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[小説]バスの中では子供心に戻れる

車の運転がふらふらして、道路の側溝に落ちそうになりながらも前へ進んでいると、前方を走る軽自動車に傷をつけたのかもしれない。明屋書店の2階に上がる階段で岡田さんに車大丈夫ですかと話しかけて、旦那さんもいらっしゃったので、申し訳ないと謝った。岡田さんは短大時代の友人で、夏休みに入る前にはカラオケをするなどして楽しんだ。とても良い人なのである。僕は良い人すぎて近づき辛かった記憶がある。僕の自宅に似た寮で、2人が話している声が聴こえたので、同じ寮に住んでいるのかと思いトイレにいるかどうか確認しようとした。話の内容というのが、僕が明屋書店で車に傷があるかどうか気にして謝った事が旦那さんにはとても誠実に感じられたみたいで、俺には同じ真似は出来ないという話だった。

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