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俳句はじめました。

日常の些細な出来事が、ことばのちょっとした使い方で「詩」になる。俳句ってすごいなぁ、自分も詠めたらいいなぁとちょっと思っていた。まずは季語の勉強からかなぁ、名人の句集を読まないとなぁ、なんてぼんやり考えていた。もう何年も。

昨年の暮れ、たまたまネットでみつけた記事で、俳人・夏井いつき先生がこんなようなことをおっしゃっていた(正確な引用ではない)。

その日あった出来事を十二音で描写し、それにふさわしい五音の季語をみつけて足すだけで、誰でもすぐに俳句が作れます。

季語以外の部分のことを、夏井先生は「俳句のタネ」と呼んでいるそうだ。たしか、彼女は他の場所でもそんなことを言っていたけど…そんなに簡単なもんだろうか。

そのあと、忘れもしない2019年12月30日、ぼんやり電車に乗っていたら、見つけてしまったんですよ俳句のタネになりそうな、年末ならではの光景を。そうか、これか!と思い、すぐに手持ちのメモに書きとめた。そして、わりと自然に一句できてしまったんである!

話は変わるが、あまりに美しいので買ってしまったけれど使い道の定まっていない2020年の手帳(見開き1週間タイプ)があった。実は同じものを2年前にも買って使いこなせなかったのだが、どうしても手許に置いておきたい、もし白紙のままになってもときどき眺めて幸せになれるならそれでもいいではないかと思って、2020年版も購入したのだった。

2019年12月には、いったいどうやってコレを使おう…といろんなアイデアを思いつく限り書きだしていたのだが、そのなかに実は「一日一句作って書く」「季語の勉強」というのもあった。ただ、あんまり現実的とは感じていなかった。

ちょうどそこへ、この夏井先生の簡単俳句レシピに出会い、わりと自然に一句できてしまったのである。「あれれ、もしかして実現しちゃう?」という気になった。

しかも、2020年の1月1日は水曜日なので、一週間見開きのこの手帳、ちょうど2019年12月30日の月曜日から始まっているのである。まったくそのことは意識していなかったのに、ちょうどその日から句作を始めたというか、自然に始まったのだから、これはもう運命としか思えない!(大袈裟)

というわけで、この素敵な手帳には、毎日一句ずつ、自作したものを書いていくことにした。とはいえ、句作が続かなかったときには、途中で使いみちを変えてもいい、日によって違ってもいい、という気持ちでいる。あくまでも愉しみのためにやっているので、そういうユルさというか、柔軟さも大切だと感じる今日このごろ。

しかしながら、びっくりしたことにいままで2週間、ちゃんと毎日一句、できているのです。本当に驚き。その日のうちに完成に至らなくても、俳句のタネになりそうなことや、そのタネに合いそうな季語をちょっと調べたりした結果を、いつも持ち歩いているA5ノート1ページくらいにずらずらと書いておけば、あとでその気になったときに改めてちゃんと検討できる。ノートを広げられないときには、小さいメモにすぐに書いておき、あとでノートに貼るなり書き写すなりする。

どうしてもできなかった日は、その時期の季語を使った名句を探してきて書くのも、勉強になるだろう。ちゃんとした季語辞典を持っていてよかった。

おもしろいもので、句作を始めてからというもの、駅まで歩いてる時も、電車の中でぼんやりしてる時も、すべて「俳句のタネを探す時間」になった。できるだけおいしいタネを探そうとするから、周囲で起きている出来事に注意深くなった気がする。(SF作家の眉村卓は、情景描写がうまくなるためには俳句がいいといってたとか)

さらには、「どんな俳句のタネに出会えるかな」と、日常にうるおいが増したという実感もある。

はじめたばかりだし、愚作の山を築くだけかもしれないが、句作自体はなかなか楽しいし、その結果がお気に入りのダイアリーに残っていくのもうれしい。庶民の文芸である俳句は、本来そういう楽しみ方をするものなのだろう。いきなりうまく詠もうとか気負わずに、まずはのんびりと続けていきたい。

もしこのまま続けられれば、1年後には366句ができていて、しかも来年も同じ手帳を迷いなく買うことができる!書き込むインクの色を季節によって変えたりすれば、なんかもう平安の歌人の風流の世界に近づけるのでは!(違)


年末にみつけた夏井先生の記事はたぶんこちら。


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