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城崎にて #4(終)
温泉寺は数多の階段を登った先にあるらしく、城崎温泉で温泉を堪能したからこそ参りたいと思った。
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登り始めたはいいものの、思っていた以上に階段がきつかった。この先、何段登ればいいのかもわからない中でただひたすら雪の積もる階段を登った。
温泉寺に着くとすぐそばにロープウェイの停車場があった。ロープウェイで登って、歩いて下ればよかったかな、なんて少し後悔する。この疲れるという経験もいい思い出だろう。
おみくじがあったので、今年初のおみくじを引いた。結果は吉。
何が出たかなんて、大吉以外全て忘れる私はおみくじの結果を写真に収めていたが結局忘れていた。
あのおみくじをせーので開ける瞬間のわくわくのほうが印象に残るものだ。
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少し散策して、また長い道のりを下っていく。急な斜面に加えて雪がシャーベット状になって地面に貼り付く。嫌な予感はしていた。滑りそうだねなんて会話もしていた。
案の定、友人は滑って転けた。城崎では足元に気をつけるべきだと身をもって感じた二日間だった。
体力が削られ、またまたカフェに行くことにした。次の店は短編喫茶Un。
カフェラテを嗜みながら本を読むという至福の時。
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小説や漫画、エッセイと色々と本の種類があって飽きることがなかった。私は旅が好きなので松尾芭蕉の本なんかを読みながら情景を思い浮かべる。
ただただ楽しい時間だった。
時間を忘れて本を読んでいると、帰りの電車の時間が迫っていた。
お土産屋でお土産を買って、たまごパンを昨日に引き続き購入。観光センターで朝旅館に預けた荷物を受け取る。
城崎温泉駅に向かう人が増えていく。電車到着時刻が近づくにつれて駅のホームは賑やかになっていく。
一人ひとり、いろんな思い出があるんだろうなと微笑ましくなった。
電車が到着して、一斉に中に入っていく。
高貴な日本マダムは松葉カニを買いましたと言わんばかりの発泡スチロールの保冷箱を荷物棚に上げていた。
帰りのカニかにはまかぜ号。
いよいよ城崎から出て行く時になんとも言えない気持ちになった。観光地から去る心情ではない。おばあちゃん家から去るような、なにか思い残したような…。
この感覚があることが城崎温泉が多くの文豪が訪れるような城崎温泉という温かい場所である所以なのかもしれない。
終