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水墨画の世界へ 雪の角館(秋田)を散策【冬の新・青春18きっぷの旅 2-2】

雪国での新・青春18きっぷの旅

青森・津軽地方の大雪で、弘南鉄道に乗ることが叶わなくなった2日目
しかも、雪の世界に夢中になって、男鹿駅で列車に乗り遅れるというおまけつき。

乗り遅れは自業自得ですが、旅程が大きく変えざるを得ない日になってしまいました。
その代わりに、雪の男鹿や秋田市内を楽しんできました。

その2日目の昼までの様子はコチラ…

この日の宿を取っているのは盛岡。
秋田からなら新幹線に乗る方法もありますが、もちろん、18きっぷで盛岡まで向かいます。



13:45 秋田駅発

久保田城から秋田駅に戻ってきました。

男鹿の時点で、秋田から盛岡に抜けるルートでこの2つで迷っていました。

1:大館(秋田)経由で、花輪線から盛岡に向かう
2:大曲(秋田)経由で、田沢湖線から盛岡に向かう

「乗り鉄」としては、花輪線に乗る方が面白そうだとは思いました。
この時点で大館から花輪線は問題なく動いていましたが、万一雪で何かあった時の代替手段に乏しいことを恐れて、2番のルートを取ることにしました。

それ以上に決め手となったのが、2番の経路の途中にある、角館(秋田)で途中下車して、雪の武家屋敷を見たい!!という気持ちでした。


雪がしっかりと前面に着いた奥羽本線・院内行きの普通列車。
まずは、この列車で途中の大曲まで向かいます。

車内は、座席に少し空席がある程度、地元の方も含めて乗っていました。
ローカル線の旅らしい雰囲気がしてきました。


しばらくは、奥羽本線で前日に横手から来た道を折り返すことになります。前日通過したのが夜だったのもあって、どんな景色なのかは少し気になっていましたが、雪原が広がっていました。

そして、結構な吹雪。
真っ白で見通しがほとんどきかない状況でした。

時折、太陽が姿を見せるのですが、これがまた幻想的でした。


14:34 大曲(秋田)乗換

少し遅れて、大曲駅に到着です。
ここは、奥羽本線と田沢湖線との接続駅で、かつ、秋田新幹線の停車駅になります。

一番右端の線路は、秋田新幹線のもの。
新幹線との乗換の関係もあって、普通列車はしばらく大曲駅で待ち時間が発生します。

これだけ雪が降っていたのもあって、全体的に列車は遅れ気味。
待ち合わせの新幹線も遅れるとのアナウンスが入っていました。


大曲といえば、夏の花火大会で有名な町です。
駅名票にも、花火が描かれています。
花火大会の頃ともなると、全国から人が押し寄せることになります。


乗換の盛岡行きの普通列車。
この左奥が秋田新幹線の発着ホームになります。

この奥側は行き止まりになっていて、大曲駅で進行方向を変える「スイッチバック」になっています。
そのため、大曲~秋田間では、座席は後ろ向きのまま走ることになります。

駅に到着する新幹線の車内を見ていましたが、誰も席の向きを変える様子もなく、そのまま皆さん座っていました。

15時過ぎ…少し遅れて、盛岡行きの普通列車も出発です。


先ほどまでの吹雪が嘘のように外は晴れていました。
遠くの雪をかぶった山々まではっきり見えます。

大曲から目的地の角館まで20分ほどの旅程です。


15:20 角館(秋田)到着

角館駅(秋田)
少し遅れて到着となりました。

次の盛岡行きの普通列車は、約2時間後。
これが普通列車としては盛岡行きの最終列車です。

この普通列車を逃すと、秋田新幹線に乗るか、横手から北上線に乗って岩手に抜けるかしかなくなります。

コインロッカーに荷物を預けて、武家屋敷の方面に向かいます。


角館駅を出た直後から、雪がちらつき始めました。
これは雰囲気のある角館散策になりそうです。

有名な武家屋敷通りまで、駅から普通に歩いても15分ほど。
結構、距離があります。

武家屋敷通りに向かう道中は、結構除雪されていました。
しかし、観光客も含めて、多くの人が歩いていく道なので、所々、踏みしめられて凍てついている所もあるので、転ばないように慎重に時間をかけて歩いていきます。


