「ロシア入国。人との出会い」
世界一周3日目(7月1日/月曜日)
船内は
沢山の出会いに溢れていた。
最初に会ったイギリス人やフランス人、
韓国のミッションスクールの気の良いヤツら、
ピースボート経験者、日本人神谷さんにお昼ご飯をごちそうになったり、
(マジでありがとうございました!よい旅を!)
日本語ペラペラのロシア人イーゴリさんに世界の宗教について聞いたり、
世界一周の出だしは好調です。
今、僕はOptimum Hotelというめちゃくちゃ分かりにくいところにあるドミトリーの共有スペースでこの日記を書いています。
16時にDBSフェリーはウラジオストクに入港した。
ロシア人から先に降りる決まりらしく韓国帰りのロシア人中学生を横目に僕たちは一度話しだしたら止まらないイーゴリさんの熱弁に耳を傾けていたんだ。
宗教のことなんて全然勉強してこなかったけど、この世界の持つ複雑さをイーゴリさんの体験を通して分かった気がする。イスラム教の方々とは喧嘩をするなってのが印象的だったな。群れをなしてやってくるそうだ。怖い…
重たいバックパックを背負い入国を済ませる。
持って来たSHOEGOO!(スニーカーを修理するやつ)とスケボー用の安物ベアリングはフェリーのごみ箱に捨ててきた。少しでも軽量化しないと。
ロシアは梅雨入りが遅れたみたいでロンドンのよう霧がかっている。パタゴニアのアウターを羽織った。
僕は船で知り合った元女優のアキコさんと娘のアスカさんと同行する事になった。
これからこのクソ重いバックパックを背負って予約した宿を探すとなると気が滅入ってしまうところだったが、イーゴリさんは友達と駅で落ち合い、アキコさんとアスカさん、僕をホテルまで送ってくれると申し出てくれた。
なんて優しいんだイーゴリさん!もはや彼の背後に後光が見えた。
アキコさんをホテルの部屋に残して僕たちはハバロフスク行きの切符を買いに駅まで出た。
あのね、ウラジオストクってめちゃくちゃ坂が多いんだ。Pennyじゃあんなの絶対に滑走できないくらいに急な坂道ばっか!
アスカさんは旅慣れしているとあって、自分の目的をサクサク遂行していく。
そんなアスカさんを見ていると思う事がある。
僕たちは英語を喋る際に何か完璧なものを自分に要求していないだろうか?
学歴、キャリアのために試験を受けたり、授業料を払ってまで英語を習いに行く。
昔っから、僕は日本の英語への接し方に違和感を覚えていた。だから、大学に入ってもTOEICやTOEFULなんて受けなかったし、自分で好きな教材を買って勉強していた。
アスカさんの英語を使ったコミュニケーションを見ていると分かるんだ。
ほんと、発音なんて関係ないよ。文法もめちゃくちゃでいい。おれにだって分かる簡単なフレーズでコミュニケーションをガンガンとっていく。
それで伝わるんだぜ?
英語で世界を旅すること。
確かにリスニング力は大事かもしれない。
けど、文法や発音やマイクやデイビス先生、
学校で習ったことなんかよりもよっぽど大事な事があることは間違いない。
アスカさんのコミュ力のおかげで僕たちは切符売り場までやって来た。
ロシアの列の並び方はわからないけど、とりあえず、一つの列に並ぶ。
20分くらい待たされた。それなのに僕たちの番で「Don’t work」の立て札が出た時はビビった!「ああ。これがロシアなんだ」って日本との常識の違いを肌で感じた。これから旅を続けていくとこんなことばっかりなんだろうな。きっと。
ちなみに僕が次に目指す場所はハバロフスクという街だ。
交渉手段は筆談だ。
時刻表をプリントアウトしたものと簡単なメモ書きでガラスの向こうのおばちゃんと交渉する。
そして最大の武器は笑顔と愛想!
最後にフランス語で「メルシー!マダム!」と言えばイチコロだ!
時間はかかったけど、アスカさんは見事に列車の切符を買って見せた。
よし、次は僕の番だ。
だが、最安値の席は売り切れと言う。なんだか一番高い席を表示してくるおばちゃん。
まずいぞ…
「わ、分かりません!」オーラが僕の毛穴から滲みでる。
すかさずアスカさんがプリントアウトした簡単な時刻表を見せて交渉を再会させ、僕はなんとかコンパートメントのチケットを買う事ができた。
アスカさんがいなかったら僕はチケットを買うことができず途方に暮れていたことだろう。
切符を無事入手し、アキコ母さんを迎えに行って僕たちは地ビールの美味い店に入った。
ウェイトレスさんがマジでかわいい!
(セクシーで…)
(ツンデレな表情もたまらないっっっ!)
「トイレは?」って訊いたら、「ディス☞!」とか怒って指差された。
それもまたいい。
ボルシチやライ麦パン黒パン、レッドビール
その店で食べたものはどれも初めてのものばかりだ。
めちゃくちゃ美味かった。
それにね、やっぱり人と食べるのが一番美味しいよ。
「美味しい!」って共感してくれる人がいるとそれだけで満たされた気持ちになる。
アスカさんはアキコ母さんを連れて
旅をしているみたいだ。
高齢のアキコ嬢を連れての旅はけっこう大変で苦労が多いみたいだけど、親子仲良く旅を続けて欲しいと思う。
あの日食べた料理の味はなんとなく頭のすみっこに残っている。
感動するくらい美味しかったです。ほんとうにありがとうございました。
こうして僕の世界一周第一カ国目
ロシアの旅が始まった。