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「音」と「色」がコラボして、新しいワクワクが生まれる カワムラユキ×久林紘子対談1

空間を音によって唯一無二の記憶に変えるサービス、「サウンドアメニティ」。旅先やシーンに合わせて、プロの選曲家がぴったりの「音」をセレクトするサービスとして、福岡県宗像市大島の離島の一軒宿MINAWAに導入されました。(※オプションプラン)

このプロジェクトには、プロデューサー、DJ、選曲家など「音」のプロフェッショナルとして活躍するカワムラユキさんと、パーティースタイリスト・空間スタイリングなど「空間づくり」のプロフェッショナルとして活躍する久林紘子さんが参画。今回はお二人にサービスへの思い、空間づくりについて考えることなどをじっくりとお聞きしました。

いつもとてもスタイリッシュなお二人

「色」と「音」のプロフェッショナルが出会って

――まず、お二人それぞれのお会いする前と会ったあとの印象はいかがでしたか。

久林紘子(以下、久林):私はこれまで「色」に携わることが多かったんですが、「音」に特化している方に初めてお会いしたんです。もちろんDJや音楽業界の方はたくさんいらっしゃるんですけど、「空間を彩る音」に携わっている方にお会いするのは初めてだったので。お話していてもどんどん曲名が出てくるのを目の当たりにして、「頭の中がどうなっていて、どう記憶されているんだろう!?」と衝撃でした。本当に適材適所に曲を持ってくる力が、プロだなというのを感じさせられました。

私も感覚で仕事をしているんですが、他の世界で感覚で仕事をしている方とお会いできて、すごく面白いし、相乗的にいろんなことができるんじゃないかな? と可能性を感じて。すごくうれしいです。

異分野のプロフェッショナルとして、似ているところも感じるそう

カワムラユキ(以下、カワムラ):まずお会いする前、久林さんのお話をうかがった後に、本(フォトジェニックなHAPPY BIRTHDAY)をAmazonでポチッとして読んだんですけど、読破するのが大変で(笑)。こんなに細かく自分の技というか、スタイリングの肝になること本としてを出しちゃっていいのかな? とびっくりしたんです。

その後インスタでのお写真やスタイリング作品などを拝見して、本能的に心が躍るというか。どうしても東京って、ビルも新しいし殺風景、機能的になりがちなんですよね。そういうものに囲まれて生きている中で、彼女の色彩感覚とかバランスを見ると、すごくワクワクしました。

特にコロナのこの時代って、特にコロナのこの時代って、明るいニュースも少ないし精神的にも鬱屈とすることも多くて、だけどできることなら日々「生きててよかった」って感じたいし、それを感じるための自分自身へのサプライズの重要性がより高まっていると思います。

そういういろんな細かい部分を結晶させて、完成させているのが久林さんのスタイリングの世界だと思いました。本を読んでも感じましたが、構築美の方なんだと思います。ロジカルな部分と発想の部分のバランスが完璧だと思うし。しかも結構手に入りやすいもので美しい世界観をぱっと作り上げるのがすごいですよね。

久林:光栄です!

カワムラ:テーブルの上を写真に撮るときの目配り、気配りも素晴らしいですよね。一緒に飲んだ時にいつの間にか撮影している写真や動画も「いつの間に切り取ってたの?」っていう素敵な瞬間がいくつもあって。情報の採取力や編集力は、ある種DJに通じるところがあるなと思いました。ビジュアルとサウンドという面で手段は違いますが、目的は「人を喜ばせたい」と似ているところもあり、面白いことを2人でやっていけるのではないかなと感じましたね。

音楽は空間づくりに欠かせない要素

カワムラ:そういえば久林さんは普段、音楽も聴かれるんですか?

久林:カワムラさんほど詳しいわけではないですが、音楽は好きですね。やっぱり空間に音楽があることで、全然違う景色が広がるという体験をしてきて……。落ち込んだりする時も、音楽ひとつで「がんばろう」っていう気分になれることもあるし、人生を過ごしていく上で欠かせない要素だと思っています。

少しエモい話をすると、香りって記憶と強く結びついていると思っていて。例えば、ジバンシィのウルトラマリンの香りがしてきたら、甘酢っばい青春の一コマを思い出すとか(笑)。パッと思い出がよみがえってくるように、音楽もその時を思い出す、記憶と結びついていると思います。

先日大島の「MINAWA」を訪問して、もちろん素晴らしい景色なんですけど、音楽があるだけでぱっと目の前にカラーフィルターがかかるような感覚がありました。こういう経験を何度もしてきて、音楽の重要性をすごく感じています。

