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テレビを買った。 2020年8月2日

 昨日、テレビを買った。

 18時過ぎ、妻と夜の人の減り始める時間を見計らって、横浜西口のヨドバシカメラへ行った。
 日曜日だというのに往きの電車はガラガラ、横浜駅の構内も閑散としている。急激な感染者の増加で「本来の自粛」者が増えているのだろう。

 久しぶりの横浜は、駅の導線もずいぶん変わり、東横線の横浜駅改札を出た目の前に「CIAL(シャル)」という駅のショッピングセンターの入り口が出来ていた。

 少し道に迷いながら「ダイヤモンド地下街」に出る。部活動帰りの学生と、家路につくYシャツ・スラックス姿のサラリーマンが多い印象。歩き方からすると、純粋にショッピングを楽しむ人は少ない気がする。

 ヨドバシカメラの4階フロアでテレビを物色。すでに機種は決めてあった。メーカーごとにブースが分かれているので、購入予定のメーカーの場所に行き、ホンモノを見て品定めする。

 「薄型テレビ」のなんと薄いことか。画面だけだと厚さは1センチにも満たない。約20年間、29インチのブラウン管テレビを愛用してきたものにとって、この薄さは驚異的だ。そして50インチという巨大さ――けれど、なんだかちょっとだけ頼りない気もする。

 メーカーの販売員の方に声を掛ける。価格は買い替えキャンペーンで、ネットで調べた価格よりも1万円安くなった。あとは店舗で購入した際に加入できる5年の延長保証を申し込み、古いテレビの引き取りと、設置に関するスケジュールの確認。
 ネットの方が断然安いし便利、と思っていたのだが、店で買う方が価格もサービスも享受できることが大きかった。
 販売員の方も時間をかけてテレビの複数台回収や地震対策、接続するHDDの情報なども細かく教えてくれ、とても満足のいく買い物となった。

 支払を終え、来週事務所に急きょ入ることになった複合機用の電源タップをポイントで購入し、家路につく。
 店を出て妻が言った。「これでお義父さんも喜ぶね」
 ブラウン管テレビの老朽化で、画面が暗くなり、にじみのひどかった我が家のテレビ。緑内障で視力を失われた父は、ときおりリビングのローテーブルに座り、前のめりになってテレビを見ていたが、これからはそういう光景も見なくなるだろう。

 3時間弱の短い外出だったが、久しぶりに訪れる街を興味深く眺めるだけでも、心にたまった澱が吐き出されるような気持ちになるのは思いがけない発見だった。
 同じ経路の仕事や事務所への通勤だけでは、目新しいものが入ってきづらいということなのだろうか。
 わたしにとって、旅は距離や時間に関係なく未知の見聞の大きさなのだと思うと、やっぱりどんな時でも道草は必要なんだなあとしみじみ思う。

 そんなことを考えつつ、薄型テレビが来たら我が家のネコたちのくつろぐ場所が一つ減ることがずっと気になって仕方がない。

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