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ビリーアイリッシュ新作•HappierThanEver 全曲Review (前編)
ついに、ビリーのニューアルバムが去る2021年7月30日にリリースとなりました。
前作で掴んだ数々の栄光。
一気に周囲の状況も変わったことでしょう。
自分自身は、まだビリーのライブを観たことがないのだけど、2018年のロラパルーザ(米国シカゴ)を生配信で観た。まさに『飛ぶ鳥をおとす勢い』とは、これか!!と感嘆した。
今いちばん人々が観たいアーティストがその勢いのままをMAXまで爆発させたステージ。圧巻でした。
(ステージ構成もよかったよ。)
そんなビリーが前作『When We All Fall Asleep,Where Do We Go?』から約2年半ぶりに新アルバムをドロップしましたので以下、簡単に全曲レビューしていきます。
1.Getting Older
フィニアスの優しいビートと、ささやくような優しいビリーの歌声でアルバムは幕をあける。
若干19歳でしかないビリーが『わたしたちは歳をとっていってる』と歌う。
前作の成功で、自身が感じる時間の流れ•人生の時間軸の位相は彼女の中で変わったのだろうか?
速くなった?
それともゆったりと感じるようになった?
(おそらくそれはないだろう。)
それは本人にしか分からない。
2. I Didn't Change My Number
犬の吠え声(ビリーの飼い犬?)のサンプリングで不穏に始まる曲。この吠え声が曲中とおして効果音につかわれてるのが楽しい。
『私は携帯番号は変えていない。ただ信頼する人を変えただけ。』
成功をキッカケにし、沢山の人が周りに集まってきたことでしょう。良い大人も、悪い大人も。
昔からの友人の態度も変わってしまったかもしれない。(想像でしかないが)
それは成功者のみが知る痛みでもある。
3. Billie Bossa Nova
アルバム発売前、ソングリストをみたときに、この曲の曲目に目が留まった。。
ボサノウ''ァ、、、、いいじゃん!!
曲の立ち位置としては変化球なんだけど、曲目にこうやって特定のジャンル名を入れてくるってのは今、わたしはこれに興味があるんですよという感じでファンにとっての意思表明となる。
曲はどこまでも気持ちよくながれていく。
アルバム通し、まだエンジンはかけない。
4. my future
既発曲。1曲目もそうだけどまだティーンエイジャーのビリーが『私の将来』は?と歌うことこそが問題提起的だし比喩的でおもしろい所です。
曲は2部構成みたいなかんじで、ゆったりとアカペラする前半を経て、中盤からビートに乗せて、それでもゆったりゆったりと心地良い歌声を響かせてゆく。
5. Oxytocin
エンジンがかかってくる。
このビート。。
こういうのが欲しいんでしょ?とビリーが薄ら笑ってくるようでグッときます。
曲名にもなってるオキシトシンとは (以下wiki)
『「幸せホルモン」「抱擁ホルモン」とも呼ばれています。
「飼い主とイヌが触れ合うことで互いにオキシトシンが分泌される」という麻布大学の研究チームによる論文が、アメリカ『サイエンス』誌に掲載され、世界でも話題になりました。
人と人との肉体的な接触や、簡単なボディタッチでも分泌されるというこのオキシトシン。IT革命の副作用で、「現実(リアル)=オフライン」での触れ合いの機会がどんどん減少して、触るものといえば「キーボードかスマホ画面」という、21世紀ニュータイプなわれわれ現代人は、明らかに「オキシトシン不足」になりやすい状況にいます。。』(終)
上記のようなことに加えて更にこのコロナ禍が拍車をかけるように、人と人との繋がりを希薄化させていく中でビリーはあえて挑発的なビートに乗せて、その状況すらあざ笑っていくかのようです。
とにかく、メチャクチャ、おそろしく
、、、ライブ映えしそうな曲だ!
かっこいいから早く生で観たいよ!
6. GOLDWING
ゴスペルっぽい歌い出しのあと、ビートに乗っていく。(今作ではこのパターンが多いことに気づく)
切ないビリーの歌声が奏でられて、やや不穏な空気感をも創出してゆく。
7. Lost Cause
ゆったりしたビートに乗せて歌うビリー。
ビート、ビートってさっきから言ってることに気づく。
フィニアスの曲づくりは、ほんとにプロデューサーの立ち位置もあるんだけど、その本質はビートメイカー。つまりラッパーとかの後ろでDJがフロウを乗せやすいビートをターンテーブルで回しますよね。あれに近いんじゃないかと思うわけです。
どこまでも、ビリーの歌、ありき。
ビリーが気持ちよくノリ、そして歌えるバックトラックを永遠に創出する、
ビートおたく。
であることは間違いない。
ただライブとなると、ギターにピアノにと、マルチプレイヤー•天才ぶりを遺憾なく発揮してきよります。
ほんとうにおそろしい兄妹なんです。
8. Halley's Comet
バラード。
ハレー彗星とは (以下wiki)
『ハレー彗星は、75.32年周期で地球に接近する短周期彗星である。地球から肉眼で見える唯一の周期彗星であり、かつ人によっては唯一生涯で2度見ることも可能な彗星である。多くの周期彗星の中で最初に知られた彗星であり、古来多くの文献に記録されている。前回は1986年2月に回帰し、次回は2061年夏に出現すると計算されている。』
歌詞の意味はみていないから分からないけど、会えない恋人のことを歌ったか、あるいは、
2061年まで一体わたしはいきてるのだろうか?
(そんな遠い未来ではないのですが)
ビリーお得意のそんな無常感をも湧きたたせる
本当に美しいバラード。
です。
後半。フィニアスのピアノ一本🎹とビリーの歌唱だけになるパートがほんとに美しくて。
ただただ涙です。
前半はここまでです。
後半、アルバムは、エゲツない山場を迎えることになりますのでそれはまたReview後編でぜひお伝えします。
P.S.)
前作タイトルにもあるように『眠ってしまったら私たちはどこに行くの?』とビリーは問いかけます。人称が『私たち』なので、自分ですら、自分のことすら、無意識下では分からないものなんだよ?そんな不確かさを人間ってのは抱えた存在なんだよ?とビリーは訴えかけてきます。
(世の中もそう)
不安さを隠さないから、自信のなさを恥じることないよと言ってくれるから、若者の代弁者たりえたそんなビリーのこの新作は明らかに前作と地つづきであると言えます。気になるアルバムタイトルへの深読みやジャケットについての考察も、後編にて!