「タビトシゴト=タビ+シゴトではない」 このサービスで牽引する"新しい日本の働き方"とは
こんにちわ!
KDDIアジャイル開発センターの大橋です。
私はタビトシゴトというプロダクトでアドバイザーやエヴァンジェリストといった立ち位置で関わらせて頂いています。当社の小板橋が「「タビトシゴト」というプロダクトにかけた想い」というエントリで書いたように、彼が社長にピッチしてまで熱い想いをもって始めたこのプロダクトには私も強く感銘を受け、このロールを切望し、関わることが出来ました。
私自身も様々な地域に様々な人々とワーケーションを行いながら日々業務に当たっていますが、「ワーケーション」というワードそのものに対して、様々な印象を抱かれている方がいらっしゃいます。私自身が感じた、ワーケーションに関する想いや印象を10個の質問に答えつつ、タビトシゴトが目指している新しい日本の働き方について語ってみたいと思います。
質問1 ワーケーションとはワーク+バケーションのことですよね?
違います。ワーケーションという言葉は2000年代にアメリカで生まれ日本では2017年頃にJALが持ち込んだ概念だそうです。その後コロナ禍でテレワークが主体となったことから旅先に行ってもシゴトできるでしょ、ということで一気に広まりました。持ちこんだ企業と広まり方の流れからどうしても「旅行+ワーク」という印象が強いですが、私はワーケーションの真髄はバケーションのついでに仕事することではないと思っています(詳細は後述)
質問2 ワーケーションはリフレッシュしながら仕事をすることが主な目的ですか?
「リフレッシュ」の考え方には色々ありますが、私の考えるワーケーションの目的は、普段と違う場所に行くことによって脳の違う部分を刺激し、ドーパミンを出して喜び、快感、意欲を刺激することです。この記事の中で中野信子先生がおっしゃっている「ハビチュエーション」(同じ刺激を受け続けると、神経が興奮しなくなる現象)の打破、という表現が私的にはしっくりしていて、このことが世にいうリフレッシュなのかもしれないと思ったりもします。
質問3 ワーケーションに向いている職業とそうでない職種は?
社内ルール的にテレワークやワーケーションが認められているかどうかを抜きにして考えた場合、できるできないでいえば向いているのは圧倒的にIT関係者です。また実は戦略策定やアイディエーションを主な業務として担うビジネス部門/事業部門の方も、先に書いたドーパミンの活性化という意味でワーケーションは非常に有効的です。現在殆どのOA作業がデジタル化されているので、庶務作業を行う事務担当者であってもワーケーションは可能なのですが、オンライン上でブレストを含めた全ての社内業務が完結できる環境と文化ができているか?が、ワーケーションできるかできないかの分かれ目になりそうです。
逆に向いてない職業は、カラダがそこになければいけないエッセンシャルワーカーの方々ですが、「ワーケーション」を行う日を、雑多な業務の整理を行う日に当て込んだり、非番の日にあえて私的な部分のもやもやを整理するためにワーケーション、という考え方もアリです。実際、私も有休を使ってワーケーションしていることもしょっちゅうあります。Web会議への参加を共用されないぶん、たっぷりと集中してアタマの整理が行えたりします。
質問4 ワーケーションで本当に業務効率は上がりますか?
これはその方がどんな作業を主に行われているか、によります。
業務の内容を、
①調査/インプット
②思考の深化/深い洞察
③アウトプット/資料作成
④議論
の4タイプに分けた場合、感覚値ですが①と②は向いていますが、③と④は比較的向いていないと感じます。脳の使っている部位がおそらく違っていて、①②は普段と違う環境で行うことでスムーズに進められますが、実は③はワーケーション先よりも近くのコワーキングやカフェといった、ちょっとだけ違うが集中できる環境でやったほうが成果が上がりやすいです。逆に言えば「籠もる」必要があるのが③で、ワーケーションでやるならそれはホテルなどプライバシーが守られた空間で一気にやるほうがいいでしょう。
④が向いていないのはお察しの通りですがこれには例外があって、チームでまとまってワーケーションする場合は別です。が、これはワーケーションというよりも合宿、といったほうが正しいのかも知れません。
質問5 家族との調整、どうやってやりくりしていますか?
単独でワーケーションに行く場合平日が多いのですが、問題は土日を挟む場合です。家族とのイベントの兼ね合いや、休日に私しかできない作業などもあるので、きちんと断りをいれてワーケーションに出ています。もちろんおみやげはたっぷりと買って帰ります(苦笑)
私は経験したことがないのですが、子供の長期休暇に合わせてワーケーションに行く親子ワーケーションなどもあるので、利用してみたいとは思っています。
質問6 会社でワーケーションは認められているのですか?
