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悪い予感と現実

今、このまま死んでしまえたら、と夫が運転する車の中でふと思った。なぜ突然そう思ったのか分からない。なんとなく、悪い予感がしたのだろうか。このまま、穏やかなまま死んでしまえたら、もう何も考えずにいられる、という考えが浮かんだ。でも、現実はそうは行かない。

その日の午後、夫と久々に大喧嘩した。ずっと落ち着いていたから、安心してしまっていた。夫の精神状態が不安定な時は、まともに言い返したり、受け止めてはだめなのに、久しぶりで忘れてしまっていた。地獄のような日々の再現。落ち着いた後で、これはただの口喧嘩で精神疾患のせいじゃない、と夫は言ったけれど、私はそう思わない。夫が精神的に不安定な時に特有の話し方、態度、表情、そして思考回路を私は知っている。またこれが起こり続けるのかもしれない、と恐怖を感じずにはいられない。

その上さらに、今も私を苦しめる息子が不安定だった頃のこと。電話越しの息子の叫び声、会いに来た時の辛そうな顔。

考えないようにしても、私を不安にする娘のこと。電話越しの娘の泣き声、いくつものリストカットの痕。自死した母と姿が重なってしまう。

どうやって生きて行けばいいのか、分からなくなる。今に集中して、毎日を乗り切って行くだけ。悪いことも良いことも、何事も続かない、と自分に言い聞かせながら。悪いことも良いことも、ありのまま受け入れながら。ただ生きて、死んで行くだけ、と分かっていても。


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