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なぜわざわざ、インターネットで老人の話を聞くのか
YouTube, X, TikTokでは、私と同じぐらいの年齢(20歳)の人が、多数の動画コンテンツを挙げています。
周りの人から話を聞いたり、電車でスマホの画面を勝手に覗き見した限りだと、ほとんどの人が、若い女性や若い男性の動画を見ています。
そんな中、私の履歴を見返してみると、老人ばっかり!
具体的には岡田斗司夫さん、山田五郎さん、山田礼司さん、名越康文さんなどです。彼らの知識量がすさまじく、単純に動画が面白いというのもあると思いますが、それだけではない理由があるように感じるのです。
一応言っておきますが、「老人」というのは言葉のあやで、私は彼らの大ファンですし、尊敬もしています。変なタイトルつけてすみません。
山田礼司さんについて
VTuberとの対談動画
その理由がわかった(気がする)のが、この配信です。
山田礼司さんが、VTuberの河崎翆さんと対談している動画なのですが、とても面白いです。
内容は、「VTuberが、病まずに配信を続けるためにはどうすればいいか」という問いに答えるというもので、礼司さんの良さが随所に現れていました。
この人はもともと、「若い人がもっと幸せになってほしい」という考えを持っていて、特に礼司さんが一人で話す「ディスカバリーレイジチャンネル」で、よく若者についての話をされています。
印象に残った言葉
彼がどんなメッセージを伝えているのか、上に挙げた配信から、印象に残った言葉をいくつか紹介します。
「こんなめちゃくちゃな世の中になったのは、大人に責任がある。だから、せめてその償いをしたい」
「人生はゲームだから、辛いことがあっても思い悩む必要はない」
「自分の本当の良さは、数字には表れない」
いちばん印象に残ったのは、
「何もやっていないというのは、難にでもなれる可能性があるということだ」
という言葉です。
いやあ、ここまでポジティブに捉えられるのかと。礼司さんの話を聞いていると、自分がいかに世の中を悲観的に考えていたのかということを、思い知らされます。
別の人の話になりますが、ブルーハーツの甲本ヒロトさんが、とある音楽番組で「若いミュージシャンは、若いというだけで素晴らしい」ということを言っていました。
この世代の人たちの余裕というか、人生を全力で楽しんでいる姿には、いつも驚かされます。
書きたいことを書こう
今の世の中は、どこを見ても数字やお金ばっかりで、正直うんざりしてしまいます。SNSはその典型で、みんなが自分のことを見てもらおうと必死で、見れば見るほど気疲れしてしまいます。
そんな中で、数字なんてどうでもいいんだ、という礼司さんの言葉は、大きな励ましになります。
私も、どうしようもない記事ばっかり書いているわりに、けっこう数字を気にしています。
ときどき、自分が書きたいことより記事の伸びを優先するべきか、と考えるときがありますが、「いや、私は自分の書きたいことを優先するんだ」と自分に言い聞かせています。
浪人はすばらしい?
コスパ、タイパ(タイムパフォーマンス)なんて言葉がありますが、これは裏を返せば、無駄なことはしたくない、という私たち若者の切なる叫びでもあります。
しかし私は、こうした流れにどうしても同意できません。
私がよく見ている「ゆる生態学ラジオ」は、トキヒロさんとよしのぶさんの2人がパーソナリティを務める、YouTubeのチャンネルです。
実は、トキヒロさんが2浪、よしのぶさんが3浪しており、『合計5年宅浪したコンビが、宅浪を勧める動画』というタイトルの動画で、そのときの様子を話しています。
2人に共通しているのは、「浪人生活は楽しく、意義のあるものだった」という感想です。
特に、トキヒロさん(左)の「浪人というのは、自分がどこの組織にも所属していない貴重な時間」という言葉が印象的でした。
浪人という、世間から見れば最もタイパの悪い時期を、後悔していないだけでなく、貴重な経験だったと言っています。
余裕のない時代だからこそ、失敗したときにそれをプラスに変えられるマインドが、必要となってきています。
2人は老人ではありませんが、この話は礼司さんのメッセージと似たものを感じます。
名越康文さんについて
魅力は優しい語り口
すでに記事が長くなっていますが、名越康文さんの話もしたいと思います。
彼は精神科医で、今はYouTubeや会員サイトを中心に活動しています。
彼の魅力は、精神科医ならではの視点や体癖論による分析などが挙げられますが、私は彼の人格と優しい語り口が、最も魅力的な部分だと思います。
名越さんの口調はとてもやさしくて、動画なのに1対1で会話しているかのような雰囲気があります。
名越さんのチャンネルでは、セミナーだけでなく漫画の分析やゲーム実況も行っており、非常にバラエティに富んでいます。色々な人とのコラボもしており、誰とでもすぐ仲良くなるコラボ配信は、いつも神回になっています。
今の「私」を肯定してくれる
話を聞いていて気づいたのですが、名越さんは直接的な否定をほとんど、というか全くしていません。自分の意見はしっかりと言うのですが、毎回とても謙虚で、相手を気遣っていることが感じ取れます。
「気を悪くしたらごめんね」「あくまで僕の意見ですよ」といった言葉を、本当に毎回おっしゃっています。すごい人格者だな、とつくづく思います。
仏教を深く学んでおり、その話をよくしていることも相まって、ときどきすごく神聖な人に見えるときもあります。
ですが、とてもフランクで純粋な人という一面もあるので、ある種のかわいさも持ち合わせています。ずるいですね。
彼もやはり、生きていく中で悩んだり辛くなったりすることを肯定しており、今のままでいいんだよ、というメッセージを伝えています。
この一言にまとめるのは、さすがにやり過ぎですが、悩んでいる自分も本当の自分で、大事にしなければいけないな、と思わせてくれるのは確かです。
礼司さんの話がやる気を出す効果があるなら、名越さんの話は心を落ち着かせる効果があります。
名越さんが楽しそうにされている姿を見るのは、どんな美少女や動物よりも癒される、と言っても過言ではないかもしれません。それほど、彼には言葉にすることのできない大きな魅力があります。
老人の動画を見る意味とは?
新しいものが良いとされる現代で、わざわざ彼らの動画を見る理由は、そこに揺らぐことのない土台があり、ほんとうの救いがあるからです。
現代社会に対応するためのテクニックや、小手先のスキルを学ぶことも大事ですが、人間はどうしても弱い生き物なので、精神的な基盤を構築する必要もあります。
中田敦彦は、新しい情報は教えてくれても、楽しく意義のある人生を送る方法は教えてくれません。それは、他の”教養”動画やTikTokなども同じです。
私たちは、いつまでも若いままでいることはできません。だからこそ先を見つめて、人生の先輩から話を聞く必要があるのです。
彼らの話を聞いていると、年を取ることや死ぬことすら怖くなくなります。若くてダメな自分も肯定することができますし、自分をほめたくなる気持ちになることさえあります。
本当に、年を取るということには不思議なパワーがあるな、と思います。