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eyes(2)

 我が家の家事の分担によると、食事の担当は父が料理を作る。野菜料理よりも肉料理が多く、カレーなどの煮込み料理も1週間に一度は作る。僕はとても有難いと思っている、もし父が料理を作らなくなったら、買い物等の負担を考えると、恐らく弁当を注文することになると想う。母も僕が作る料理を食べるよりは良いと賛成するだろう。

 父が1週間に一回は僕に買い物を頼む、「玉子2ケース、カルピスソーダ、炭酸水、焼肉のタレを買ってきて」と父は言う。

 僕は「あいあいさ」と答える。

 卵は毎朝、卵焼き・ゆで卵・目玉焼きのどれかを5時に起きてくれて作ってくれる。母も6時には起きて、文句を言いながらもそれしかないので、口に運ぶ。僕は卵料理が好きなので嬉しい。以前美容室で卵かけご飯の話をしたら、美味しいものが食べたい時はひと手間かけるでしょと笑われた事がある。それから僕も目玉焼きを良く作る様になった。

 父が「食べた食器水につけといて」と僕に言う。

 水につけないと、ご飯が皿にこびりついて固まって取れなくなるからだ、

 僕は「母の皿と箸もつけとくね」と父に話す。

 キッチンはリビングにあるテーブルと向かい合わせになっている。キッチンの奥に冷蔵庫が置いてある。冷蔵庫は父の部屋にもあるので、買い物を担当している父は、僕と母に食材をとられない様に、キッチンの冷蔵庫には麺類と魚、冷凍の肉しか入れない。自分の部屋の冷蔵庫に大事なものを置いておく。僕も腹が空くと時々父の冷蔵庫から食べ物を拝借する。

 母は父の料理に我慢できなくなる時が一ヶ月に一回位起こる、先日も「ほっともっとの幕の内が食べたい」と僕に言う。

 僕は父にも確認する、「ほっともっとに行くけど、何かいる?」と父に話す。

 父は「いらない」と答える。

 母が健康で料理を作っていた時は、しょっちゅうほっともっとを利用していたのだけど、自分で料理を作る様になって利用する機会は無くなった。

 その理由を父はほっともっとの弁当は高価だと結論づけた。

 僕は「レストランの味だよ」と付け加える。

 だから、僕の食欲は父の作る肉料理が中心であり、今日も砂ずりとソーセージだった。母が「砂ずりには味の素をかけないと食べられない」と話す。僕は「ソーセージ美味しいね」と父に伝える。後の楽しみは一ヶ月に一回のほっともっとの外食である。今は天ぷら御膳が食べたいと思っている。父と母を見ていると食欲はまだ充分にある。僕の食欲も収まる事がない。

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