22歳の森中花咲に初めて会った日
2022年 2月12日
18:00〜19:27
森中花咲
森中花咲初のVRライブ『下剋上』
⚠️ライブレポとも言えないようなオタクの脳直送感情殴り書きです。有料パートのネタバレも多く含みます。
森中花咲さんはpetit fleurs(森中花咲さんと御伽原江良さんのユニット)でのデビューの際にオーディションを通過してメジャーデビューした実力派のアーティストだ。今回のライブではアルバム『下剋上』の楽曲を中心として凛々しい歌声で12曲を歌い上げた。
『下剋上』(オリジナル曲)
『正六面惑星パンドラ』(オリジナル曲)
MC1
『春擬き』(カバー曲/デュエット)
MC2
『刹那花火』(オリジナル曲)
『相反スペル』(オリジナル曲)
『お召し上がりは今日中に』(オリジナル曲)
MC3
『君の所為で駄目になってしまいました』(オリジナル曲/デュエット)
『初恋』(戌亥とこオリジナル曲/デュエット)
MC4
『サカナ』(オリジナル曲/初公開)
『リトルペタル』(オリジナル曲)
『deleteless』(オリジナル曲/アンコール1曲目)
MC5
『此処に咲いて』(オリジナル曲/アンコール2曲目)
今回のライブのセットリストは、ゲストの戌亥とこさんとのデュエット曲『春擬き』以外は全て森中花咲さんのオリジナル曲だった。その構成が森中花咲さんという1人のアーティストとしての姿を感じさせる。これまでの約4年の音楽活動を通した上で現在の彼女を全面に押し出したライブだったと思う。
このライブでの森中花咲さんは22歳の姿。22歳の姿は、ソロメジャーデビュー、CDの発売等の大きな節目に発表された。この姿は年齢が変わったという意味以上に彼女自身の活動において大きな成長を象徴する変化だろう。また、22歳という年齢はpetit fleursの相方である御伽原江良さんと同じ年齢でもある。
開幕、ファーストアルバム名でありこのファーストライブの名前でもある楽曲『下剋上』を歌唱。同時に、レーベルでの活動における22歳の姿3Dモデル初お披露目。姿が大きく変わったことに戸惑うファンもいたが、ライブ全編を通して3Dモデルで動いている姿を見たら、やはりこの姿も森中花咲さんの1つの姿であると思えたのではないだろうか。舞台の中央に真っ直ぐ立つ姿と堂々とした歌唱が10歳の森中花咲さんとも15歳の森中花咲さんとも違う、22歳の森中花咲さんそのものを表しているように思えた。
『下剋上』は個人的に1番と言って良いほど好きな曲なので開幕で死んじゃったな……。22歳の姿で出された楽曲全体のクールな印象の歌声は生歌でも勿論健在。音源とは違った息の残り方を聴くことができて、その声にどきどきさせられた。ラスト転調前の低音が音源よりもより真に迫るような歌い方をしているように思えて、音源と生歌というシンプルな違いと同時に1年間での彼女の進歩を見せつけられた。全体的にそうだが、「覚悟決めて」のラストの音の伸びや「もういっそ」の息の残り方など、森中花咲さんの歌を存分に味わわせてくれる部分がいくつもあった。
曲の前奏が始まると同時に惜しむことなく森中花咲さん22歳の姿が登場、シンプルな照明が『下剋上』の音少なめの前奏によく合っていて良かった。照明の色には、森中花咲さんのイメージカラーである緑と、22歳姿の髪のインナーカラーとスカートの裏地の色に使われているピンクが殆ど等しい割合で使われる場面があった。まさに『下剋上』に相応しいライティングだと思った。
『正六面惑星パンドラ』で『下剋上』からいっきに世界観が変わってびっくりしちゃったな……。この曲の森中花咲さんは声色が全体的にかわいくて歌声が儚げで聞き応えがあった。「きっと初めての罪を背負うけど」の歌い方というか、言葉を伝える力が凄い。そしてこういった雰囲気の曲全体に言えることだが、森中花咲さんのウィスパーボイスは強い魅力を持つ。
『春擬き』は戌亥とこさんとのデュエット曲。互いの声に互いが沿っていくような歌い方で二人の歌唱の普段と違う表情を見ることができた。森中花咲さんの珍しいロングトーンも、戌亥とこさんの落ち着いた歌声も聴いていて全く飽きない。
『刹那花火』はライブ特有の雰囲気で、かなり客席に呼びかけるような感じで盛り上げにきていた。間奏では「みなさーん! VARKライブ、まだまだ盛り上がっていくぞー!」と呼びかけるなど、ライブを盛り上げようとしてくれる姿勢が多く見られた。歌詞の中で客席に呼びかけるように歌う箇所も見られて『刹那花火』をこのライブで聴くことができて本当に良かった……ありがとう……。声量も他の曲に比べて出ていたんじゃないかと思う。この曲ではラスト付近で大きな月の浮かぶ水面に立って歌う場面があった。VRライブならではの演出で大いに驚かされたしVRライブというものの、バーチャルYouTuberという存在の無限の可能性を感じさせられたし領域展開。
