大河と重なる友人の夢【29.ニジェール共和国🇳🇪】
アフリカ大陸西部に位置するニジェール。日本からフランスを経由し約40時間かかる。所得や健康、教育、経済などの指標をもとに、国連から後発開発途上国、いわゆる最貧国に指定されている。治安も不安定だ。
しかし現地ガイドであり友人でもあるモシャは「ニジェールは本当に素晴らしい観光地なんだよ」と言う。ボロロ族が年に1回行う美男子コンテスト「ゲレウォール」は有名だ。伝統的なメイクを施し、踊りや変顔で皆を魅了する。
西アフリカ諸国にまたがる全長4000キロメートル越えの大河、ニジェール川のクルージングも格別だ。夕日が沈む時間帯に合わせて出発し、屋根付きのボートに寝そべり、アフリカの風を感じながら鳥のさえずりや羽音を聞く。
一番のお楽しみはカバ。
日本で見る倍以上はありそうな巨大さに驚く。陸地で草を食べる姿や、水面に顔をちょこんと出して耳をプルプルと動かす姿は、とても愛らしい。
以前、この川を見つめながら「国民が根底から意識を変えなければ観光も国も発達しない」とつぶやいていたモシャに昨年、現地で再会した。
彼はガイドを止めて猛勉強し、教師になる夢を実現していた。「他国の支援に頼ってばかりいないで立ち上がろう」と言う彼の思いと悠々と流れる大河が重なり、胸が熱くなった。
2017年1月24日✍️西日本新聞夕刊コラム
珍国に恋して💕より