豊かな世界を作るためのリフレクションと認知の4点セット【POOLOレポート・熊平美香さん】
みなさん、こんにちは!TABIPPOライターの西嶋です。
今回は自分と世界の豊かさをつくるニューノーマルトラベラーが育つ学校「POOLO」で行われた講義の様子をレポートします。
POOLOについて最新の情報を知りたい方はLINE登録をお願いします。イベントのご案内やお得な情報をお送りいたしますね!
さて今回は、1月15日にオンラインで行われた講義 「これからの学びと組織作り」の様子をレポートします。登壇者は、昭和女子大学キャリアカレッジ学院長、熊平美香さんです。
登壇者は?
熊平美香さん
昭和女子大学キャリアカレッジ学院長/一般社団法人21世紀学び研究所代表理事
リフレクションってどんなもの?
「リフレクション」を知っていますか?今回の講義では、リフレクションを自分のものにしてもらうことを、目標のひとつとしたいと思います。
私が代表理事を務める一般社団法人21世紀学び研究所のビジョンは「自分と世界を幸せにするために 学び続ける『自律型人材』を増やす」こと。
自律型人材とは「自ら定めた目的を実現するために学び続ける人」。ありたい姿と現実のギャップを埋めるために、自己と向き合い、境界線を越える学びを通して、自己とチームの潜在的な力を開花させる人材をさします。
私たちは「OS21プログラム」を通して、自律型人材と自律型チーム・組織に必要なOSのアップデートをめざしています。
著書『リフレクション REFLECTION 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』でも紹介していますが、リフレクションの基本メソッドは次の5つです。
OSをアップデートする「対話」
OSをアップデートするには、リフレクションだけでなく、対話も必要です。
リフレクションは、いわば「自分の枠を見つめる行為」。でも、自分の枠だけ見つめていたら枠は小さいまま。枠を広げるためには、対話を通して、自分の枠の外にある学びを手に入れることが欠かせないのです。
対話の大前提にはリフレクションがあります。「リフレクションできない人は対話ができない」と言い切ってもいいでしょう。自分が何を考えているかをメタ認知できないと、それ以上のことが考えられないからです。
リフレクションは現代において、未来を変えていく力を持っています。これまでは、過去に出来上がったものをそのまま再現することが評価された時代でした。でもこれからは、これまで通りのやり方やものの見方をそのまま使うのではなく、経験から批判的スタンスで学び、考えて行動すること(=リフレクション)が重要になるのです。
メタ認知のメソッド「認知の4点セット」を使いこなす
OSをアップデートするカギは「メタ認知力」にあります。メタ認知とは、自分の考えや内面を俯瞰すること。
といっても「メタ認知なんて難しい」と思うかもしれません。ここでは、簡単にメタ認知ができるようになる「認知の4点セット」を紹介しましょう。
自分の何をメタ認知したらいいのだろう?そう迷ったときは、「意見」「経験」「感情」「価値観」の4つを客観視してみましょう。
意見は過去の経験からできています。経験の記憶は感情とつながっていて、そこには必ず判断の尺度である価値観が関係しているでしょう。
もちろん必ずしも「意見」から始める必要はなく「モヤモヤする」などといった「感情」から始めてみてもかまいません。
難しそうに感じる人もいるかもしれませんね。でもこのプロセスは、誰もが無意識にやっているはずですよ。たとえば同じ犬を見ても、AさんとBさんでは、認知が異なります。
リフレクションは、無意識を意識化していくことがひとつのポイントになります。「認知の4点セット」を使うと、自分を知る力が高まるはずです。
多様な世界から学ぶ:対話のポイント
先ほどリフレクションの5つのメソッドとして、「自己を知る」「ビジョンを形成する」「経験から学ぶ」「多様な世界から学ぶ」「アンラーンする」を紹介しました。ここでは5つのうち、「多様な世界から学ぶ」ための対話を取り上げましょう。
対話のポイントは、自分の考えを客観視する「自己内省」と、相手の意見だけでなく経験、感情、価値観にも焦点を当てる「共感の聴き方」です。
共感の聴き方では、「その人の意見や経験、感情、価値観があるからそう思うんだな」とフラットに聴き取ります。「相手にはこんな世界があるからこう思うんだ」と捉えられればOKで、必ずしも相手の発言に賛成する必要はありません。
つまり「認知の4点セット」は、自分をメタ認知するときだけでなく、他者との対話においても有効なのです。
「この人、変なこと言っているな」と思ったら?
対話においては、感情をコントロールし、評価・判断を保留することではじめて、自分の知らない世界から学ぶことができます。
自分とは真逆のことを言っている人に出会ったとしましょう。そんなときは「この人、変なことを言っているな」と思いながら聞くのではなく、自分の考えは横において、「なぜこの人はそう思うんだろう?」と素の状態で耳を傾けるようにするのです。
違和感を覚えるときこそ、自分の境界線の外に出るチャンスです。自分と同じような人と話していても、自分の枠は広がりにくいもの。ストレスがかかるくらい異なる意見の先をのぞいてみると、想像だにしていなかった世界が広がっていることに気づけるかもしれません。
まずは驚きや違和感のある環境に身をおくことをおすすめします。旅をしていると、そんな経験には困らないかもしれませんね。
次からは、みなさんの質問に答えていきましょう。
Q. アンラーンしたいものの一つにトラウマがあります。過去の経験から「また傷つくかも」と思うと不安になったり逃げたくなったりして、普段できていたことができなくなってしまうのです。こうした現象もまた、認知の4点セットや他者との対話によってアンラーンできるものなのでしょうか。
とても深いトラウマなら専門家の力を借りることをおすすめします。ただ私の経験では、ある程度は自分でアンラーンできると考えています。
ネガティブな感情になっている自分がいたとき、「何を大事にしてるからそこがひっかかるのかな?」と、自分の価値観にフォーカスしてみましょう。「私が大事にしているのはここなんだな」とわかると、受け止め方が変わるはずです。
私たちは日々、膨大な経験をしています。「なんだかモヤモヤするな」「不快だな」などとネガティブな感情が引き寄せられるのは、自分の価値観に合わないとき。私はムカッとしているのに、隣の人は平気そう――ということもありますよね。
感情は自分のこだわりと連動しているので、「自分は何にこだわりをもっているのか」を知ることが、自分とうまく付き合うコツです。
Q. 認知の4点セットを常にリアルタイムで検討するのは難しそうです……。
いつも「認知の4点セット」で考えるのは難しいですよね。ならば自分にとって大事な問題や答えがない問題について考えなければならないとき、自分と違う意見に戸惑っているとき、物事がうまくいかないときなど、「ここぞ」というときに使ってみましょう。
感情がネガティブになったときも、「認知の4点セット」をおすすめします。するとマインドフルになりやすくなり、「結局自分が自分の感情を動かしているんだ」とわかるでしょう。「相手の言葉で傷ついたけど、傷つくと決めたのは私なんだ」と理解して、気持ちが楽になるかもしれません。
最後に熊平さんから、「『認知の4点セット』は、自分ひとりで考えるのもいいですが、対話の中で気づくのも楽しいもの。これからPOOLOメンバー同士でお話しする機会が増えると思うので、ぜひ活用してください。相手が大事にしているところまで聴き取れると、お互いからより深く学び合えるはずです」とアドバイスをいただきました。熊平さん、ありがとうございました!
POOLOに興味がある方はこちらからLINE登録をお願いします。最新のイベント情報や、説明会・相談会、OBOGの声など、お得な情報をご案内いたします!