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古い町並み

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宿場町、寺内町、城下町、門前町、商家、武家町、山村集落、醸造町、港町、茶屋町など、国内にはさまざまな形態の古い町並みが残されていますが、訪問した中で特によかったところをこのマガジ…
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2021年7月の記事一覧

亀山市関宿~木曽三宿に劣らぬ東海道随一の現存宿場町

宿場町というと中山道の馬籠宿、妻籠宿、そして奈良井宿が有名ですが、亀山市の関宿は東海道五十三次の中で最もよく原型をとどめているのみならず、全長1.8kmと木曽三宿(500m~1km)よりも長く、京都や名古屋から特急を使わず1時間半程度(往復でも2500円前後)かつ駅近と、スケール、質、アクセスのどれをとってもおすすめです。 関宿の歴史現在の関宿町並みは16世紀末の領内の道路補修に始まり、江戸時代に入ってから東海道47番目の宿場町として本格的に整備されました。宿場町の東端と西

若狭国熊川宿~日本海と都を繋ぐ鯖街道の宿場町

鯖街道とは?「鯖街道」はいまの福井県南部の若狭湾沿岸と京都を結ぶ複数街道の総称で、古代より海産物を京都に運搬するための物流ルートでした。最もよく利用されたのが小浜から熊川宿、滋賀県高島市の朽木、そして京都の出町に至るルートです。 特に18世紀後半には大量の鯖が運ばれたので昭和の中頃より鯖街道と呼ばれるようになりました。 京都の鴨川デルタ公園近くにかかる、大文字山もよく見えるこの出町橋の西詰が終点です。京都御所まで数百メートルの地点です。京阪線出町柳駅の対岸でもあります。

成田駅から電車で30分の小江戸~佐原の商家町

現在の千葉県香取市佐原は、利根川の水運を利用して江戸との交流が盛んで、江戸を意識して独自文化を醸成し、また河港商業都市として発展し、"お江戸見たけりゃ佐原へござれ 佐原本町江戸まさり"とも言われました。また、伊能忠敬ゆかりの地でもあり、忠敬の旧宅や記念館もあります。 東京駅からはバスやJRで1時間45分~2時間程度ですが、成田駅から銚子に向かうJR成田線で30分ほどの位置ですので、荷物が気にならず半日ほど余裕があれば成田空港利用のついでに訪問するのもよいかもしれません。帰国

戦国の宗教自治都市、江戸時代の大商業都市~富田林寺内町

古い街並みを見に行こうと思っても、戦後以降から現在までの建物と混在していたり、規模が小さかったり、あるいは一本の通り沿いのみだったり、観光客、お土産物店、飲食店が多すぎたりして、なかなか本当に往時の面影の多くを残した場所は多くありません。 そんな中で日本人にも外国人にもおすすめできるのが大阪府富田林寺内町と奈良県橿原市今井町の寺内町。寺内町とは戦国時代から江戸時代にかけて浄土真宗の寺院や道場(御坊)を中心に濠や土塁で囲まれた自治集落で、信者や商工業者が集住しました。 富田

奈良県今井町~全国最大約500棟の重要伝統的建造物

日本には「旧市街」がない?ヨーロッパなどではどこの都市に行ってもビルが立ち並ぶ新市街とは分けられて、「旧市街」というものが残っていて中世の町並みがよく残されています。その感覚で、訪日外国人旅行者が「京都の旧市街はどこにあるんだ?」などと聞かれたりしますが、日本の場合、残念ながら欧州のスケールで町並みを保存しているところは多くありません。 「旧市街を見たい」と言われて、堂々と紹介できるのが今の奈良県橿原市に室町時代の16世紀半ばに一向宗の寺内町として建設された今井町です。古い