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1.千葉県(日帰り)―2024年1月

47都道府県の旅のスタートは1月の千葉だ。季節にかかわらず何度か訪れているので、冬にもたぶん行っている・・・

益田ミリさんを真似して書き始めてみたものの、無理がある。元々旅好き。仕事で体調を崩し、そのままコロナ禍になってしまったのでもう何年も旅らしい旅はしていないが、関東圏はそれなりに訪れてきたのだ。
憧れは取り合えず横っちょに置いといて、自分らしく書くことにしよう。

さて、1月だ。新しい年の始まりでもあるし、47都道府県ひとり旅の無事を願う初詣旅にしよう!
今年は辰年だから、辰と関係の深い神社が良いよね・・・とネットで調べてみると、成田山新勝寺の文字を発見。成田山新勝寺は一度行ったことがあるし、初回が関東じゃ気合入らないかな(ミリさんはいきなり青森だったし)とも思ったけれど、ひとり旅は久しぶりだ。近場で行ったことがある場所の方がリハビリにはちょうど良いだろう。うん。

ひとり旅の時は大抵、行きたい場所を1ヶ所だけ決めて後は出たとこ勝負。
今回の47都道府県旅では公共の交通機関を使い、移動中に読む本を必ず持って行くことに決めた。
本屋で見つけた1冊と、益田ミリさんの『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』を旅のカバンに忍ばせ、準備完了。さぁ、成田山新勝寺に向けて出発である。
何だか仰々しく書いてしまったけれど、行き方を調べて電車に乗れば、それでOK(乗り換えはちょっとだけドキドキ)。本を読んでいる間に、電車が目的地まで運んでくれた。

電車で来たのは初めてだ。この駅で降りる人たちの目的地はみんな一緒だろうと、人の流れに乗って歩き始める。直ぐに、表参道に出た。ウナギのたれの甘い香りが漂ってくる。有名店は混むだろうし、先に入ろうか・・・いや、まずはお参りだろう・・・

ウナギのたれの甘い香りが朝の参道を包み込んでいる

何とか煩悩に打ち勝ち、歩を進める。途中で見つけた観光案内所で気になるチラシを数点ピックアップ。参道わきに十二支の石像があることに気づき、途中で龍の姿をパシャリ。

フォルムに愛嬌のある龍の石像

きょろきょろしながらずんずんと進んで行くと、不意に目的地にたどり着いた。

成田山新勝寺の総門

人の流れに乗って総門をくぐる。龍はどこだろうときょろきょろ。仁王門に係る提灯を発見。下を覗き込むと龍と目が合った。人が途切れた瞬間を狙い、1枚パシャリ。よしよし。

提灯に隠れる龍を発見!

狛犬や景色もパシャパシャ取りつつ、大本堂まで進む。

狛犬――神社に行くとついつい撮ってしまう

手水舎で身を清め、お賽銭を準備し大本堂の中へ。これからの47都道府県ひとり旅の無事(と、今最も強く望んでいること)を入念にお願いし、お参り終了。
おみくじは大吉。縁起良し。

色鮮やかな龍も発見!

龍を探しつつ境内をうろうろしていると、成田山書道美術館の案内アナウンスが聞こえてきた。書道には全く興味がないのだが(人の興味はそれぞれなのです。ごめんなさい・・・)、ひとり旅で、自分では絶対選ばない場所をわざわざ訪れてみるのも面白いかもしれないと、ふと思い立って行ってみることにした。

成田山書道美術館

美術館では紙にスポットを当てた「新春特別展 書の紙」をやっていた。紙には少々興味があるため、俄然ワクワクしてきた(単純)。入館料を支払い、中に入る。正直、書の良し悪しはよく分からなかったのだけれど、書の形、書かれた紙、その装飾が一つとなって美しさを醸し出しているように感じ、意外と面白かった。
2階へと上がる螺旋階段の中央に垂れ下がるランプの形が素敵だな・・・と眺めていたら、筆をモチーフにしていると説明書きがあった。なるほど、これは書道美術館に来ないと見られなかったかも。急に得した気分になってきた(単純)。

初めての書道美術館をそれなりに楽しみ、公園内を散策していると、古い平屋建てが姿を現した。どうやらお食事処らしい。ウナギが食べられるようだ。時間は11時を過ぎたところ。表参道まで戻ったら相当並ぶだろうし、ここで良いか。と、軽い気持ちで引き扉を開けた。

中に入ると、想像したよりだいぶ広いようだ。「外が見える窓側の席をご用意しますね」と案内されながら、板張りの廊下を進む。通された部屋には4人掛けの机がいくつか並んでおり、案内の人は一番窓側の席にすっと目をやり、ふと、私の足元を見た。廊下を歩いてきたスリッパを脱ぎ、畳に現れた私の足は厚手の5本指ソックスでおおわれている。案内の人は部屋の奥の机に目を移すと、私をその席へと案内してくれた。

とっさの判断力に感謝し、部屋の奥の空気が温まった席に腰を落ち着ける。うな重と甘酒を頼むと、しばらくしてうな重の付け合わせのおしんこと甘酒が運ばれてきた。

冷えた身体に甘酒の暖かさが染み渡る

カバンから文庫本を取り出し、おしんこをつまみつつ甘酒をいただく。部屋の奥から、窓の外に溢れる明るい景色を望める。なんて贅沢な時間だろう。
物語が佳境に入った所で、うな重が運ばれてきた。蓋の奥から漏れてくる、たれの美味な香り。本の続きが気にはなるが、この誘惑には勝てません。本を閉じ、うな重の蓋を外す。途端に包まれるように香りが広がり、照りが美しいウナギのかば焼きが姿を現した。

名取亭のうな重

ウナギの厚みはそこまでではないが、口に入れるとほろっとほどけて程よく溶ける。何より、たれの香りが良い。美味しくペロッといただき、食後のお茶をすすりながら、本の続きを少しだけ読む。本当に、なんとも贅沢な時間。
お腹が落ち着いたところで部屋を出ると、何だかパタパタとした活気に溢れている。お会計を済ませて名取亭の外に出ると、そこには多くの人が並んでいた。みんな、ウナギを待ちわびるような顔をしている。入ったタイミングが良かったな。

表参道へ戻ると、来た時とは比べ物にならないほど多くの人でごった返していた。ウナギ屋の前はどこも行列。駅へ向かう道すがら、目に留まったお店に入り、お土産のくりむし羊羹を購入して帰路へとついた。

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旅人
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