The1975のNotes On A Conditional Formを聴いて。
はじめに。まだこのアルバムを聴いていない人は先入観なしで聴いたほうがいいと思うので以下は聴いてから読むことをおすすめします。
今日2020年5月22日にThe1975の4枚目となるアルバムがリリースされました。
自分は音楽評論家でもなんでもないので音楽評論家が書くような歯の浮くような文章はぜったいに書きたくないし以下はまるっと素直な感想とか、このアルバムまでにバンドがしてきたことにたいして時に時系列でどんなことがあったか書いていきます。
まず、昨日(5月21日)の夜中、23時30分ごろまで自分は起きていたんです。24時を過ぎたらアルバム音源が解禁されることはわかっていたから、このまま起きていてアルバムを聴こうかとも考えたのですが、昨日は仕事で疲れていたのもあって
万全のコンディションで聴きたい
と思い、無理せず寝ました。コンディショナルフォームをととのえた、と言うべきか。
5月22日今日を迎えて、朝自分のスマホの中のAppleMusicアプリの中にアルバムの全曲がダウンロードされていることを確認して、安心して、午前に済ます用事を済ませて午後にやっとゆっくり一巡目を聴きました。いまは二巡目を聴きながらこれを書いています。
まずアルバムを一聴しての感想...
優しいアルバムになったなぁ
と思いました。
Electronica要素やEDM的な要素が詰まってる印象もそりゃああるけど一番がほんとに全曲優しいなぁという印象です。このコロナ禍で産みだされた意味を受けいれるような優しいアルバムになってますね。
以下は主に昨年2019年からのThe1975がとったこのアルバムにまつわる動きをちょっとだけ備忘録的に記す。(細かい日付けの間違い事実誤認があったらゆるしてね)
◉2019/07/25 2020年2月21日に4枚目となるアルバムNotesOnAConditionalFormをリリースすることを発表するとともにアルバムの1曲目が環境活動家グレタトゥーンベリのポエトリーリーディングを含む内容になることを発表
◉2019/08/14 バンドのドバイ公演でボーカルのマシューが同国の反LGBTQ法に反して男性ファンにキス
◉2019/8/16 8/18 SummerSonic東京/大阪公演 (以下セットリスト)
1.Give Yourself a Try
2.TOOTIMETOOTIMETOOTIME
3.She's American
4.Sincerity Is Scary
5.It's Not Living (If It's Not With You)
6.I Like America & America Likes Me
7.Somebody Else
8.I Always Wanna Die (Sometimes)
9.Love It If We Made It
10.Chocolate
11.Sex
12.The Sound
◉2019/08/28 アルバムからのリード曲として〝People〟が発表される。あまりの楽曲のインパクトとPVに世界中のファンがザワめく笑。
◉2019/09/23 米国NY国連本部で行われた気候行動サミットで環境活動家のグレタトゥーンベリが歴史的な演説をおこなう。
◉2019/10/25 アルバムから❸曲目の発表となる〝Frail State of Mind〟をリリース.エレクトロな耳触りにきたるべきアルバムの方向性を見出すファンたち笑.
◉2020/01/14 アルバムの発売日が2/21から4/24に延期になる。
◉2020/01/17 アルバムから❹曲目となる〝Me&You Together Song〟が発表される.このころよりCovid-19の危険が世界的に問題となりはじめる。
◉2020/02/20 アルバムから❺曲目となる〝The Birthday Party〟が発表される。
◉2020/03/31 アルバムの発売を4/24からさらに延期し5/22にすることが発表される。このころには欧州のみならず米国でもCovid-19の被害が深刻となる。
◉2020/04/03 アルバムから❻曲目となる〝Jesus Christ 2005 God Bless America〟が発表される。米国が置かれている状況とあいまって曲のタイトルにゾクっとさせられる。
◉2020/04/24 当初のアルバム発売予定日だったこの日に、アルバムから❼曲目となる〝If You're Too Shy(Let Me Know)〟が発表。
◉2020/05/01 アルバムの発売に先がけて1st〜3rdの過去作を毎週末にリスニングパーティと題してオンラインで行う。メンバーのリアルタイムコメントがアルバムの視聴に合わせてSNS上で行われる。
◉2020/05/07 TheFaceMagazineとの連動企画として7人のThe1975にゆかりのアーティストが7曲のカヴァーソングをInstagram上で発表。
◉2020/05/15 アルバムから❽曲目となる(さらにはアルバムの最終曲となる)〝Guys〟を発表
◉本日2020/05/22 アルバム発表。
こうやって時系列で記すと、バンドが常にアルバムに対する期待感にむけて常に一手一手とコマーシャル的な手はずを整えていたのが分かる。もちろん世界は、それどころじゃなくてあまりにもタイミングの悪いアルバムになってもおかしくなかったところにきて、StayHomeをしている世界中のファンに対して音楽を通して常に生きる意味はあるよ、と希望のありかみたいなのを提示しつづけていたようにも見えます。
こういった手法は、このバンドは得意とするところで、2ndの発売前には
バンド辞める辞める詐欺w
みたいなのを繰り出していたような記憶も。そのあとに発表されたピンク色のアルバムアートワークとLGBTQなアーティスト写真に
一体つぎのアルバムはどうなるんだ?
と期待感を高めさせられたのも今はむかし。
今回のアルバムのことに話を戻すと、先行発表されたキラーチューン群を、Interludeな曲たちがあいだを埋めいて凄く、ながれで聴きやすいアルバムになっているなぁと。
気になるところでいうと3曲目のInterlude曲〝TheEnd(Music For Cars)〟の曲のタイトル。TheEndといえば、かのTheBeatlesにも同名曲があり、まさにバンド終焉のAbbeyRoadの最後を飾る曲として有名ですが。。
ファンのあいだでは有名ですがMusic For Carsといえば3枚目のアルバムタイトルになるかも知れなかったワード。(のちに別タイトルになることを発表)たくさん出来すぎた曲群やこのあたりの時期の活動をMusic For Cars期とすることをマシューは言っており、それがこの4枚目のアルバムの3曲目でEndする意味とは。Peopleがアルバム内でもあまりに異質な曲であることもあいまって、実は3曲目まででMusic For Cars期は終わり。
新しいPhaseが❹曲目のFrail State of Mindから始まる
と仮定したら、、、このアルバムの非常にエレクトロな手触りもバンドの今のモードを完全なカタチで提示するものとして合点がいきます。
ただマシューは、The1975のありかたはパンクをあしらったPeopleを鳴らせることこそ、バンドの美しさだというようなことをコメントしていたりしておもしろいですね。
4曲目から、、あるいはそのInterludeとも受け止められる3曲目からアルバムを聴きはじめてみれば...ほんとうに笑っちゃうぐらい色んな楽しみ方ができるアルバムじゃないですか。
前作でIt's not living(if it's not with you)がアルバムからライブのキラーチューンになってったみたいにこのアルバムの色んな曲を、またライブで(みんなで)歌える日が早くもどることをいのって。完