『旅は最高の出会い系だ』と思う
世界一周42日目(8/9)
重慶からの列車は2時間遅れて広州に到着した。僕は合計24時間列車に乗っていたことになる。
お金を浮かすためにここまで全ての移動を寝台のない「硬座」で移動してきた。
重たいバックパックは通路側の座席の下に置くしかなく、そのせいで毎回、熟睡できないなかったけど、
(と言うのも、備え付けのテーブルに突っ伏して寝られるかどうかが硬座では重要になってくるのだ。図書館で机に突っ伏して受験生みたいに。)
そこにはいつも何かしらの「出会い」があった。長距離を座りっぱなしの耐久レースみたいなしんどさはあったにせよ、それ以上の体験ができたと思う。
広州駅の出口である人と待ち合わせをしていた。
ヤムチャさん(仮名)という方だ
ロシアのウラジオストク、オプティマムホステルでたまたま僕のベッドの上にやって来たのがヤムチャさんだった。
ヤムチャさんは耳障りな音で軋むベッドの上で下段の僕に迷惑をかけないように気を遣って動いていた印象を受けた。
出会ったのはロシアだったが、その後何回かメールをいただき僕は中国、東莞(とうかん)市にお住まいのヤムチャさんのご自宅に泊めてもらうことになったのだ。
広州駅でご馳走になったヤムチャ。マジで美味かったっす!
ありがとうございます!!
ヤムチャさんのご自宅のある高層ビルの23階から夜のネオンに彩られた東莞の街が見えた。
まさか地上を歩いていた自分がこの場所に立つことができるなんて思わなかった。なんだか現実味の欠けた世界がそこには広がっていた。
ここから見える景色はリアルなのだろうか?
東莞の夜景をぼんやりと眺めた。
この建物にも。そしてあの建物にも。
何人もの人が日々の暮らしを営んでいる。
それは想像力を働かせなければイメージすることができなかった。
僕が一番最初に読んだ世界一周のブログで
「旅こそ最高の『出会い系』である」
と書かれていたのを覚えている。
ちょっとアホっぽく聞こえるけど、まさしくその通りだ。
3年前にインドで会った旅人とFacebookで繋がっていたりする。
別にコンタクトがとれる必要性なんか全くない。その場限りの人生の一コマで出会った人たちを僕は今でも覚えている。彼らは僕にはストーリーを与え、僕は彼らにストーリーを与える。
シンプルに言い換えよう。
「旅は出会いに満ち溢れている!」
今まで自分が生きてきた中で間違いなく一番、人と出会っている。
日本にいた頃の自分は進んで人と会うようなことはしなかった。沢山の人と出会う必要性を感じなかった。でも、そういうことじゃない。
予想される結果より偶然性にもたらされることの素晴らしさ。一日でバイバイする人もいれば、ヤムチャさんみたいにメールをくれて再会を果たす人もいる。
その後、僕たちの未来がどうなってくかは分からないけど、その一つ一つの出会いは僕の中に溜まり、溶けて、自分の人生の一部となる。
今まで出会った人に感謝を。
そしてこれからの出会いに胸踊らせてソファに横になろう。
7月29日にモンゴルから中国に入って駆け抜けるようにここまでやって来た。
文字通り「縦断」だ。中国縦断の旅。
呼和浩特(フフホト)で出会ったセルビア人は言った
「15日で列車で中国を
縦断するなんて不可能だ!」
おいおい。香港はもう目と鼻の先だよ?