英語学習と言葉のbrush up
医学系の研究領域では、しばしば目にする「寄与する」という言葉。
日本人にとっては「貢献する」という意味合いで理解するのが一般的なようです。
こと研究領域においては、少し異なる意味合いで使用されることが多くあります。
私は違和感なく使っていたのですが、薬局で行った研究を学会に発表するため、要旨を書いていた時に周りから質問を受けました。
ではここで唐突に質問なのですが、研究領域で用いられる異なる意味とは、どんなものでしょうか?
英訳して考えてみると
先の質問の答えですが、英語で意味を考えてみたいと思います。
まず「貢献する」は英語で、contributeです。
しかし、研究領域の「寄与する」は、英語で書くとしっくりくる場合が多いのがattributeという単語。
attributeは日本語では「〜に帰属する」と訳されます。何かが何かの原因になる、という意味です。
いずれの単語も、大学入試の英単語帳にも出てくるので、凡そ高校レベルの単語と言って差し支えないと思います。
それぞれの言葉が含む意味
あえて「寄与する」という言葉を例に挙げましたが、この言葉に限らず、複数の意味を持つ言葉は沢山あります。
もっと身近な例で「頭」ならどうでしょう?
身体の一部を指す「頭」ですが、頭が良い・頭を使う等という場合には「頭脳」を指していますし「一番前(先頭)」を表すこともあれば、頭が堅いというように「性格」を表すこともあります。
単に頭はheadだけど脳ならbrainかも…
いやいや、賢いを意味するなら英語だとsmart…
というように、それぞれ表す単語は英語に直してみると理解しやすいですね。
他の言葉(他言語)を使って感覚的に翻訳できると、実は言葉の意味理解に繋がりやすいのではないかと思っています。
学校での英語学習と英会話
近年、産業のグローバル化に伴い小学校から英語学習のカリキュラムが始まりました。
授業内容も、会話を念頭に置いたものへ変化しつつあります。
英語で会話が出来ることはとても重要なことです。その為に英語を頑張るということもとても良い目標。
だけど元々、日本の学校教育でいうところの英語教育は「使うこと」を目的にしてるわけではないと思っています。
本当に使うことを目的にしてるなら習うより慣れろです。
全ての教科を英語で行います、とか英語のドラマを見て感想を英語で書け、とかすればいい。
話せるようにならない英語の授業
従来の教育の中で英語を話せるようにならないから日本の英語教育は意味がないと言われがちですが、それは違うんじゃないかなと思うところです。
そもそもですが、国語と英語では教科でやってることにさして違いはありませんよね。
文法と単語を学び、発音の仕方を習い、文章に書かれた意味を読解して、自分から表現する。
国語の場合、普段から話してるので違和感がないだけで、会話の授業などありません。
しかし、じゃあみんな日本語がきっちり話せるかというとそうでもなく、作文だって得意な人ばかりではありません。
それでも、会話を念頭においた日本語の授業をしましょう、とはなりませんよね。
言葉の学問を学ぶ意義
そう考えると、国語と英語の教育には共通の、しかし、ただ「言葉を使う」以外の目的がありそうです。
ここで言葉について改めて考えてみます。
我々が言葉を発する際には「どんな内容を話すか(=思考)」と「どんな言い方をするか(=表現)」という2つの考え事をしていると思います。
先の例にあるように、英語を学習すると、文法の違いや単語、品詞に対するイメージの違いを通じて、言葉を多角的に捉えることが出来るようになります。
すると、まず表現力が変わります。いろんな言葉を知っている方が言葉の選択肢は増えるためです。
しかしそれだけでなく、思考の幅も広がるのだと思います。我々が思考を行うとき、自分の中で持っている言葉を用いて行っているからです。
そう、つまり英語と国語を一緒に学ぶことで、国語表現の幅を広げることができるようになるのです。
そして授業でできることはここまで。その得られた思考と表現の力を自在に操れるようにするには、人生の中で実践していく外ありません。
国語を学び、そして英語を学ぶことで人生をより充実させることができるようになれば素敵ですね。