人差し指を意識したらいい球投げられるようになった話。
井の頭公園で、久しぶりに野球をした。
いわゆる社会人サークル、みたいなやつだ。
急に寒くなって、朝から小雨も降り出して、ふぅ、と思いながらも
えいやっと井の頭公園の野球場へ足を運んだ。
でまあやってみると、やっぱり楽しい。
久々のユニフォーム。(あの未だよくわからないソックスとストッキングも)
久々の土、グローブ、ボール、汗の匂い。
嗅覚は覚えている。
で、アップもそこそこ、野球で一番至福の時間と言われている「キャッチボール」が始まった。
自分は中学以来まともに野球をやっていないのだけれど、
その日なぜかキャッチボール相手にあてがわれたのは元・甲子園経験者の方だった。
「いや僕でいいっすか、、?」
「いいよ!経験者でしょ?」
経験者、というフシギな境界線に戦々恐々としつつも、まあいい経験、と思いそのコウシエンケイケンシャとキャッチボールをすることに。
スーーッ、バシッッッ!
いや、キャッチボールの初球でこれ、、?
という驚きを隠しつつ僕はコウシエンケイケンシャとの記念すべき第1球を投じた。
お、まあ悪くないかな。。
と思った次の瞬間。コウシエンケイケンシャは持ち前の大声でこう言った。
「人差し指!!!!」
はて。
なんのこっちゃと首をかしげるとすぐ、
「人差し指で強く押してみてよ!君のボールの回転すごいスライドしてる」
なるほど。。人差し指を意識してリリースすることで、まっすぐスピンのかかった球になるのか。。
てか、1球でボールの回転から指のかかりまで把握してしまうこの人は何者、、、?
そうか、これがコウシエンケイケンシャ、なのか。。
当然のことながら、2球目に投じたぼくの球は、見違えるほどまっすぐ、きれいなストレート(は言い過ぎか)になった。
コウシエンケイケンシャはニヤリと笑って、
「ナイスボール。」
と小声で言った。
嗅覚だけじゃない。全身で憶えていた。
ナイスボールの悦びを。
ありがとうございました、コウシエンケイケンシャ。