『相反スペル』では急にしっとりするじゃん……風邪ひいちゃった……。森中花咲さんのウィスパーボイスは世界を救うということがまた証明されてしまった。この曲も1つ1つの言葉がすっと入ってくるように思えた。Cメロをか細い声で歌うのが物凄く切なげで刺さった。歌詞の「やがてスコールへと」で雷と雨が舞台に現れるのには驚かされた。VRライブという場を存分に活かした演出。
『お召し上がりは今日中に』は歌詞も曲調も「オトナ森中花咲」でなければ出せない色気と空気感を構築する楽曲だ。MC3で「この曲はなんか、「ザ・森中・失恋・オトナバージョン」て感じがする」と自分で言っていたように10歳のときより落ち着いた雰囲気の「オトナ森中花咲」だからこその曲。これもやはり曲の中の言葉がよく伝わってきた。歌詞に物語性のある曲なので、その言葉がそのまま曲の物語を伝えてくれた。低音→高音の切り替えの流れが自然すぎて気づかなかったくらい声の流れが綺麗で、思わず聴き惚れてしまう。直前の『相反スペル』で「君」の意思に少し反抗するような歌詞を歌い上げた後に気怠げにすら思えるオトナの歌声で諦めを含んだ『お召し上がりは今日中に』を歌うことになっていた。やはりここも温度差が大きい。風邪ひいちゃった……。この曲のライトは紫を基調としたものが主だった。普段の森中花咲さんのイメージカラーと反対色だからか、意外にもよく似合っていたのが印象的だった。
『君の所為で駄目になってしまいました』は森中花咲さんファーストアルバム『下剋上』に収録されているオリジナル曲。今回は戌亥とこさんとのデュエットで歌唱された。歌い出しから単純に「強……」という感想しか浮かばない。森中花咲さんの「失せろ」が格好良すぎてそこで意識失いそうになったし森中花咲さんがMC4で「ダサwって言ってほしくて」と言っていた戌亥とこさんの該当箇所も良かった。治安が最悪で最高。低音が格好良い二人組女性ボーカルカタギじゃない。そしてやはり特に「先生、あたし悔しいです」の森中花咲さんのウィスパーボイスが綺麗だった。この曲は(ニコニコ生放送視聴での)カメラワークが曲調に合わせてかなり激しくなっていて、視覚的にも聴覚的にも落ち着けず興奮が高まる一曲だった。戌亥とこさんはMC4でこの曲についてあまり歌うことがないジャンルと述べた上で「これはもう完全に……歌うことがあるとしたら……破壊衝動に目覚めたときとか」と語った。それに対して森中花咲さんは「いにゅい、グレる!」と返す。森中花咲さんもこの曲の歌唱を総括して「悪いうちらでしたね」と語った。
『初恋』は島崎藤村の詩『初恋』を参考にした、戌亥とこさんと長野県小諸市こもろ観光局とのタイアップソング。今回は森中花咲さんとのデュエットで歌唱された。元の詩、またこの曲を知っている方、そしてライブを視聴した方はわかると思うが、曲調も歌詞も『君の所為で駄目になってしまいました』とはかけ離れている。温度差で風邪悪化しちゃった……。「君を花のように思う」という歌詞が森中「花」咲さんに割り当てられている歌詞割に感動した。呼気混じりで感情的な森中花咲さんの歌声とハスキーで訴えかけるような戌亥とこさんの歌声、そして壮大な曲調に強く心を揺さぶられた。演出もMV( https://www.youtube.com/watch?v=G7aJCz6E_YY )の紅葉になぞらえたのかステージに紅葉が舞っていて綺麗だった。また、歌詞に合わせたライティングも良かった。特に「白き君のその肌」→「薄紅がよく似合った」で白から薄紅になったライトが印象的だった。戌亥とこさんはMC4で「温度差大丈夫でしたか?」と呼びかけた。大丈夫ではない。
『サカナ』は今回のライブ『下剋上』で初公開のオリジナル曲。まず森中花咲さんは落ち着いた声色でタイトルを言った。細く息を吸う音から始まって次の瞬間の1音目からもう最高。静かな雰囲気の曲ではあるが伴奏には重低音が用いられる箇所があり、森中花咲さんの高音との対比を楽しむことができる。裏返る高音が美しいしここでも森中花咲のウィスパーボイスは世界を救う。1節1節押し付けるような歌い方が曲の歌詞に重みを持たせてくるように感じられて、この楽曲が森中花咲さんの声で世に出ることに感謝したくなる。『サカナ』というタイトルに沿ったような淡い青のペンライトの海と舞台からのぼる光の粒、深海のような演出が彼女の歌声と相まってよく映えた。繰り返される「寂しい」の箇所も印象的で、歌詞の流れはゆったりなのに伴奏はテンポ早めの迫真でこちらに語りかけてくるような曲に思える。個人的な好みにめちゃめちゃ刺さったのでデジタル販売予定楽しみですありがとう……。