角館・武家屋敷通り

雪の白に、屋敷の壁の黒
この白黒のコントラストを直に見たかったのです。

冬の冴えた空気の中で、水墨画の世界に紛れ込んだような、思わず息を呑む景色でした。


途中から、少し青空も見えてきました。
日も傾き始めているのか、雲は少し赤く染まっています。

行き交う人も少なくなってきていて、独りで静かに白黒の世界を満喫できるのがまた贅沢でした。


武家屋敷通りの端までやってきました。
正面の山は、角館城のあった城山になります。

実際に歩いてみると、角館自体が交通の要所だったのもあってか、結構大きい町だった様子が伺えます。

ここまで写真を映しつつ、駅からゆっくり歩いてきて、45分くらいかかりました。
欲を言えば、角館を流れる桧木内川(ひのきないがわ)の川沿いまで行きたかったのですが、雪の中歩いていくには時間がかかりそうなため、今回はここで引き返すことに。


武家屋敷の中には、一般公開されている建物もいくつかあります。
今回は、中まで見る時間はありませんでしが、ここは「青柳家」の屋敷の前。

南天の実の赤が、雪の世界に色を与えていて、これもまた素晴らしいと思い、写真に収めました。


角館にやってきたのが、新年だったのもあって、青柳家の門には門松も見えます。


武家屋敷の通りの片隅にある角館小学校の跡
今は公園として整備されています。

公園の中は除雪されずに、雪が積もったままの場所が結構ありました。
どれくらい積もっているのか踏み入ってみたのですが、膝下まである長靴が埋まってしまいそうなほど。

道路を歩いていれば、ちゃんと除雪されているので、こんなことにはなりませんが、雪深い土地に来ていることを体感した次第でした。


16時半も過ぎて、あたりはだいぶ暗くなってきました。
店や街灯のオレンジの明かりが、暖かそうな光を照らしていました。

場所によってはライトアップされている所もあり、雪の世界もまた色とりどりに照らされていて、日が暮れてくると、また別世界でした。


17:33 角館発 夜の田沢湖線へ

17時過ぎ、無事に角館駅に到着できました。
レトロな角館駅の駅舎もまたライトアップされていました。
木造を意識した渋い雰囲気の駅舎が、町から戻ってきた時にはメルヘンチックになっていました。

駅に着いたのを見計らったかのように、強く雪が降り始めました。

流石に日が落ちて寒くなってきたのもあり、駅の待合室で暖を取り、駅内のコンビニで暖かいコーヒーを飲んでいました。

待合室はほぼ一杯。
次の列車を待つ人たちが入れ替わりでやってきます。

角館に来た時と同様、どの列車もだいたい数分の遅れで運行。
アナウンスに注意しつつ、暖かい待合室でしばしのんびりしていました。

本日最終の盛岡行き普通列車
こちらもまた、車体に雪がくっついています。

向こうには秋田新幹線の姿も。
田沢湖線は、普通列車と秋田新幹線が同じ線路を走っています。
普通列車に乗ってても、途中駅で新幹線がすぐ隣を通過していく、珍しい様子が見られます。

普通列車の車内。
乗った瞬間、貸切かと思うほど。

発車時刻が近くなって数名乗ってきましたが、それでも乗客はごくわずか。
予定より5分ほど遅れて、盛岡行き普通列車は夜の雪山へと走っていきます。


途中の田沢湖駅(秋田)

新幹線の停車駅なのもあり、新幹線の到着待ちをすることに。

流石に夜になっているのもあって、あたりの景色までは見えませんが、線路にも結構雪が積もっているのが見えます。


山中は真っ暗でほとんど何も見えませんでしたが、岩手県に入って雫石(岩手)などでも新幹線や対向列車と途中駅ですれ違いつつ、列車は進んでいきます。

雫石を越えたあたりから、人が少しずつ乗ってきて、盛岡に着くころには、先ほどまで貸切のような状況だと思えない風になってきました。

田沢湖線は、人が途中から乗ってきたのもそうですし、新幹線も通る路線なのもあり、多少遅れつつではあるものの、安心して盛岡まで着きそうな感じはしました。


19:03 盛岡到着

角館を出て1時間半ほどで盛岡に到着しました。

乗っていた列車は、数分後の折り返しの運転になるため、列車を待つ多くの人の姿がホームには見えました。

先ほどまでいた秋田とは打って変わって、盛岡には雪はほとんど残っていませんでした。


雪で旅程の変更を余儀なくされ(+乗り遅れて自滅したのもあって)、この日乗ったのは206キロ程度と、青春18きっぷの旅としてはかなり控えめの距離ではありました。

その代わり、雪の世界を心身ともに楽しめたのが嬉しかったのと、結果として、念願の冬の角館に来られたことが成就したのが何よりでした。

無事盛岡のホテルに到着した時は、心から安堵しました。


続く


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