冬の京都で過ごす 20日目 立春
6時半、目が覚める。体を起こして窓を少し開ける。雪はもう降っていない。そのままコーヒーを淹れながら今朝はどこに行こうかとスマホをいじくる。
梅宮大社に行くことにした。岩合光昭さんも訪れたとのことで猫がいるらしい。ヨガ10分。
出る前に矢尾定の今日の日替わりをチェック。「16日(木) さごし立田揚げ」さごし?
7時20分、スマホのアラームを消して外に出る。忘れずにゴミ箱とタオル類を廊下に出す。
いつもより早足で歩く。よく見ると3粒くらい雪が降ってきた気もするが、昨日の雪は跡形もない。堀川通りに出ると雪を乗せた車が走っている。
ニット帽を被った小学生の男の子を追い抜く。「水中最強王図鑑」と書かれた本を両手で持っていた歩いていた。
発車時刻になり、トトトトトトトトトッ というエンジン音が収まると動き出した。
「日曜日。曜日でだいたい決まってるから、キリスト教は日曜日にミサに行くとなると、ズラはることが多い。だから」「ふうん」
車内アナウンスが流れる。「次は嵐山、嵐山。終点です。只今の時間、駅は無人です。運賃は車両前方の…でお支払いください。〇〇をあしらったポールがお出迎えします。」
8時半、住宅街を歩く。商店の二階の窓を開けておばあさんが煙草を吸っている。目の前を歩く中学生の女の子2人は公園に入り、ベンチに座るところだ。不良が多い。
梅宮大社
白と黒が1匹ずつ。扉を向いて座ってる
ガタガタと扉の音がしたところで、猫は待っていることに気づいて離れる。
「あのー販売機のところにおつり600円ありまして」「使ってしまうと横領罪になるんで」「まぁどうもー」…「さ、仕事いこか」
「あの先生好きか?」「うん」「やさしいしな」「うん」「学校入ったらな…!…急に飛び出してくんなこの車、なんか鳴らせ!」
松尾大社
桂川を沿いを歩いて嵐山まで戻る。
ゆうこっゆうこっどこにいる~
いづつのゆうこに、会いたいな~
四条大宮までもどったところで手袋を片方ないことに気づく。「すべては諸行無常」とたそがれていたことがうそのように失くしたものを必死に探す。
11時半、仕事に区切りがついた瞬間に、外から「ゆぅきやこんこん、あられやこんこん、いーぬはよろこび庭駆け回る、ねーこはこたつーでまるくーなる」と歌が聞こえた。気を取り直して昼飯を買いに外に出る。
「お弁当は650円と950円があります」「650円はお弁当とご飯。950円はそれにお味噌汁とパックが付きます」「おかけになっておまちください」
入口のテレビからは「プロに学ぶ うちごはん」が流れている。
「今日はまた寒いですけどなにを教えていただけるんでしょうか。」
「今日は白菜とお揚げの炊いたんです。」「白菜と煮干しが合うんですね。この時期の白菜は宝石みたいな…」
支払いをしてお弁当を受け取る。千円と細かいのを用意していたが、すでに用意された350円のお釣りを見て、細かいのをしまう。
お弁当を袋から出しながら気づいたが、袋の中にダンボールがしかれている。これなら運ぶのが下手でも安定する。気配りがすごい。
日替わり弁当ってのはメイン以外は日替わらないと思っていたが、先日とはガラリとラインナップが違う。さごしは魚でした。
昼飯を食べ終わって、四条大宮駅でもらった嵐電の名刺に書かれた番号に電話する。落とした手袋を探すので時間を置いてここに電話してほしいといわれていた。そして、もし、なかったらかなしいと思って後回しにしていた。
かけてすぐに出る。いつどこでなにを落としたかを伝える。「右手だけ」といったら電話口に口許がゆるんだことが伝わってきた。
「駅で預かっていますので本日中にお立ち寄りください」
14時半、休憩がてら手袋を取りに行く。
「今朝の、良かったね、見つかって!」「上等なやつさかい、ほなね!良かったね!」うれしい。
神も仏もないじゃないか、と思ったことが、180°変わる。手袋も、御神酒徳利はニコイチなのだ。
うれしいので戻りがてらおやつを買っていく。
店の中はタイムスリップしたよな老舗の風情。最中を2つ買う。
「あんこ詰めますので少々お待ちください」
お行儀良く待っているとおもてなし(世話話)が始まった。
「京都は写真の絵になるところたくさんあって」
「祇園ていうと建仁寺さん?あそこは座禅されてますね。私も自転車で通ってました。」
「昨日の(雪)は、薄く降って綺麗でしたね。1月のドカ雪は、地下鉄も止まってしまったり、東京の満員電車みたいやったみたいですよ。乗ったことないですけど、アハハ」
あんこはあっさり、皮ははパリっとしていてめちゃくちゃおいしい。ひとつ食べて、もうひとつは明日食べる。
18時半、お腹はあまり空いていないがなにか食べなくてはならないので外に出る。寒いので温まるものがいい。
定食屋に入ったら店のテレビでさっきまで部屋で流れていた番組がやっていた。今日もおでんにした。
21時、「魅惑のケンミンショー」は冬の京都て本音丸出しSP。
すぐき、千枚漬、しば漬が京都の三大漬物
・千枚漬は大藤
・すぐきは京都なり田
・しば漬は土井の志ば漬
京都人はつらいよのコーナー。
・京都府民の本音と建前
・底冷えの正体は比叡おろしと愛宕おろし
「寒いんやったら着てくれる」
冬のグルメは蒸し寿司
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