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【パース vol.6】サーフィン未経験者、27億年前の波に乗る

パースを拠点にする旅も今日で最後。
そして今日が一番のロングドライブだ。
片道約340km、往復8時間をかけてウェーブロックに行く。

Wave Rock
西オーストラリア州最大の都市パース東方約350kmの内陸部にある波状の岩。高さ15m、長さ100mもの波が瞬間に凍結したような造形は、長期間にわたって一定方向から風雨が吹きつけ、1枚岩が湾曲したものである。今の形になったのは、27億年前と推定されている。岩肌に入った無数のラインは、自然にできあがったとは思えない美しさといわれる。

さすがに一気に4時間ドライブとはいかないので、途中で休憩できそうな町を探す。
オーストラリアは郊外に行くとまだまだ田舎で、ガソリンスタンド(と併設する売店)しかない町が意外と多い。


Google mapではルートが3つ出てくるけれど、私はヨークタウン経由のルートを選んだ。
ヨークタウンは西オーストラリア最古の町だ。
文化遺産になっている事もあって入植当時町並みが残っている。
ちょうどこのヨークタウンでレトロな町並みを休憩がてら散策して、早めのランチを取ろうと考えた。

いつも通りこの時もGoogle mapで「York」を検索した。
で、その結果どうなったかというと、YorkはYorkでもどう見ても町の中心地とは思えない住宅地にピンをさされ、延々とメインロードを探して彷徨う事になったのだった...涙。
あまりに地元民しか通らないような住宅地の道路を見知らぬ車が走ってる訳だから住民にはジロジロ見られるし、こっちは古き良き町はどこだ!?とパニックになるしで...しばらく彷徨った後にやっと中心地を見つけた時の感動といったらもう!
ヨークタウンに行く人がもしこれを見ていれば、Google mapでは「York」ではなく「York visitor centre」で検索してね(じゃないと不審な目で見られながら無駄に町内をドライブすることになっちゃうよ笑)!


ヨークタウンの中心地は端から端までゆっくり歩いても5分かからないだろうというすごく小さな町だった。
でもこの町には教会、タウンホールや自動車博物館、カフェ、IGA(オーストラリアのスーパー)などもあって、休憩を兼ねたちょっとした観光にはぴったりだ。
そして想像してた通り町はとても可愛い。


ランチはスィートコーンとチーズのサラダにした。
思った以上に散策に時間を割いてしまったので車の中でサクッと食べる。
オーストラリアではほぼ100%と言っていいほど全てのカフェやレストランでテイクアウト(オーストラリアではテイクアウェイと言うのだけど)できる。
些細なことだけど、好きな所で好きなものを食べれるというこのスタイルが私はすごく便利で好きだったりする。


このヨークタウン、入植時に先住民との戦いの為の拠点にする為に作られたのがそもそもの始まりだ。
そんな暗い歴史のある町でアボリジニをリスペクトしているこのアート(中央上部の赤黒黄のマークはアボリジニの民族旗)を見つけた時は少し心が震えた。


ヨークタウンを出発すると、もう後はただただ牧草地が広がっていた。
牛や羊が広大な土地でのんびり過ごしている。
ずっと続く、空まで続いていくんじゃないかという一本道はやっぱりオーストラリアの広大さを表していた。
このまっすぐ続く道を時速100kmで走る。
日本で100kmというとスピード超過のイメージだけど、オーストラリアだとそんなにスピードを感じないから不思議だ。
広い道(たまに狭くなったりするけど、それでも日本に比べたら広い)とすれ違う車が少ないからかもしれない。
日本ではペーパードライバー同様の私でも運転できるのも良いところだ。


