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映画のキロク「ちひろさん」今泉力哉監督 2023

今や映画のヒットメーカーの最前線を走るNetflixがしんみり優しい名作を生み出した。

あらすじ

有村架純演じる、元風俗嬢という肩書きをあっけらかんと周囲に打ち明け、お弁当屋さんで働く"ちひろさん"。
生意気な小学生から大人までありとあらゆる孤独を抱えた人たちがちひろさんの周りに集まっていく。
じんわりじんわりちひろさんの優しさが染みていき、周囲の人を癒していく...

感想

ちひろさんは世間一般で優しいと言われるようなお節介な世話焼きでも、懇切丁寧な言葉遣いをするわけでもない。
ただ、そこにいて、冬のポケットの中のカイロや夏の縁側の風鈴のようにじんわりと、さりげなく、心に孤独を抱えた人を癒す。

何かを"してあげる"ことだけが優しさではなく、"ただそばにいる"そんな優しさもあるんだよと教えてもらったような気がする。
今の自分をただただ肯定してもらえるそんな懐の深さをちひろさんに感じた。

こういった映画で観ないことはないと思うぐらいいつもさりげなくいるリリーフランキー。
今回もちひろさんを優しく包み込む。
リリーフランキーの人を見る目の優しさは映画であることを忘れるぐらい心地がいい。

また、高校生の家族のあり方や、キャバ嬢の悩める人間関係、ありとあらゆる孤独が、大袈裟に取り上げられず、日常の悩める一コマとして描かれていた。
悩みに優劣はなく平等なんだよとメッセージを貰えた気がしたのはわたしだけだろうか?

さいごに

有村架純演じるちひろさんみたいな人、街に1人いてくれると人生が豊かになりそう。
でも、ちひろさんは孤独を愛してまたどこかに行ってしまう。
世間の価値観はどうも人との共存が幸せの基準になることが多いけど、孤独を愛せるならそれもありだよねって思えた。
何かがあるわけじゃないけど、すごく心が豊かになる映画でよかった。

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