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ボタンのチョコレートをつくってみた

数年前、せっかくのバレンタイン、ありとあらゆるチョコレートが出回るのだから、ボタンの形のがないかな?とネットで探してみた。数は多くないけれど一種類はみつかるので、ここ数年、それを両親用と自分用にポチっていた。(母もボタンが好きなので)

もとはといえば、ウィーンのチョコレート屋さんLeschanzのボタンチョコレートが欲しいのだけど。ここはガイドブックにも出ている有名なチョコレート屋さんだが、店舗がもともと歴史あるボタン屋さんだったので、いまもボタン型のチョコレートを作っている。

でもウィーンからわざわざ取り寄せるのも大変なので、ネットで他のを探しているのです。

昨年もネットでボタン型のチョコレートを探していたときに、製菓用の型がみつかって、「そうだ来年は自作してみよう」と思ったのであった。

感心なことにそれを忘れなかったので、年が明けてわりとすぐにまずは型を注文。ネットでみつけたのが、中国製のと、英国製と書いてあるもの、どちらもシリコン製。ひとつにつき千円前後と、複数買うとそんなに安くはないけど、今後も使いたいので思い切って。

中国製のは、シンプルな四穴の丸いボタンの大小3種類が並んでいるだけ。かわいい。充分にかわいい。

英国製と銘打って売られていたものは2種類で、片方はシンプルなもの、もう片方はハート型や、彫りがあるボタン、四角いのもあったりする。どちらも同じようなパッケージだが、シンプルな方は英国製、ハート型の入ってるほうはなんとオーストリア製と書いてある。どちらも、オーストリアにありそうな村の絵が描いてあるが…このハート型はなんとなくオーストリアっぽいなぁと、実はネットで見た時から思っていた。民族衣装についてるボタンにこういうへしゃげたハートがよくあるので。

材料のチョコレートのほうは、普通のMeijiの板チョコでもいいかなと思ったけれど、せっかく手作りするのだからと富澤商店でクーベルチュールのフレークを買ってみた。そしてやはりせっかくなら一色じゃないほうがいいなと思い、ノワールとホワイトをそれぞれ150グラムずつ。ナッツやドライフルーツも入れてみようかと思ったが、初めてなのでまずはチョコだけでやってみることにした。

その昔、義理チョコだの本命チョコだの言っていたころ、「手作りチョコレートとかいっても、単に溶かして固めるだけだよね~」なんてちょっと馬鹿にしていたものだが、実は自分でやったことがなかった…そして、実際にやってみると意外に難しかった。

型をまずきれいにして、水気をしっかりとらないといけないし…
湯煎でチョコレートを溶かす方法を調べていたら、テンパリングがどうのこうのと出てくるし…
ちゃんとテンパリングしないとツヤツヤに出来上がらないとか書いてあるし…
ツヤツヤのチョコレートを作るならシリコンでなくポリカーボネートの型を使えとか書いてあるし…

よく考えたら、ショコラティエなるチョコレート専門の職人さんがいるくらいなんだから、そんなに簡単なはずはない、と納得。とにかく、片手間にはできないと思ったので、材料・道具をそろえたうえで日曜日まる一日をあてることにした。

まずはノワールから。さすが富澤商店のもの、思ったより簡単にきれいに溶けて、型に入れるのも難しくはなかったが、最初のうちはちょっと多く入れすぎてしまったりして加減がわからなかった。いつもココア作ったりするのに使っている小さめのシリコンのヘラで作業したけど、もっといいやり方あるのかな…

薄くて小さいせいか固まるのも意外に早く、型からはずすのもおおむね難しくなかった。大きめのボタンについてはほぼ問題なし!

ちょっと多く入れすぎて少しバリが出ても、簡単に削り取れた。
ハート型のボタンは、横に長いため、しっかり固まったあとで型からはずそうとするとパキッと割れてしまったりしたので、外すときには要注意。
シャツボタンサイズの小さいボタンは、空気抜きに失敗したり、バリを取るときに失敗して壊してしまったりしがちだったので、途中から使用を控えて、安心なとこだけ使うように。失敗したものは、次の材料を溶かすときに一緒に溶かして再利用。何度かやるうち、分量の感覚もだんだんわかってきた。少なめに入れて、ひたすらバンバンやって空気を抜き馴らしていって、足りなければ足す、と。

ノワールを一通り作業しおわり、ボタンらしく種類別に分けてコンテナに保存(笑)。ホワイトもやってみようとしたが、こちらはなかなか溶けなくて、ダマが残りがち。きれいに溶けてからも、すぐに固まり始めてもたついてくるので、型に入れるのも難しかった。気泡もノワールにくらべて残りやすく、バンバンやってもなかなか抜けなくて、扱いがとにかく難しかった。こちらはだいたい半分やったところで、力尽きた…背中が痛い。

問題のテンパリングについては、ノワールのほうは、完全に溶けたあとに少し容器を冷水につけて温度を下げる…程度のことはやってみたが、温度計などは使わず、あくまでも真似事のレベル。効果があったかどうかはよくわからないし、お店のチョコのようにピカピカではないが、少なくともザラっとはしてないので、まあきれいにできたのではないか。ホワイトのほうはすぐに固まってもたついてくるので、温度を下げる工程は省き、ダマを残さず丁寧に溶かすことしか考えなかった。

さて、出来上がったチョコレートボタンたち、バレンタインに間に合うようにラッピングして発送しなければならぬ。郵便局のクリックポストがけっこう早いのでそれで送ろうと思ったが、その場合、厚さ3センチまでという制限が…近所の100円ショップではちょうどいい薄い箱がどうしても見つからなかった。余計な文字とか絵とかついてるし。まあ、バレンタイン用に手作りする人はみんな手渡しが前提で、クリックポストで送ることは考えていないのか。

結局、自宅にあったいただきもののボールペンが入っていた箱(そのうち本当のボタンを入れようと取ってあった)が、梱包材込みでギリギリ3センチに収まりそう!なので、その箱にワックスペーパーを敷いて、チョコレートをできるだけいろんな種類を詰め詰め。

けっこういい感じではないでしょうか!色味はもう少しあってもいい気もするが。ちゃんと彫りや溝も出ていて、ボタンらしい!満足です。

ボールペンの箱にはスライド式の、PARKERのロゴの入った蓋がついてたので、上の面全体にきらきらした唐草っぽい模様のテープを貼ってデコレーション。そっちは写真を撮り忘れた…これもなかなか大人っぽくできて満足だったのだが。

そして、翌日には即投函したので、バレンタインより少し早く、両親の家に届くことでしょう。

ホワイトチョコレートの材料がまだ余っているので、ピスタチオの砕いたのとか、ドライストロベリーとかが入ったのを作れたら、きっとかわいいと思うので、余力のある時にやってみたい。

また、英国製・オーストリア製のほうの型は、本来シュガークラフトやマジパン用で、チョコレートにも使える、ということらしい。確かに、シュガークラフトやマジパンでボタン作ったら、もっとカラフルにできてたのしいかも知れない。できそうなら挑戦してみるかも。


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