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お宿で勃発!夜鳴きそばを巡る熾烈な争い。広島出雲の旅21.05 ②

ども、旅紐夫こーじです。
あなたもこんな待遇された経験ありますか?

さて、前回からの続きですが、原爆ドームを見ている時に起こった出来事を書き忘れていたので、こちらで追記しておきます。

公園にいた僕のスマホに一本の電話がかかってきました。番号は知らないところからでしたが、出てみると本日泊まる宿「お宿月夜のうさぎ」から。

内容は、予約した部屋よりも良い部屋が空いてるのでアップグレードしませんか?と。
当時の僕はそのような待遇があることを知らずに『ん?良い部屋になるってことは追加料金が取られるか?』と思い、断りました。が、向こうの反応が「え?」みたいな感じやったので、女神ちゃん(妻)にも聞いてみたところ、追加料金は発生しないと知り、すぐさま折り返してアップグレードしてもらいました。

よもやそんな待遇があるとは、、、無知とは恐ろしいものです。ということで、ここから前回の続きを物語風に書いていきます。実体験を元にしたフィクションとしてお楽しみください。

和洋DXダブルで過ごす出雲の夜

僕らが出雲に到着する頃、空はまだ少し青かったが時刻はすでに19時を回っていた。当初予約していたお宿月夜のうさぎから運良くアップグレードしてもらえたので、チェックインはいにしえの宿佳雲へ。

高級を感じる門構え いにしえの宿佳雲

チェックインを済ませ、ひとまず荷物を置きに部屋へ向かう。思ったより宿泊客は多いようだ。落ち着きを取り戻しつつあるとは言え、世間はまだまだ流行病に敏感で、人前ではもちろんマスクを外すのも憚かられる。が、正直息苦しさを感じるし、この風潮は良くないとも思う。

それはさておき、部屋に着いた僕らは荷物を置いて、少し室内を見ることに。旅行先の宿ではこれも一つの楽しみだ。ちなみに、この部屋は和洋DXダブルと言うらしい。

ダブルベッド
室内は檜風呂

重厚感のある和風な部屋は大きさこそないが、落ち着ける雰囲気だ。もし、アップグレードしていなければ、この雰囲気を味わえなかったのかと思うと、より味わい深さもある。

部屋の雰囲気を味わっている間に内風呂が溜まったので、食事の前にまずは軽く汗を流すことに。浴槽は2人で浸かるには少し狭いが、足を曲げれば入れなくもない。

さすがに部屋は温泉ではないが、実はこの宿には貸切風呂があるらしい。しかも、5つも。それぞれ絹の湯、泡の湯、漆の湯、岩の湯、季の湯とコンセプトも異なるらしく、そうなるとひと通り入りたくもなる。なので、部屋では簡単に風呂を済ませ、そそくさと上がった。

「お腹空いた」と女神ちゃんが言いだした頃には、時刻はすでに20時を過ぎていた。

海の幸、山の幸なバイキング

浴衣に着替え、食事処へ向かうと、人が多い。部屋のアップグレードはできたが、さすがに食事はそうともいかず、バイキングスタイルでの晩御飯。ちなみに、佳雲には別途食事処があるらしい。

ガヤガヤと賑わう中、案内されたテーブルに向かう途中で用意された海千山千な料理の数々を見ると、なるほどバイキングも悪くないと思える。ただ、騒々しいのは勘弁願いたいところだが、今回はやむなし。

バイキングと言っても、こちらはもはや四十手前の中年。量が食べられる訳でもなく、おかわり一度が関の山。食を堪能し尽くしたとは言い難いが、酒は堪能した。

おもてなし

貸切風呂も然りだが、他にもこの宿には一風変わった、だがとても気の利いたサービスがある。

それが「夜鳴きそば」だ。名前の通り、夜にだけ出される特別感のあるラーメンだが、なにぶん時間制限が22〜23時の間だけの提供かつ、無くなり次第終了である。これは売り切れ御免必至であろう。

他にもウェルカムドリンクや色浴衣に湯上がりアイスとおもてなしはたくさんあるが、夜鳴きそばは捨て難い。

とは言え、食事を終えたのは21時過ぎのこと。そばの提供までには時間もある。ここは、やはり風呂が先決であろう。ということで、

いざ貸切風呂へ

一旦部屋に戻り、「どこから入りますか?」なんて2人で話しながら、お風呂の用意を持って貸切風呂エリアへと向かう。

貸切風呂は5つが横並びになっており、それぞれの風呂の前には順番待ちの椅子が置いてあった。名前からして良さそうなところは順番待ちだったが、とりあえず空いていた漆の湯にそそくさと入ることに。

漆の湯の浴室は灯りも大人しめで落ち着いた雰囲気の風呂場になっていた。敷き詰められたすのこの上には漆で朱色に塗られた湯船にお湯がたっぷりと溜まっている。この漆の湯は天然温泉が使われている。

温泉というだけあって、温まるのも早い。貸切風呂は残り4つもあるので、全てに入らないとしても、長湯は禁物だ。

ある程度体が温まったところで、女神ちゃんと次の風呂へ。岩の湯目当てだが、まだ順番待ちのカップルがいる。仕方なく空いていた絹の湯へ入ることに。

ここは内風呂と同じ檜風呂だが、お湯は白乳色をしたシルキーなお風呂。銭湯などにある美肌の湯のようなものだろう。

次いで入ったのが、やっと空いた岩の湯。ここも天然温泉で半露天のような風呂場になっている。ようやく入れたのはいいが、正直身体はもう風呂を求めてはいなかった。

これ以上浸かるのは悪手にもなるので、雰囲気を楽しむ程度に浸かってそそくさと上がることに。そう言えば、空いてる風呂を巡ることになって忘れていたが、時刻は22時を過ぎていた。

そう、この宿での真の目的は「夜鳴きそば」を喰らうこと。

さぁ、満を持しての夜鳴きそば

お風呂から上がり、まだ満たされたままのお腹を気にしつつも23時が刻々と迫る焦りで、とにかく夜鳴きそばの提供されている場所へ向かう。女神ちゃんはもう食べられなさそうだったが、僕は食べられるもんなら食べてみたい。夜鳴きそばという響きにはそんな魅惑と期待を滲ませる。

何人かがそばをすすっている様を横目に、提供場所へ行くと、「提供は終了しました」と冷たい文字で書かれていた。

周りには肩を落として帰る同志たちの姿もある。どうやら、我々はこの競争社会で敗者となったようだった。

「もう売り切れたんですね」と僕は寂しそうに呟き、ただもう、女神ちゃんと仲良く部屋へ戻るしかできなかった。

悔しい思いはしたものの、今日も一日、女神ちゃんと旅ができた。彼女の笑顔に心を癒されながら、明日もきっと楽しい旅を過ごせることだろう。

明日はいよいよ初出雲大社。小さい頃から好きだった大国主命が祀られ、十月には日本中の神々が集まるとされる神聖なる場所へ。

次回へ続く。

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