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今さら読んだ『ちっちゃな王子さま』

なぜ今まで読まずにいたのだろう。『星の王子さま』でよく知られているアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著の本を初めて読んだ。今さらだけど、今だからこそ、意味があるのかもしれない。ミニマルライフ/シンプルライフを心がけるようになった今。

日本では著作権が切れて自由に翻訳も出版もできるそうで、文月煉さんがフランス語から翻訳した『ちっちゃな王子さま』というバージョンを読んだ。他の日本語版も、英語版も、もちろんフランス語の原作も読んでいないから、比べようもないけれど、物語として、メッセージとして、心に響くことはきっと同じ。

有名な「大切なものは目に見えない」という言葉は、何を探しているのか分からなくなった時の道しるべ。目で探すのではなく、心で探すこと。

そして、何よりも共感したのは、もしひとつの星にあるひとつの花を愛したら、夜に星を見上げるのがうれしくなるということ。すべての星に花が咲いて、すべての星をながめるのが好きになるということ。これは、何にでも当てはめられる。例えば、子どもを産んで自分の子どもが愛しくなったら、すべての子どもが可愛く思えたり、犬を飼い始めたら、すべての犬が好きになったり。でも、だから?

だから、愛するものをなくしたり、愛する人がいなくなっても、大丈夫ということ。目に見えなくても、心にいる。すべての関連するものや人につながっている。身体なんて「脱ぎ捨てられた古いぬけがらみたいなもの」なんだから。

でも、何よりも今、愛するものや人を大切にすること。それらがなくなる前に。目に見えなくなる前に。大切なものを見失って、何を探しているのかさえ分からないビジネスマンや酔っ払いにならないように。

ミニマルライフ/シンプルライフを意識するようになって、目に見えるものを手に入れるより、心に刻むことを大切にしたいと強く思うようになった今。今だから、共感できるし、納得できる。そして、これから、もしも迷ったら、はっきりとした道しるべにできる。なぜこの本が、こんなにも時代を超えて人気があるのか、よく分かった。今さらだけど。

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