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情緒溢れる赤レンガの街、鹿港を旅した話。
台湾での愛しい日常、写真を添えた日記。
先日、台湾の中部にある鹿港という小さな街に行ってきた。ずっと行きたくて、友達が遊びに来るタイミングで一緒に遊びに行った。
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台南から台鐵で彰化站に移動し、バスで鹿港へ。
桃園からはまず高鐵台中站へ向かいバスで鹿港へ。
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現地集合してまずは腹ごしらえ。大勢の台湾人観光客で賑わう鹿港老街を横目に、金盛蚵仔包で蚵仔包を。特産品である牡蠣とたっぷりのキャベツ、卵を熱々の衣で包んでいる、いわば揚げお好み焼き。胡椒が効いていてとても美味しい。
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少し散歩して、蚯蚓龍山面線糊で麵線を食べる。出汁が効いていて、日本人でも食べやすい味。(友達曰くパクチーはクセが強め)あとは鹿港ならではのおやつ、牛舌餅を摘んで再びバス停へ。
16時過ぎのバスに乗って向かう先は、台灣玻璃館(台湾ガラスミュージアム)。無料だしサッと見るくらいかなと思いきや1時間じっくりみてた。
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ガラス工芸職人が作り出す透明で透き通った世界、美しすぎた。1階がお土産売り場、2階が展示場になっている。
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玻璃館の前には玻璃媽祖廟。信仰と工芸の力が融合していて、他にはないスタイルである。
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賽銭を投げてみたけど惜しくもニアピン
バスに乗って再び鹿港市内へ。元から鹿港は風が強い地域だけど、寒波の影響もあり体感気温は6度。びっくりするくらい寒かった、バスの運転手も「今日は風やばくて特別寒いわ、昨日はそんなことなかってん」て言ってた。
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冷え切った体、夜ごはんは「火鍋」で満場一致したので九品幸福鍋へ。人気店で待ち時間が45分程あったので予め予約すると良さそう。注文したスープのは獨享原味、薬膳系の出汁とニンニクを煮込んだもので忖度なしで人生で一番美味しかった。もちろん具材やご飯、アイスは食べ放題。
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鍋の待ち時間に立ち寄った鹿港龍山寺。すごく幻想的で、なんか現実じゃないような、でもまるっきり夢でもないような、夢と現実のはざまにいるような不思議な感覚。
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全体的に派手さはないんだけど、遥か昔からここに静かにかつ堂々と佇み続け人々の支えになってきた感じが伝わってきた。
鹿港龍山寺
台湾にある5つの龍山寺の一つ。台湾に残る清朝の建築物では最高の建物で、一級古跡に指定されている格式あるお寺。
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時間も遅くなったので宿へ。今回宿泊したのは以安二館というゲストハウス。マットレスがゲストハウス史上一番ふかふかで気持ちよかった。
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旅先ではできるだけいろんな街の表情を見たくて自然と早起きする。朝は宿近くの棟記豆漿で小籠包を食べ、鹿港天后宮まで散歩。
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鹿港天后宮
福建省眉州の天后宮から迎えられた台湾最古の媽祖像を祀っている。
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ちなみに鹿港は肉まんも有名で、至る所に肉まん屋さんがある。安くて蒸したてほかほかの肉まんを頬張れるのは至福。(ただ、現時点での肉まん堂々の一位は高雄の興隆居)
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人が少ない朝の鹿港老街もまた良い。天気も良く、青空とオレンジレンガのコントラストが美しかった。
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強風が吹き荒れる地域としても有名な鹿港。それを防ぐため作られた曲がりくねった道、九曲巷。この先には何があるんだろう、とどんどん奥に進んでいく。
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台湾で過ごしていると頻繁に見かける神様の行事、鹿港でも遭遇。爆竹や花火の音がけたたましいけど、これもまた残していくべき文化だなと思う。
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ちなみにこの日の朝も龍山寺へ。夜の輪郭がぼんやりした美しさも良かったが、昼間は精巧な装飾に目が惹きつけられ感動を覚える。
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保存状態が一番良い最古の作品。
龍山寺からほど近い場所に有名なとても狭い路地がある。
摸乳巷
一番狭いところで幅70cmほど。人と人がすれ違う時、狭すぎてちょっと気まずい状況になることからこんな可愛い名前になったんだとか。
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この後も、鹿港鎮第一公有零售市場で地元民で賑わう朝市の様子を眺めたり、天后宮前の大通りの屋台で芋丸を食べてみたり。
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そして最後はカフェでまったり。鹿港はおしゃれなカフェが沢山ある。今回はなんとなく惹かれた瘦子咖啡で、金木犀ラテ、金木犀プリン、麵茶バスクチーズケーキを注文。
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友達はフライトの時間があるためここで解散。(1泊2日の台湾旅行でこれだけ楽しめるプラン組むの我ながらなかなか天才では・・?)
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鹿港の見どころが多すぎて、
夜まで滞在することにした。
麵線の製造過程が見たくて阿義手工面線|福興手工面線へ向かったものの、午前中で終わってしまったみたい。「太晚了!」って笑われた。
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ここに来るまでの途中に「貝殻廟」という看板が見えたので向かってみることにした。ここら辺は中心部と違ってかなり田舎で観光客はほとんどいない、タイムスリップしたかのような時間が流れている。
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さらに奥地に進んでいくと、墓地と草原が広がっていた。その前にあった三清三元宮貝殻廟。一瞬入るのを躊躇うくらいに異様な雰囲気を纏っていた。
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勇気を出して入ってみると奥には地下へ続く階段。「歡迎參觀」なんて書かれているものだから降りてみると、貝殻で作られた壁絵が通路一面に敷き詰められている。
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三清三元宮貝殻廟
夢で貝殻の廟を作るようにとの神様のお告げを受けたオーナーが、生れ故郷に帰り、10年かけてコツコツ作り上げてきた廟。
___鹿港。
オレンジレンガの街並み。迷路のように入り組む狭い路地。その中には人を引き寄せるグルメやカフェがあって、昔から人々の心を支えてきた数々の美しい廟もある。帰りのバスに乗って鹿港を去るとき、なんだか凄い場所を見つけてしまった高揚感と達成感に包まれた。
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平日は開いていないお店が多いらしい。
今年もたくさん台湾を旅した。いろんな場所で沢山の出会いがあって、人の優しさに触れて、大好きな街がまた一つ増えていく。その愛おしさを写真を通して伝えたいなと思います。
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