ウェーブロックまでの最後の町、ハイデン(ここに最後のガソリンスタンドとIGAがある)を抜けるとウェーブロックはもうすぐだった。
一本道をサインに従って脇に左折すると左側現れるのがウェーブロックに隣接するカフェとキャラバンパーク(車を横付けにして宿泊できたり、コンテナハウスがあるキャンプ場みたいなもので、オーストラリアではメジャー、なんならここに住んでいる人もいる)。
そして右側に駐車場とお土産やドリンクが購入できる売店がある。
ウェーブロックには入場料がいるが、人数に関係なくなく車1台につきAU$12がかかる。
入口にマシーンがあり、通常はそこで払うのだけど、ちょうど機械が壊れていて帰りに売店で払うようにレンジャーから言われた。
この機械、昨日今日壊れたという感じじゃなく、少なくとも数日は壊れてるみたいな言い方だったので、そういう所やはりオーストラリアだと思う。
売店で払えばいいのだから、そんなに困らないし、修理を急ぐ必要もないさ、的な。
まぁ確かにその通り。

ウェーブロックは遊歩道に入ってすぐだった。
15mの岸壁は思っていた以上に高く、そして長い時間雨風によって侵食された岩は本当に高波のようなえぐれ方をしていた。
これは27億年も前に出来た自然の海、波。
オージーの家族はどこからかボディボードを持ち出し、波に乗っている風の写真を撮り出す。
私はこのせり上がった岩をどこまで登れるだろう、という子供じみた考えがふと浮かんで、助走をつけて登ってみたりした(もちろん登れず、なんなら滑って膝をぶつけたりしたのは想像しやすいと思う笑)。


私がパースを訪れたこの1週間、真夏のオーストラリアは猛暑だった。
特にこの日は一番の暑さで、各地で40度超えを叩き出した日だったのだけど、ここまで来たのだから!とウェーブロックに登ってみることにした。
下で一緒だったオージー家族も中国人観光客もこんな炎天下の中、上に登るという考えはないようで、みんなすぐに駐車場にすぐ引き返していった。


上がること2-30分。
岩の上にはいろんなルートがあるのだと思う。
なぜ思うなのかと言うと、どこもかしこもサインが欠けていたり、ロープが切れていたりと、もはやルートはあってないようなものだった。
といっても岩の上なので見通しも良く、迷うという事はない。
たぶんこれがルートだろうと信じる道をてくてくと登って行く。
ただ気を緩めれば崖だったり、クレパス的な岩の切れ目があったりするので要注意!
スニーカーで来て良かった。


賽の河原にあるような積み石(これって万国共通なの?)があったり、反対側に降りれるようなルートもあったり、ルックポイントらしき場所もあったり、なんだか冒険者になったような気分でどんどん先へ歩いていった。

岩の上から観る360°の景色は本当に絶景だった。
こんなに遠くまで見えるのかと驚いた地平線。
眼下に小さく見える湖。
こんなに広い土地を見た事がない。
オーストラリアを見せつけられている、そう感じた。
そしてこの絶景を今、私は独り占めしているという現実と優越感に酔いしれた。
この景色の広さと感動は写真では伝える事が出来ない。
ここまで来た人だけの特権なのだ。


好奇心と絶景を目の前にして、テンションも上がっていたのだろう。
暑さと喉の渇きに気付いた時には、かなり遠くまで来ていて、駐車場まで30分以上かかる場所だった。

私って本当に学習能力がない!!

あれだけパースで死にそうになったにも関わらず(vol.2 参照)、その2日後にまた同じ状況に陥っておるのだからほんとつくづくバカだ。
なぜ、水を持ってこなかった、1時間前の私!!
と自分を罵りながら、ジリジリと容赦なく照りつける太陽の下を必死に下ったのだった。
頭痛と吐き気もあったから、恐らく軽く熱中症にかかっていたのだと思う。
自然をなめてはダメだという教訓。
水は常に携帯しようという教訓。
暑すぎて植物もカラカラだ。

最後は小走りで売店に駆け込み、クーラーの効いた店内で飲んだレッドブルはくぅーっと沁みて、過去1番美味しかった。
この味は上からの絶景と共に私の人生の1ページになっている。


ドライブ中のあるある光景。
どこの牧場の牛さんたちも小さな木陰に隠れるように密集して涼む、そんな自然の過酷さを表した一枚。
オーストラリアの夏、なめたらダメだね笑。

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