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1つの旋律が繋いだ運命の出会い。「秘密」をめぐるラブストーリー

『言えない秘密』公開直前インタビュー 古川琴音(ふるかわ・ことね)

2018年デビュー。第24回ニッポン・コネクション日本映画祭ニッポン・ライジングスター賞受賞。ベルリン国際映画祭で銀熊賞に輝いた『偶然と想像』(21年)では3編のうち1編で主演を務める。待機作に映画『Cloudクラウド』(9月公開)、『シサム』(今秋公開)がある。

じつは台本より先に、原案となった台湾版の映画『言えない秘密』(07年)を拝見したんです。全篇を通して青春のみずみずしさが印象的だった一方で、ヒロインの主人公への想いの強さに、少しゾワッとするところがありました。そんなラブストーリーは初めてだったので、台本をいただいたときも、自分がこのヒロインを演じるのであれば映画を観てくださる方にも、私と同じ感覚を味わってもらいたいと思いながら読みました。

ラブストーリーならではだと感じたのは、相手との距離の近さですね。つねにお互いの体温を感じるくらいの距離で芝居して、目を見て話していたので、慣れるまでは気まずかったり照れがあったりしましたが、京本くんも距離の近さが大事だと思っていたようで、最初に「お互いの呼び名を決めよう」と言ってくれたんです。それで私は京本くんを「きょも」、京本くんは私を「こっちゃん」と呼ぶようになりました。一緒にピアノのレッスンを受けたりと、いろいろな経験を積み重ねながら距離を縮めていきました。

クランクインの1ヶ月くらい前からレッスンを始めました。さすがにすべてのシーンを自分で弾いたわけではありませんが、自分の身体が映る演奏シーンは“ちゃんと弾いている”ように感じてもらう必要がありましたし、ピアノは雪乃と湊人にとってのコミュニケーションツールでもあります。とくに連弾のシーンでは演奏そのものよりも、隣にいる湊人への気持ちを表現したり、どうコミュニケーションするかのほうが重要だと感じたので、その演技に集中するためにもピアノを猛特訓しました。

私も試写で完成した映画を観たときに、雪乃と湊人が初めて連弾する場面、しかも鍵盤の上で動くふたりの手に寄ったカットにいちばんドキドキしたんです。指と指が触れてしまってハッとするところなんかは心臓が早鐘を打つ音が聞こえてきそうで・・・。ふたりの表情は見えないけど、だからこそ想像を掻き立てられるというか。

はい、ピアノについては相当がんばって練習したと胸を張って言えます。楽曲も素晴らしいものばかりなので、恋の行方と同じくらい注目してもらえるとうれしいですね。なかでも作曲家の富貴晴美さんが書き下ろしてくださった、物語の“秘密”の鍵を握る「secret」という曲が好きで、いまもひそかに自宅で練習をつづけているんです。

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