はい。当社はもともとフルリモートワークを前提としており、どこで働いても構わないというルールなので、一部の社員が自主的にワーケーションを行っていたりしました。さらに2023年4月からワーケーション支援制度が施行され、ワーケーションの実施に対して一定額の補助も行われるようになっています。
テレワークが可能な企業であっても、テレワーク場所が限られていたりしてワーケーションに行きにくい場合もあったりしますが、社内のルールを良く確認すると「プライバシーが確保されPCの画面や音声が外部に漏れない場所であること」といったルールになっている場合、ワーケーション先のホテルの自室やコワーキングスペースのプライベートルームでテレワークすればその条件を満たせます。諦めていた方もいま一度ルールを確認してみることをオススメします。
質問7 ワーケーションの魅力・醍醐味はなんですか?
よくワーケーション=ワークxバケーションと理解してしまう人の多くは、観光地や自然を巡ってリフレッシュできること、などを魅力に上げますが、私はまったく違うことを感じていて、それは訪れたことのない地域の特性や課題を理解し、思慮を巡らすことのないそれらの課題解決に想いを馳せ、現地の人たちと其の件を議論し、ときには自らその解決に動くことだと思います。
オフの時間帯に観光地を巡るだけのワーケーションではこの境地には辿り着けず、一度その場所にワーケーションに行くと2度めは相当先になってしまいます。これは1度いった旅行地に2度行かない人が大半であることと似ています。ワーケーションを行うに当たって絶対に外せないことはなんですか?と問われたら私なら間違いなく「現地の人と繋がること」だと答えると思います。それこそがワーケーションを行う醍醐味であり、意味であり、価値です。観光旅行とは違うのです。
質問8 人と交流することが苦手ですが、ワーケーションできますか?
同じ理由で、人との繋がりが必要なのか?に疑問を抱いていたタビトシゴト開発メンバーがいます。人との交流が苦手でも、食事に行った先で誰かと話したり、コワーキングスペースの管理人と話したりくらいはできると思います。派手に交流する必要はないですが、そういった小さな出会いから全てがはじまります。
人と交流することが苦手な人にワンポイントアドバイスです。
先に書いた、話す機会が作れる限られた地元の方との出会いのときに、おすすめの場所を聞くのもいいですが、「面白い人や地元の有名人がいる場所や店って知ってますか?」という聞き方をするといいです。そして教えてくれたその人とSNSなどでいいので、何らかの方法でゆるく繋がっておくこと。
こうすることで半強制的に新たな出会いが生まれ、お礼を送る機会もでき、あらたな面白い人に出会い、同じ質問することでさらに横に繋がっていきます。
地元の人との出会いが生まれることで、楽しかったその場所との思い出が人の繋がりで強化され、好きになる。好きになった地には何か貢献したいと思うのが人間のサガであるし、そこに人が加わると、その場所に行くというより人に会いに行く、という再訪の理由も生まれます。
質問9 ワーケーション先を選ぶ上で、ワーケーションに向いた地域とそうでない地域はありますか?
ホテルの室内でテレワークすることをワーケーションと呼んでいいなら、日本全国どこにでもワーケーションはできます。が、先に書いた通り人との繋がりをどうつくるか?を軸に考えると、コンシェルジュが居るコワーキングスペースがある場所かどうか?が、ワーケーション先として選択すべき重要な要素になります。
また、現地での行動をコーディネーションできる人がいるかどうか?もとても重要なポイントです。もちろん行き先を地元にしている親しい知人がいることが最も楽ですが、その方が地元でテレワークしているかどうか?も重要です。自宅でしか仕事をしないとか、普段は通勤しているとか、もと地元だったいう人にはその場所のコワーキングスペースの良いところなんて知るよしもないですし、テレワークしながら行ける地元の良い場所もなかなか言及しにくいと思います。
当社も入会している日本ワーケーション協会には「公認ワーケーションコンシェルジュ」という制度があり、その地域のコーディネーションを専門に行なってくださる方がいらっしゃいます。もちろん無償というわけにはいかないですが、行ってみたいと強く思っている場所にコーディネーターになれる人がいない場合には問い合わせしてみるといいかもしれません。
質問10 日本では今後ワーケーションは定着すると思いますか?
それは今後、ワーケーションできる環境にある人がワーケーションを行うことを続けるかどうかにかかっていると思います。こういった働き方が当たり前の文化として日本に定着するには、相当に長い年月が必要でしょう。なにせ日本はテレワークできる超優秀なネットワークが全国に敷設されていたにも関わらず、コロナ禍のような大惨事がやってきて初めてテレワークが普及したくらい、一箇所に集まって働くことにずっとこだわってきた民族なのですから。
他者がどうであれ、私はワーケーションを続けると思います。もちろん頻度は下がる可能性もありますが、できる人間が、自分のできることで日本を支えていくべき、という考え方は今後も変えるつもりはありません。
ワーケーション、やったことがある人もない人も、もしワーケーションできる立場にあるのであれば、ぜひ日本のいろんな場所に言ってシゴトしてみてください。あなたの人生にとってきっと新しい示唆を与えてくれると思います。
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