ラスベガス出張/洋服の元値
ラスベガスには、仕事のために行ったこともあったのを思い出した。なぜか、アパレル関係の大きな展示会を見て回るのが使命だった。
展示会が開催される会場とつながっているホテルに泊まったので、そこの敷地からほとんど出なかった。ごはんも敷地内のレストランで食べたし、暇な時間は敷地内のショッピングモールを見て回った。カジノは横目に見るだけにした。
シルク・ドゥ・ソレイユがマイケル・ジャクソンのショーをやっているホテルだったから、見に行きたい!と張り切って行く前に調べたけれど、どうやらその展示会の会場こそがマイケルのショーの会場であったため、私が訪れている期間はショーの方はお休みだった。残念。ホテルのフロントで、大きなマイケルの銅像は見れた。
ラスベガスのホテルの豪華さや騒々しさは独特だ。天井が高いせいか、何もかもが大きく、別世界のように感じる。上司と待ち合わせたホテルのエレベーターホールの人混みの中で、一人で立っている時、エド・シーランの曲が大音量で流れているのを聴きながら、自分がちっぽけで孤独であることを強く感じた。あの感覚がなぜか忘れられない。
ところで、本命の展示会は大盛況で、有名無名なブランドが広大な敷地に軒を連ね、見て回るだけで簡単に一日がつぶれた。ウォーキングで足腰を鍛えておいてよかった、と心から思うほど歩き回った。ホテルからは、別会場でのアパレルのサプライヤー関係の展示会への連絡バスが出ていて、敷地を出たのはそのバスに乗って別会場に行った時だけ。最後の方は、アパレル関係にお腹いっぱいで、もう洋服なんてどうでもいい、と思うくらい洋服を見て回った。
そして、何よりも一番驚いたのは、洋服を買い付けする時の値段。目を疑う安さだった。仕立ての良いおしゃれな洋服たちが、この値段?!それを知ってから、正規の値段で洋服を買うのが馬鹿らしくなってしまって、リサイクルショップ利用が益々増えたし、セール品のさらに半額とかでないと買わなくなった。
ずっと忘れていて、洋服のミニマル化で苦戦していたけれど、あの洋服まみれのアパレル展示会の会場を歩き回った日を思い出すと、そうだ、洋服なんてどうでもいいんだった、と思える。なんでそんなに洋服に執着していたのだろう。もっと早く思い出せばよかった。
アパレル展示会で一番私が気に入ったのは、洋服ではなく、アルパカのぬいぐるみだった。本物のアルパカの毛で作られたぬいぐるみは、見た目も愛らしく、肌触りも最高で、会場では最終日に買えると言われたけれど、最終日までいない私は後ろ髪を引かれながら帰った。そのぬいぐるみは今、私の部屋に大切に飾ってある。ラスベガス出張の土産話で、アルパカのぬいぐるみについて力説する私のために、夫がバレンタインデーのプレゼントとしてネットで購入してくれたのだ。プレゼントの箱を開けてアルパカを見た時の感動と言ったら!!夫からもらったプレゼントの中で、心から嬉しかった数少ないものの一つ。