『リトルペタル』は曲調からエンディングらしさを持つ、ライブのラストとなる曲。開幕笑顔の森中花咲さんの背後では数多くの光の演出が見られた。これもVRライブならではの演出という感じでワクワクさせられる。「ときめかせて」「ここにいるよ」という歌詞を叫ぶように、やはりライブを盛り上げるように歌ってくれて嬉しかった。ここにいる、とあの瞬間に叫んでくれてありがとう。「みんなー! 盛り上がってますかー!」とも、また観客席を意識した盛り上げ方を見せてくれた。この曲でも歌詞とペンライトの色を合わせる演出が見られた。「まだ何色でもない花びら」で白いペンライトになったところは歌詞も相まって涙腺にきた。「雨降り」「涙のシャワー」での雨の演出もここで見られたが、その後の雨降り→晴れ模様での照明の変化がまた涙腺を刺激した。歯を見せて笑う表情を作ってくれたモデル制作の方にもありがとう……。
『deleteless』はアンコール1曲目。「森中花咲」という名前になぞらえた歌詞も含まれた森中花咲さんのオリジナル曲。この曲の歌声には「少女」という言葉がぱっと浮かんだ。22歳にしては幼く、10歳にしては大人びた、15歳の森中花咲さんが一番近いように思える歌声。歌詞の「証は私が刻むから忘れて良いよ」が今ソロアーティストとして『下剋上』というアルバムの曲を歌って歩んでいる森中花咲そのものでべしょべしょに泣いちゃったな……。この曲は「別れがあっても絶対忘れないぞっていう、なんか、色々、想いが詰まってる曲」と彼女自身が表現した、この言葉に尽きる。
『此処に咲いて』はアンコール2曲目。かつて隣にいた人に向けた曲。昨年の誕生日ライブと同じようにラストを飾る。今の森中花咲さんを、ソロアーティストの森中花咲さんを語ることにおいてこの曲は大きな存在感を持つ。petit fleursの森中花咲さんとソロアーティストの森中花咲さんを直接結びつけるような曲だと思う。間奏でMV(https://www.youtube.com/watch?v=sTWd7Hchlfs )を彷彿とさせる優しい色のオレンジに包まれた彼女を見て自然と涙ぐんでしまった。かわいらしい声色と歌唱は、アルバム『下剋上』の楽曲の中で異彩を放つ。それでも22歳森中花咲にはこの曲が必要だったのだろうと思う。1度目の「ありがとう」でウィンクをした森中花咲さん。確かに1人のアーティストであり、かつてアイドルユニットpetit fleursの1人でもあった、その経緯を含めた「現在の森中花咲」がそこにいた。この曲についてはオタクは無理に感想を書いて共有しないでも良いし捉え方を1人1人の胸にしまっておいて良いと考えているしそうしたいので、自分は自分の向き合い方をしたいと思う。
ただ1つ言える。このライブの最後に、22歳の姿の森中花咲さんから、生歌唱で、この曲を聴けて嬉しかった。
MC3で森中花咲さんは『刹那花火』、『相反スペル』、『お召し上がりは今日中に』の3曲について「この3つさ並べたらさ、なんか、わたし……全部わたしなんだよね。全然違う曲調の、全部、個性も、違うはずなのに、なんか、わたし……っぽいなっていうのが、全部、当てはまって、合うなってなるし、なんか解釈一致みたいなのが、なんかね、1つ1つ違うはずなのに」と話していた。わかる。この3つに限らず、アルバム『下剋上』の楽曲はどれも「森中花咲の曲」であり、『下剋上』というアルバムは(この後彼女が言っていたように)色々な森中花咲を見られるアルバムだ。オタク(1人称)はこれまでエンターテイメントの森中花咲や音楽活動の森中花咲、色々な森中花咲を見てきた。でも今回新曲『サカナ』で見せてくれたように、彼女にはきっともっとまだ我々が知らない面がある。これからも色々な森中花咲を見られるのが楽しみだ。
ラストMCで森中花咲さんは、戌亥とこさんがMC4で「あとで何食わぬ顔で言っても言ってもいい」「ええ感じのところで、みんなが忘れたぐらいのときに言ってみて」と言っていた良い言葉を忘れた。
いにゅいの良い言葉の文字起こし
「オトナになっても負けヒロインなの……? みたいなこと言ってたけど、負けようが勝とうがヒロインな時点で勝ちやからね。ヒロインになれる時点で勝ち。今日はみんなの主役やからね」
森中花咲は主役だ。間違いなく我々の主役だ。
にじさんじ2期生としてデビューした当時の森中花咲さんは10歳、オトナの姿を手に入れた15歳、ソロメジャーデビューした22歳。オタク(1人称)にとっては全ての姿が大切で、大好きで、尊い存在。森中花咲という存在が今この世界に存在してくれて、ファーストライブを開催してくれて、本当に本当に嬉しい。
それと同時に、森中花咲を今この時まで推すことができて、応援できて、愛することができて、嬉しい。これからも同じ。かざちゃんのおかげでいつも楽しみがあるし、かざちゃんから知った歌がたくさんあるし、かざちゃんに何度も助けられてきた。
ありがとう我々のヒロイン、森中花咲。
『下剋上』のチケットを買って良かった。