アートが生きる小さな島【20.ハイチ🇭🇹】
2010年1月12日、カリブ海に浮かぶ小さな島国ハイチでマグニチュード7.0の大地震が発生した。30万人以上が死亡、150万人が家を失い現在も多数がテント暮らしをしている。
私は震災前と震災後に訪れた。
ハイチには「ジンジャーブレッドハウス」(お菓子の家)と呼ばれる伝統的な建物がある。レースのようなしゃれた細工や、格子状に組んだ造りが美しい。この伝統的な建物は強固な造りであり、地震時も多くが崩壊を免れたという。震災後にも泊まったホテルキナムは、地震の影響をほとんど受けていなかった。
ハイチでは絵画も盛んで、ヘイシャン・アート (ハイチの芸術)と呼ばれる作風は、色鮮やかで目を奪われる。路上では無名の画家たちが描いた作品が至るところで見られる。
ギャラリーで気に入った絵を見つめる私に、スタッフが「欲しいの?」と聞く。しかしとても手が出る金額ではないことを伝えると「写真を撮ってプリントアウトして飾っておけばいいよ」と言う。ハイチ人のこういうおおらかさがたまらなく好きだ。
中南米最貧国と言われる配置。大地震の復興も進まない中、先月はハリケーン「マシュー」がこの国を襲った。世界初の黒人国家を樹立したハイチに、世界がもっと目を向けてくれることを願う。
※2016年11月11日✍️西日本新聞夕刊コラム
『珍国に恋して』より
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