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空の巣からフルハウスへ

空の巣になった、と思ったのも束の間、今年の夏に、家を出ていた息子が戻って来た。そして、なんと来年の夏には、娘も戻って来るらしい。いずれまた、二人とも出て行くことになるはずだけど、一年ちょっとはまた家族全員がそろって、フルハウスになる。

空の巣は、とても気楽だった。夫と二人なら、たいして夜ごはんも作らなくてよかったし、家の中が散らかることもあまりなかった。毎日が静かで、時間がゆったりと流れている気がした。寂しいというより気楽、というのが、私にとっての空の巣だった。

子ども達が家に戻って来てもいいと思ってくれていることは、純粋に嬉しい。私は、実家を出てから一度も戻ろうと思ったことがなかったから。せめて子ども達に嫌われていないと思えるし、信頼されている気もする。

あと、やっぱりそばにいる方が、精神的にも支えやすくて、安心。夜中の電話で突然、辛そうな子ども達の話を聞くより、一緒に暮らしていれば大体の状況や調子が分かるし、話もしやすい。

息子が家に戻って来るちょっと前、「子ども達が大人になっても、家にいてもいいと思える家庭を築いているのがすごい、羨ましい、私もそうありたい」と近所の友人に話していた。飲み会の席で酔っ払っていたけど、本音だった。いや、酔っ払っていたからこそ出た、自分でも意識していなかった気持ちだった。口にすると実現する、というのは本当なのかもしれない。

今も、年末年始の休みで娘が帰って来ているので、しばらくの間、家族全員がそろって暮らしている。久しぶりに一緒に暮らして思うのは、みんなが成長したってこと。お互いを気遣いながら、話したり、行動したりできるようになった。子ども達だけでなく、夫も、そしておそらく私も。各々が精神的に不安定な辛い時期を経験して、この家族の大切さとありがたみが身にしみて分かった気がする。

家族がみんないると、ごはんも毎日たくさん作らないといけないし、家の中は散らかりやすいし、どことなくせわしない感じがするけれど、それでも一緒にいられる時間に感謝して、大切に過ごそう。良いことも悪いことも、幸せな時間も不安定な時期も、まるごと受け入れて。

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