距離感覚を正す 在来線の旅
例えば大阪から東京に移動する場合、飛行機か新幹線のいずれかを選択することが圧倒的に多い。飛行機だと1時間ほど、新幹線だと「のぞみ」でおよそ2時間半、「こだま」でもおよそ4時間ほどの所要時間になるので、大阪東京間は日帰り可能な距離として認識されている。
しかしながら実際には東京から新大阪は新幹線の営業キロで552.6km。決して近いとは言えない。ところが高速に移動できる手段を使うことで、この距離は大した移動時間ではないと感じられてしまう。
実は日本は結構広いのだが、新幹線や飛行機といった移動手段を使うことに慣れてしまうと、実際の距離感覚が麻痺してしまうのだ。
普段使いの列車で30分、1時間といった移動だとなんとなく実際の距離も肌感覚として体感できる。しかしながら同じ1時間でも新幹線だと大阪から名古屋まで移動できてしまうので、両都市間の実際の距離を肌感覚としては掴みにくい。
これが大阪東京間になれば尚更である。新幹線や飛行機での移動に慣れれば慣れるほど、移動時間と実際の距離感覚の間に歪みが生じてしまうことになる。
そこでおすすめしたいのが在来線を乗り継いでの移動だ。
大阪から東京であれば大体10時間弱で移動できる。これが普段使いの列車で移動した時にかかる所要時間なので、ここに肌感覚を合わせれば高速移動に慣れてしまった距離感覚の歪みが解消される。
大阪から米原まで新快速で移動し、その後は大垣、豊橋、浜松、熱海あたりで乗り換えを繰り返すことで、普段の列車移動の肌感覚を残したまま大阪から東京まで移動できるのだ。こうすることでいかに552.6kmという距離が離れたものなのかを体感することができる。静岡県の長さも身に染みてわかるだろう。
是非一度在来線を乗り継いでの移動を体験してみて欲しい。
距離感覚のゆがみを正すことで、以前は通過するだけだった地域とも接点ができ、新たな発見があるかもしれない。
Tabinova:ダイスケ