで行ってみることに。旧市街中心部から徒歩20分程度と、結構高さがあるように見えるのに意外と近い……ということは傾斜がやたら急ということである。
案の定要塞への一本道はヒィヒィ膝を突き合わせながら登る汗だくな往路組と、滑ってゴロゴロ雪玉滑落状態にならないよう細心の注意を払うヨチヨチ復路組で大渋滞。
途中に休憩用のベンチなんてものは一つも設置されていないあたり、バリアフリーという言葉はこの国では死語であると実感。

でも登りきった先にあるこの要塞からの眺めは素晴らしく、旧市街は勿論その遥か先にはアルバニアとマケドニアの国境である標高2764mのコラプ山が頂きに雪を纏う様子が見て取れる。プリズレン来てここに登らないという選択肢はないだろう。しかもタダである。

バリアフリーに予算を掛けないのは要塞をタダにするためだった…ってこと!?

要塞から見たプリズレン

要塞から降りて、ひたすら街を歩き回って分かったことを書くと、レストランは川の南側の旧市街に集中しており、対岸側の新市街には殆どない。あと駐車場が少なく、かといって道幅も狭いので特に旧市街の中は無限に渋滞している。間違ってもレンタカーで旧市街のホテルに来ようとは考えないことだ。また川を遡った渓谷には川にへばり付くようなショボい屋外遊園地がある。ただちゃっかりと新市街側にも遊園地はあるのでどこに需要があるのか果たして謎である。

また街中に至る所に水飲み場があるのもプリズレンの特徴だろう。山からの雪解け水が豊富なこの街では安心して井戸水を飲むことができるのだ。旧ユーゴは国内にユリアンアルプス等の山々を抱えていたこともあり、意外とこの例は多く、セルビアやクロアチアでも山が近い場所だと水を飲むことができた記憶がある。

街のシンボルことシナン=パシャ=モスク

晩飯は旧市街中心部のシャタルヴァン広場に面したKONAKなるレストラン。ツナサラダとコフテを注文して合計10€。イスタンブールアホアホ空港の激マズ12€なんちゃって飯と比べたら雲泥の差だが、それでも日本円換算だと1500円なのでもう少し頑張りがほしい。ツナサラダはまだしもコフテは塩胡椒をぶっかけ過ぎである。

コフテから入ってこの後はアルバニアからモンテネグロ、クロアチア、ボスニアと西側に向かっていくらしい。僕は逆にスコピオに向かってその後も北上なのでちょうどすれ違う形に。バルカン旅行はみんな行程が基本バラバラになるのが面白いところ。

そんな彼と食後のスイーツを食べることに。名前を忘れてしまったが名産品ということで食べた謎スイーツは、プリンを甘さ特化させて更に砂糖ぶち撒けたらこんな感じになるのだろうという壮絶な甘さ。虫歯待ったナシで歯医者が食べたら卒倒すること間違いなし。

虫歯必至スイーツ
夜のプリズレン




アッラァァァァァァァァ!!!!!!!

アァァァクバァァァァル!!!!!!!

0430、スピーカーの設定ミスっただろという大音量で流れ出すアザーンに叩き起こされる。本来なら悪態をつくところだが、今日に至ってはこの強制目覚ましがありがたい。
秒速で支度を整えてまだ暗い中をバスターミナルへ。正直朝焼けのプリズレンを見たかったのだが、今回も超タイトスケジュールのため少しでも前に進めておきたい。

昨日確認しておいた0530発のマケドニアのスコピエ行きの便に乗るべく寒い中待機。他に乗客はいないらしく、ボッチでの待機である。
だが5分前になってもバスの姿が見えない&同乗者が来ない。これはよもやよもや嫌な予感がする。

0530、定刻だが何も起こらない。

は?

近くにいたおっちゃんに慌てて聞いてみると運行してないらしい。

は?(2回目)

いや時刻表に0530て書いてあるやん、とターミナルの壁に貼ってあるそれを見せて食い下がってみる。

ほら、この時刻表0530と0900て書いてるやん?左は実はCLOSEしてるんや。でも右はちゃんと運行してるから大丈夫や!

は?(3回目)

な ら 時 刻 表 か ら 消 せ 

せっかくの早起きが台無しである。そりゃ他に乗客の姿見えないはずやわ。

とはいえまたえっちらおっちら荷物担いでUターンするのも疲れるし、そもそもほな行くわ!と宣言して宿を出た手前、また宿の人に見つかるととても恥ずかしい。

旧市街にはこんな水飲み場がたくさん


と思っていると、ちょうどそこに0540発のプリシュティナ行きの始発バスが来たのでそのまま乗り込むことに。プリズレンよりプリシュティナの方がスコピエ行きのバスの本数あるやろ、なんたって首都やし。知らんけど。

2時間弱で昨日ぶりのプリシュティナバスターミナルに到着。早速カウンターのおばちゃんにスコピエ行きのバスがあるか確認する。

あるわよ。次は0725だけどちょっと厳しいかもしれないわ。

今の時刻は…、0727、あっ…(察し)

空港バスと同じく鬼の定刻発車と予想。

プラットフォームには案の定バスの姿はなかった。

結局0830の次の便でスコピエに向かうことに。1時間に1本ペースというのは流石首都というところでまったく有り難い。1日1本に成り下がったプリズレンよ、もっとお客様目線に立っての商売をしてほしい。

コソボとマケドニアは距離的にも近いため、1時間もすれば国境に到着する。コソボ出国は係官がバスに乗り込んできてパスポートを回収&返却してくれるタイプだが、マケドニア入国は一旦バスを降りてブースでスタンプを貰わなければならない。シェンゲン圏ではないくせにシェンゲン加盟国と全く同じデザインの入国スタンプが押されて返ってくる。やっぱダサいなぁ。

なおコソボの出国スタンプは押されなかった。聞けば陸路だと入国も押されないらしいので、空路で入ったのは正解だったかもしれない。

これで57ヶ国目、北マケドニア共和国に入国である。

コソボーマケドニア国境
マケドニア入国スタンプ

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