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「新・青春18きっぷ」より「一筆書きの片道切符」の方がお得なケースがある?

前回、青春18きっぷのルール変更に関して、JR各社のフリーきっぷとの比較をしてみました。

巡る地域を決めさえすれば、実は、他のフリーきっぷで代用できるのでは、と思い、各地のフリーきっぷを併せて紹介してみました。

ただ、この方法だと、JR各社をまたいで移動しようと思うと、青春18きっぷだったり、あるいは、(いつまで発売があるのかは分かりませんが)「北海道&東日本パス」くらいしか該当するパスがありません。

そうなると、JR各社をまたいで移動したい場合について、お得に巡れる方法が他にあるのではないのか、まとめてみたいと思います。



新・青春18きっぷの運賃は?

2024年冬の青春18きっぷの運賃は以下のように発表がありました。

連続3日間 10000円
連続5日間 12050円

今までなら、飛び石で思い立った日に行けたため、1日あたり2410円以上ならお得…と話していました。

往復・片道での旅程だとして、何キロ以上ならお得になるのか出します。

JRの普通乗車券は、営業キロ(≒乗る距離)によって運賃が決まります。
往復・片道で分岐点となるのは以下の通りです。

3日間
 往復:281キロ以上 (5170円)
 片道:641キロ以上 (10010円)
5日間
 往復:341キロ以上 (6050円)
 片道:921キロ以上 (12210円)

それでは、これから往復・片道で元が取れる代表的な駅を例に挙げます。もっと例の駅より近い駅で、元が取れるケースもあるのでご了承ください。

また、青春18きっぷのルールに則って距離を計測しています。場所によっては、JR以外に別運賃を払ってショートカットできる所もあります。
あくまで参考程度にご覧ください。


往復旅程で元が取れるとすれば…

往復の旅程なら、3日間で281キロ以上、5日間で341キロ以上と、300キロ前後で無理なく使える距離だと思います。

大阪駅起点

3日間 281キロ以上
西:広島・米子(鳥取)以遠
東:浜松(静岡)・木曽福島(長野)以遠

※伯備線方面だと丁度良さげな場所がないので米子としましたが、少なくとも新見(岡山)は超える必要があります。

5日間 341キロ以上
西:岩国(山口)・松江(島根)以遠
東:松本(長野)・静岡以遠


東京駅起点

3日間 281キロ以上
北:会津若松(福島)・東三条(新潟)以遠
西:豊橋(愛知)以遠

新潟方面だと、長岡でも少し足りないです。弥彦や新潟まで行けば確実に距離は足ります。

5日間 341キロ以上
北:仙台(宮城)・新発田(新潟)以遠
西:名古屋(愛知)以遠

往復旅程であれば、そこまで苦労しない距離になります。
しかし、おそらく、上記の町との往復旅程なら5日間も使わないと思います。
3日券で、2日目をがっつり現地での行動に充てるのも、ありだと思います。


片道旅程で元が取れるとすれば…


片道だと、結構距離を乗らないと元が取れなくなってきます。
3日間で641キロ以上、5日間で921キロ以上となります。

…と言うよりも、普通乗車券が距離が伸びれば伸びるほど、運賃が割安になってきますので、その分、距離を伸ばさないと元が取れなくなります。

大阪駅起点

3日間 641キロ以上
東:高崎(群馬)・宇都宮(栃木)・水戸(茨城)以遠
西:別府(大分)・鳥栖(佐賀)以遠

5日間 921キロ以上
東:村上(新潟)・仙台(宮城)以遠
西:都城(宮崎)以遠

村上は高崎(群馬)経由で新潟に入った場合です。
また、都城に関しては、佐伯(大分)経由で宮崎に入る場合になります。


東京駅起点

3日間 641キロ以上
北:東能代(秋田)以遠
西:姫路(兵庫)・豊岡(兵庫)以遠

青春18きっぷで東京から北に向かうとなると、秋田方面に迂回が必要ですが、秋田では距離が足りないです。

5日間 921キロ以上
北:木古内(北海道)以遠
西:岩国(山口)・松山(愛媛)以遠

北向きだと、秋田方面に迂回してかつ北海道新幹線のオプション券を使って、北海道上陸が必要となってきます。


東京・大阪発で何も考えずに一方向に進んでいくと、結構大変な旅程になります。この「無茶」な長距離旅行が、18きっぷらしいと言えば、それまでですが、基本的には、どこかに寄り道したりして、周遊するための切符だと考えた方が無難です。

