月間450万PVの旅行サイトから読み解いた、『旅行サイトの最適化=検索窓の最適化』論
from:自由が丘カールスジュニア
先日、イギリスの老舗旅行会社「トーマス・クック」が経営破綻しました。為す術なく沈み逝った姿からは、旅行会社がこれから切るべき舵や留意すべきリスクなどがとても綺麗に理解できるので、色々と学びたいと思います。
PESTの「P・E」は、アンコントローラブルな要素ですので触れませんが、「S・T」は今正に、多くの旅行会社が直面している課題です。
来春から、ANA・JALが新IIT運賃(変動料金制)の導入を決めている事も相まり、いま中堅〜大手のすべての旅行会社さんが、必死にサイト改善に取り組んでいる噂を聞いております。
旅行会社がWEBマーケを外注しても成果が出ない理由
今、月間450万PVの旅行予約サイトを、解析→改善提案するお仕事を受けています。(本来1,000万を超える予算の仕事ですが1人で請負っててリソース不足なのでどなたか興味あれば手伝って欲しいです...)
そもそも旅行会社は、WEBマーケティングに疎い傾向にありますが、たとえどんなに優秀な
・WEB制作会社
・WEBマーケティング会社
・SEOコンサル会社 etc
などが介入しても、成果が出ずらいなかなか特殊な業種です。
その理由は、適切な旅行商品に辿り着くために必要なパラメータが、とんでもなく多く、かつ複雑で専門的であるからだと個人的には思っています。
①誰が誰と
②どこから
③どこに
④いつからいつまで
⑤いくらで
この5つの条件が明確にならなければ、旅行商品に辿り着く事も予約することもできません。所謂「旅行検索における変数」です。
①〜②はユーザーにとって無意識で当たり前の項目にも関わらず、この2点によって表示する商品が全く異なる項目ですし、
③以下の項目は、旅行商品を比較検討している最中でも往々として変化する項目です。
この点を体系的に理解している制作会社やWEBコンサルなど、ほぼいないのです。
「沖縄 旅行」で表示される旅行会社のサイト構成とは?
先ずは、そんな旅行会社の予約サイトが実際どんな構成になっているのかを、試しに「沖縄 旅行」で表示されたサイトで見てみます。(2019/10/6 Chrome)
この中に表示されている旅行会社は、3社さんいます。
それぞれの検索窓UIとコンテンツ(h2)がこちらです。(h2は一部省略)
- SEO1:HISさん
▼ h2タグ
・沖縄ツアーを探す(検索窓)
・沖縄本島 人気ツアーランキング
・沖縄 旬のおすすめ特集
・お買い得!イチオシの沖縄旅行・沖縄ツアー
・沖縄本島 人気ホテルから選ぶ
・沖縄旅行お役立ちトピックス
- SEO2:ジェイトリップさん
▼ h2タグ
・お得な沖縄旅行ツアー検索(検索窓)
・沖縄離島旅行も格安!
・沖縄旅行 ホテル値下げ情報
・沖縄旅行 おすすめ特集
・スタッフおすすめプラン
・ピックアップおすすめ
・沖縄アクティビティランキング
・時期で選ぶ沖縄旅行
・沖縄旅行 目的から選ぶ
- SEO6:沖縄ツーリストさん
▼ h2タグ
・沖縄旅行・ツアーを探す(検索窓)
・エリアから沖縄旅行・ツアーを選ぶ
・最新の沖縄旅行・ツアー情報
・おすすめの格安沖縄旅行・ツアー特集
・テーマ別沖縄旅行・ツアー特集
・沖縄旅行・ツアー 人気ランキング
・沖縄旅行・ツアー観光コラム
だいたい3社とも共通して、こんな項目がありました。
・検索窓
・人気ランキング系
・テーマから探す系
・おすすめ/特集キャンペーン系
・エリアから選ぶ系
そこでです。
旅行予約サイトに必要なのは「検索窓」だけ論
今朝こんなツイートをしました。
これは、冒頭の「月間450万PVの旅行予約サイト」さんを分析した結果ですが、
先ほどの旅行会社サイトにも、当たり前のようにあった、シーズナリティ、テーマ、特集キャンペーンやらのコンテンツが、ほぼ機能していない可能性があり、旅行予約ページに必要なのは「検索窓」一択論が、突如浮上しました。
エリアを絞って更に数字を出したのでご覧ください。(ついでに作ったのでかなり簡易です。)
※ 概要
・2019/07〜09の実績(①沖縄・②北海道)
・グラフの項目=2ページ目の遷移先(ランディングページにおけるh2)
・グラフの分母=それぞれの見出しの母数
- ①沖縄旅行 予約ページ
沖縄の旅行予約に至った85%が、ランディング後いきなり検索窓で旅行を検索しています。
その他会員ログイン以外のコンテンツを触ったユーザーは、誰1人として予約に至っていません。
- ②北海道旅行 予約ページ
沖縄と同様、北海道の予約に至った84%も、ランディング直後に検索窓で旅行を検索しています。
こちらは、8%ずつテーマやランキングの導線もありますが、ほぼ同じ数字です。
旅行予約サイトの最適化改善は、外注したらいけない。
「検索窓」というコンテンツは、ほぼ更新制がないのに対して、人気ランキングやテーマなどは、ある程度の更新性が必要です。
つまり運用リソース(ヒト・カネ)が割かれます。しかし、実態はそれがさほど機能していない可能性が高いということです。
旅行予約サイトに求められるユーザビリティが次の3つだとすると、
・検索窓のUI/UXが最高に気持ち良い
・検索結果の表示ロジックの精度が高い
・検索結果から予約までのフローが簡単である
やはり冒頭で申し上げた通り、旅行消費の変数を正しく理解していないと、適切な改善は難しい気もしますね。
・SEOを強化するためのページ作り
・ページ内コンテンツをリッチにする
・内部リンクをいい感じにする
これらの提案に終着しがちなWEBコンサルの提案だけでは、物足りないことは確かです。(勿論これも必要)
そこでどなたか、業界経験のある方で、お手伝いいただける方はいませんか。
リクエストと一緒にお待ちしております。