「バックパッカーズ・レシピ」
世界一周13日目(7/11)
残った最後のクレジットカードでお金が引き下ろせる事を確認して、僕はバイカル湖へ向かうことにした。
この旅は世界の観光名所めぐりの旅ではないけど、僕はそこへ行ってみたかったのだ。
なんでかって?
そりゃあ、旅立って早々にクレカ一枚失ったんだもの。リフレッシュしたかったからさ。
朝7時。
バスターミナルでバイカル湖近辺の街のひとつGoryachinsk行きのバスを探し出し、275ルーブルを払ってバスの旅が始まった。
途中、路面が舗装されていない道路や広大な自然をくぐりぬけて
外との温度差で車内の窓ガラスが曇る。
途中休憩で売店に立ち寄った。
ウランウデの街は晴れていたのに山の中では雨が降っている。
ふと苗場の森を思い出した。
FUJI ROCKに行きたいなぁ。
およそ3時間かけて到着したGoryachinsk。獣の臭いがした。
バイカル湖までちょっと歩くみたいだ。途中の家々がとてもかわいい。犬が放し飼いにされており、どこかのんびりとした感じがする。
降り立った場所からはバイカル湖は
見えなかったが50メートル手前から急に視界が開けた。
バイカル湖だ。
まず、僕がやったことは
バイカル湖の水をなめること
だった。
舐めてもしょっぱくない。本当に湖だったんだ!
バイカル湖にはいくつか観光拠点となる街が存在するが、僕の来た場所はそこまで観光的ではなく地元の人がくる程度の落ち着いた場所だった。
バスの泊まった場所の近くにはコテージがいくつもあった。どうやらキャンプとかできるみたいだ。
バイカル湖の裏手にはまるでファンタジーの様な森が広がっていた。
誰もいない場所で波の音にリラックスしながら僕は久しぶりに瞑想し、16時のバスに乗ってウランウデまで帰った。
イワンともここウランウデの街でお別れだ。彼はこの後、バイカル湖の別の街へ行くそうだ。
「君の旅はまだ始まったばかりだろう?
今からおれがバックパッカー・レシピを教えてやろう」
僕がいつものように20ルーブルの安パンにかじりついてると、イワンがこう言った。
買い込んだ食材が余っていたので僕の安パンと合わせて何か作ってくれると言う。
材料はトマトとオニオンとチーズとパン。
各材料をスライスしてその間にパンをトーストする。
パンが焼き上がるとその上にスライスした材料をチーズ、トマト、オニオンの順で乗せて塩とこしょうをぱらぱらとかける。
今度はレンジで2分ちょっと加熱した。
おつまみに塩とこしょうをふったキュウリをかじった。
出来上がったのは美味しそうなトーストだった。
チーズとトマトの相性はばつぐんで、レンジから取り出した瞬間ふたつがミックスした匂いがした。オニオンはシャキシャキとした歯ごたえを与えてくれる。
ロシアのちょっとすっぱいパンが調理次第でこんなにおいしい料理に変わるなんて。
これが僕の今日の夕食。
記念すべき僕のバックパッカーズ・レシピの第一弾。
旅はまだ始まったばかりだ。
これからレシピにどんな料理が加えられていくのだろうか?