いつも同じような格好だけど
試行錯誤の末、私が見つけた自分に似合うと思う好きなスタイルは、ロングフレアスカートと長袖の丸首コットンセーターだった。コットンセーターは薄手で小ぶりなもの限定。色は黒、白、薄いグレー、カーキ緑の組み合わせ。基本的に、このスタイルが定番で、いつも同じような格好をしている。寒い時は、タイツと長袖Tシャツを重ね着するだけ。
足が短いからパンツはどんな形でもアウト。ロングスカートも、ストレートな形はなぜかいまいちだった。トップスは、首まわりが広いUネックやVネックがNG。ボタンダウンシャツやざっくりしたセーターもいまいち…というように、似合わないものを排除して行った結果、ようやく辿り着いたお気に入りの格好。
この定番スタイルになってから、職場のエレベーターで乗り合わせた知らない若いお嬢さんに、「I like your style.」と突然言われて驚いた。ここアメリカでは、「I like your dress.」とか、「I like your shoes.」とか、特定の身につけているものをほめることは、見知らぬ相手でも珍しくない。でも、スタイルというのは、全体のファッションと雰囲気を指しているので、驚くと同時にとても嬉しかった。そうなの、これが私のスタイルなの、と思った。
昔、職場でいつも同じような格好をしている人を指して、元上司が「あれはあの人の制服なの?」と嘲笑気味に言っていたことがある。しかも何度も。冗談のつもりだったらしいけど、それの何が悪いんだろう?どこが面白いんだろう?と私は思っていた。当時はミニマリズムも私服の制服化の概念も知らず、何も言わなかったけれど、今なら「そうですね、あれがあの人のお気に入りの格好なんでしょうね」と言うだろう。というか、その前に私が「あれはあの人の制服なの?」と笑われる対象になっているだろう。何が面白くて、どこが悪いのか分からないけど、笑いたければ笑えばいい。そうなの、これが私のお気に入りのスタイルなの、と今なら私は堂々と言える。