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『壬生義士伝』~旅する書籍/舞台~
皆様ごきげんよう、彩式部(いろどりしきぶ)です。
これを書くにあたりさらっと『壬生義士伝』読み直したりしてるんですけど、毎回引くほど泣いてしまう。今世界で一番泣ける本です。
さて今回訪れるのは作中たびたび登場する上の橋、下の橋です。
特に上の橋は主人公吉村貫一郎と幼なじみでありながら組頭である大野次郎右衛門との思い出の地で、近くにはそのことが書かれている看板も立っています。
上の橋、下の橋は盛岡城跡のすぐ横を流れる中津川にかかる橋。この中津川も貫一郎が盛岡のことを思い出すときによく口にする川。現在の盛岡駅東側に流れる大きな北上川とは駅を南側に下ったすぐで合流する川になります。
上の橋へはそんなに時間がかかった記憶はないのですが、今google mapで調べたら徒歩27分と出ました…… 先日の記事で書いた石割桜からは10分くらいだと思います……!
さてその上の橋がこちら
木造の欄干と擬宝珠が歴史を感じさせます。
この橋で貫一郎は次郎右衛門に脱藩する決意を伝え、次郎右衛門は必死になって止めるんですね。しかし貫一郎はそれでも行くと……その晩次郎右衛門は中間佐助を貫一郎の家に遣わし、旅装束となんと道中手形を届ける……
友情なんて二文字で片付けられないあつい関係がこの二人にはあるわけなんですよ……!!
ここ上の橋で別れを告げた次郎右衛門
貫一、死ぬな。死んではならねぞ。もしお前が死ねば、わしも死ぬからな。
引用:浅田次郎『壬生義士伝 下』文春文庫 2020 p187
あぁもう書いてるだけで涙が……
さあ、この上の橋を見た後は中津川に沿って南へ歩いて15分ほど、下の橋へ向かいます。
ちょうど中間地点あたりに立派な岩手銀行赤レンガ館があります。これがあるのが中の橋になります。中の橋から見る中津川もまた素敵です。とても綺麗な川。
岩手銀行赤レンガ館も訪れましたのでまた記事にします。
到着しました下の橋。
こちら作中では貫一郎がしづにプロポーズするところなんですね!といっても実際もうすこし離れたところみたいなのですが、実際の場所はよくわかりませんでした。とにかく祭りの夜、誰もが振り返るような美人しづの袖を引いてこの下の橋で河原に下りたそうな。子どもの頃の出会いからずっとお慕い申しておりあんしたと。
実は次郎右衛門もしづに思いを寄せていて、それを聞いた貫一郎すごい勢いでプロポーズするんですよ。もう抜け駆けですよ。幼なじみで組頭にもなろう次郎右衛門にすら。それほどまでにしづに惚れてたんですね。
ここで河原に下りたんですね。
嫁こさ来てくなんせ わしと夫婦になってくだんせ
引用:浅田次郎『壬生義士伝 下』文春文庫 2019 p131
断られたら腹を切るとまで言ってるんです。
ここまで惚れ込んだしづと家族のために……
あ、また涙が(笑)