空間のスタイリストとしてテレビなどでも活躍する久林紘子さん

あとは普段、「色」を大切にして空間を作っていますが、空間が出来上がった時に皆さんのドレスコードとかはもちろんなんですけど、やっぱり音楽がないと空間としては完結しないと思っています。音楽と空間デザインは切っても切れない大事な要素だと思います。

カワムラさんの、音楽目線からのファッションや空間に対してのとらえ方も気になります。

カワムラ:ファッション、それから肉体というのは、「無言の名刺」だと思っています。その人がどんなことを考えていて、どんなところにたどり着きたいと思っているか、何を発信したいと思っているか、などを無意識に発信しているものだと思うんです。たどり着きたい景色に向かうために、そこに合うファッションを選んで翼にする……そういうパワーがファッションにはあると思っています。久林さんとお話しさせていただいていて、そういう翼のようなヒントやアイディアの宝庫のような方なんだなと改めて思っています。

久林さんはいろんな記念日を演出するお仕事をされていると思うんですが、記念日って一生に一度なんですよね。たとえばお子さんがいる方は、いつまで一緒に住んでお祝いできるかもわからない。本人もお祝いのことは覚えていないかもしれませんが、写真を見た時に記憶や体験がよみがえって、人生を強く生きていこうと思うきっかけになるかもしれないと思うんです。

その景色にぴったりの音楽があったら、さっき久林さんもおっしゃっていたように、さらに美しい記憶に仕上がったりもするんじゃないかなと思います。テーブルスタイリングを工夫したり、フォトブースを設置することで普段とは違う写真が撮れたりして、より記念となる一枚を残すこともできるかもしれないわけですよね。

本当に、ただ生きていくだけだったらそれでも生きていけるんだろうけど、やっぱり人生を楽しくしたいと思っているので。Life is too short, living largeの精神で。やっぱりパーティーとかスタイリングって必要なものだと思いますね。

音が記憶と結びつき、重要な思い出に変わる

――やはり空間と音楽で「記憶」を残すことは、今後ますます重要になってきそうですよね。今回、「サウンドアメニティ」というサービスに参画していただくにあたって、構想を聞いた時にはどう思われましたか。

久林:お話をうかがった時に、いままでになかったサービスだなと思いました。少し先ほどの話とかぶるんですけど、音には「音色(ねいろ)」という言葉があるじゃないですか。「音」の「色」と書くように、音楽を流すことによって、そのシーンにカラーフィルターがかかる。それがすごくあらわれているサービスなんじゃないかと思います。カワムラさんのような音のプロとお話して、2人でいいクリエイションができるんじゃないか、とすごくワクワクしています。

旅行とかって、何かきっかけがあっていつもとは違う場所で時間をすごしたいと考えて出かけるんだと思います。その時間をより思い出深いものにするフィルターをプラスしてあげられる、そうできる力があるものだと思います。想像力をかきたてられますね。

カワムラ:私にとっては、「その場所やシーンにマッチする音を選ぶ」というのは、日常的にやってしまっていることなんですよね。それが改めて、人の役に立つことができるかもしれない、と気がついたのは、このお話をいただいてからですね。1人の人をイメージしたサウンドや音楽のセレクトを手にした時の「無限の喜び」を感じるきっかけが私にもありました。

空間を彩る音のプロであるカワムラユキさん

――というのは?

カワムラ:私の友人が経営している沖縄の「Hotel Towaie」という手作りの小さなホテルに泊まりに行った時の話です。お部屋に知名オーディオという、素晴らしいサウンドシステムが常設であり、そこにレコードを何枚か置いておいてくれたんです。そのレコードが自分の好きな音で本当に嬉しくて、感銘を受けました。

これは私の話なので、そもそも音楽にすごく詳しい必要はなくて。かといって、無音は寂しいなと思っている方に、うっすらと音を添えてあげれば、それを楽しんでくれる方もいるんじゃないかなと思います。旅の途中で音を聞いて、目的地についてからの会話が盛り上がったらいいなと……。あくまでもそれぐらいのことなんですけど、とても重要なことに思えてならないんですよね。

ーー音楽って「あってもなくてもいいもの」だとも思われがちですが、「あった方がいいもの」としてもっと多くの人が価値に気づいてくれるといいですよね。

カワムラ:本当にそうだと思います。

(聞き手・高橋ひでつう 撮影・構成 藤井みさ クリエイティブディレクション NORISHIROCKS)

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