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配偶者が精神疾患を持つ場合

夫の精神疾患に振り回されて、地獄のような日々を経験した時期が二回ある。どちらの時も、夫に「合う薬」を「適切な量」服用することで、嘘のように症状が治まった。本当に、今までが悪い冗談だったかのように。

問題は、①本人が病気を自覚して薬の服用を受け入れるか、②合う薬と適切な量が見つかるか(良い医者の理解と協力が必要)、そして、③そのような薬の調節に本人が付き合ってくれるか。このすべてが揃わなければならない。夫の場合、二回ともそれらのために数年かかったので、その最中は出口が見えず、底なし沼の中でもがいているようだった。

配偶者が精神疾患を持つ場合、最終的には別れるという選択肢がある。そのせいか、家族の精神疾患について書かれた本やウェブサイトなどは、ほぼ子どもや親が精神疾患を持つ場合で、配偶者やパートナーの場合がほとんどなかった。夫にどう対応すればいいのか分からず、もがく私の助けや支えになるものがなく、それもまた辛かった。

特に離婚が日常茶飯事のアメリカでは、なぜ私が夫と別れないのか不思議がられていたと思う。救いを求めて行った家族のためのサポートグループは、子どもや兄弟の精神疾患で苦しむ人ばかりだったし、セラピストにさえ別れることをそれとなく勧められていた。でも、そんなセラピストが嫌になって、別れたくないという私の意思を尊重してくれる別のセラピストに変えてまで、何とかして一緒にいようとしていた。

その理由は、すべて病気のせいと分かっていたから。別人のようになっているけど、本当の夫は優しくて、面白くて、誰よりも私のことを愛してくれているのを知っていたから。でも、このまま別人のままになってしまうなら、もう一緒にはいられない、と何度も別れを覚悟したのも事実。

何度も言っているけれど、配偶者の精神疾患で苦しむ人がいたら何度でも伝えたい。病んだ心を止められるのは本人だけ。本人が病気を自覚して、助けを求めなければ、何も変わらない。

病気のせいで苦しんでいて、本当の自分ではなくなっているかもしれないけれど、本当は、そんなに苦しむ必要はない、ということを配偶者に伝えて欲しい。苦しんでいるのは病気のせいなのだから、助けを求めよう、医者に相談して合う薬を見つけよう、と配偶者には言い続けるしかない。

配偶者は反発して、逆にあなたを色々なことで非難したり、責めたりして来るかもしれない。でも、それに共鳴し過ぎないこと。同調し過ぎると、自分も辛くなるし、それでもうまく行かないと逆に反発して、泥沼になってしまう可能性がある。

距離を置いて、自分を見失わないこと。引きずり込まれないこと。助けを求められて寄りかかられても、一緒に倒れてしまわないように。支えるには、まず自分が安定していなければいけないのだから。

そのためには、好きなことをする自分の時間を持つこと、自分をサポートしてくれる人達を見つけることがとても大切。色々なものや人に支えられながら、自分の心の安定に目を向けよう。大丈夫。きっと何とかなる。

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