実際には、グルグル途中に寄り道した方が、元が取りやすいです。
例えば、大阪発なら東京まで出て、そこから東京を拠点に関東平野を放射状に巡る方法であれば、そこまで無茶なことにはならないとは思います。

また、体力との相談にはなりますが、3日間ならまだしも、5日間なら途中で連泊して、休みの日を作るなど工夫がいると思います。


旅程を決めて長距離の片道切符でもいいのでは?

JR西日本とJR東海を全線乗った身としては、18きっぷの乗り始めの駅まで別の交通機関を片道や往復で手配することが多くなってきました。

例えば、東京・高崎(群馬)まで新幹線だとか、小倉(福岡)までフェリーだとか、仙台まで飛行機だとか…といった具合です。

そうなると、関西から片道1万円くらいは、青春18きっぷとは別料金で必要なことも多々ある訳です。
そうなると、関西からスタート・ゴール地点までJRで行くのであれば、その旅程も込みで運賃を通算で組み込めないのか?と思う訳です。

どういうことなのかというと…
こちらの記事に詳しく書いていますが、JRの片道切符であれば、営業キロで101キロ以上あれば、有効期限内なら、何度途中下車をしてもいいのです。

そうなると、こんなこともできるんですね。

往路(山陰本線)
京都(市内)⇒幡生(はたぶ・山口)
復路(山陽本線・新幹線)
幡生⇒新下関(山口)⇒京都(市内)

幡生駅は、下関駅の1つ東側の駅です。
この旅程だと、1枚の片道切符で切ることは可能です。

京都~幡生の普通運賃が、片道で10010円と、新しい青春18きっぷだと、3日分のギリギリの値段になります。

ただ、これを一枚の片道切符で手配した場合と、新下関⇒京都を新幹線に乗る前提で別で切符を手配した場合だと、以下の通りになります。

京都⇒幡生⇒新下関⇒京都 14740円
新下関⇒京都 9130円

差額 5610円

実際には、下関駅や小倉方面に出て、別途で多少は運賃がかかるでしょうが、上記のように、片道切符で、元の駅に戻る「一筆書き」の旅程が可能なのであれば、わざわざ青春18きっぷを使う必要性はないのです。

しかも、京都から京都までこのルートで1枚で手配した場合、有効期限は8日間もありますし、片道切符なら、特急券を買い足せば、特急に乗ることもできると考えると、「一筆書き」の旅程なら、青春18きっぷを使うメリットは薄いかも知れません。

時間的な制約で航空機・フェリーを使うケースも結構ありましたが、少なくともJRで繋がっている限りは、今後、私はもっと普通乗車券で「一筆書き」ができないかを検討することになるでしょう。


最後に

「青春18きっぷ」を愛用してきた身としては、他のフリーきっぷや普通乗車券の方が使い出がある…と書かねばならないのが、非常に心苦しいです。

全国を普通列車だけとは言え、自在に巡れた夢のある切符だっただけに、今回の変更に関しては、非常に残念だと言わざるを得ないのです。

私は、今まで散々楽しんだだけに、「卒業」するのも、いいのですが…

ロマンのある旅を若い人たちが経験しづらくなったのは、物凄く残念だと思うのと、これは大きな損失なのではないのか、と私は思うのです。
可能なら、旧ルールの復活を願いたい所です。

※価格・商品は2024年10月現在のものです。


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